ちなみに、このAI導入によって、1件あたりの処理時間(AHT)が全体平均で約1分短縮されたそうです。
ただ、違う角度から考えると、全体の処理時間の平均を1分短縮するのに、数億円単位のAIシステムとメンテナンスのための人的リソースを投資していると思うと、仮にその1分の処理時間分を人件費の投資で補った場合、数億円までの投資は必要ないかもしれません。
そういう意味では、やはりまだコールセンターにおいてのAI導入については一部の大企業に限られるというのが現状ではないでしょうか。
また、VOCの分析という分野では昨年ヤフーさんがこんな発表を行っています。
米国IBMの人工知能「Watson」を導入するにあたり、あいまいなニュアンスを含む自然言語の内容を理解するIBM Watsonの機能「自然言語分類:NLC」を活用する事で、これまで人が約800時間を費やしていた1か月分の集計・分析を、20~30時間ほどまで短縮できる見込みとの事です。
このような大量データの集計・分析という分野では、今後もAIが活躍する場面が出てくると思います。
昨年からのコールセンターにおけるAIブームは第三次AIブームと言われていますが、今回は過去のブームとは違い、コールセンターのポジションの向上・企業の取り組み姿勢・IT環境の変革など、一過性のブームでは終わらないという見方が多いようです。
これからの1年・1年は我々があっと驚くようなコールセンター現場からの実例報告があると思います。
ただし、AIが人間にとって代わるという近未来映画のような世界はまだまだ先の未来であり、コールセンターにとって人の英知と高度な運用能力が重要な時代はまだまだ変わらないと思います。