従業員満足度(ES)調査とは?質問項目や手順、メリットなど解説
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従業員満足度(ES)調査とは?質問項目や手順、メリットなど解説
2022年10月18日
|カテゴリー「
人材育成コラム
」
従業員満足度調査(ES)は、
よりよい職場環境の構築
や
教育体制の見直し
、
従業員にとって魅力的な福利厚生導入
のために重要な調査です。
しかし従業員満足度調査がどのような調査であり、どうやって実施すればよいかわからず悩んでいるといった方も多いでしょう。
こちらの記事では従業員満足度調査とはどんなものであり、どんな効果があるのかを説明し、調査の流れや具体的な質問項目、集計・分析方法まで詳しく解説します。
本記事を参考にして正しい調査方法を知り、効果の高い調査を実施してください。
<目次>
1. 従業員満足度(ES)調査とは?
2. 従業員満足度が高い企業と低い企業の違い
3. 従業員満足度調査(ES)で期待できる効果
・現場の声を理解し、組織の現状が可視化できる
・定期的に行うことで水面下にある課題の早期発見を期待できる
・人事戦略に役立つデータ取得ができる
・生産性の向上や離職防止につなげられる
・顧客満足度や業績の向上につながる
4. 従業員満足度調査(ES)の流れ
・手順1.目的を明確にする
・手順2.質問事項を決める
・手順3.回答方法を決める
・手順4.アンケートを実施する
・手順5.集計・分析を行う
・手順6.対策を立てる
・手順7.報告する
5. 従業員満足度調査(ES)のアンケート・質問項目
・仕事内容の満足度
・職場環境の満足度
・上司への満足度
・企業風土の満足度
・処遇への満足度
・会社経営の満足度
・福利厚生の満足度
6. 従業員満足度調査(ES)のアンケート集計・分析
・手法1.単純集計
・手法2.クロス集計
・手法3.構造分析
7.まとめ
1.従業員満足度(ES)調査とは?
従業員満足度とは、社員が職場の仕事内容や環境について、どれだけ満足しているかを知るための指標です。
そして従業員満足度調査は、その従業員満足度を測るための調査です。
昨今少子化によって働き手が減少したことで人材確保が難しくなっている中、社員の離職を減らすためには各企業が従業員満足度を高める活動が求められています。
しかし働き方の多様化やワークライフバランスの変化などもあり、社員一人ひとりの職場満足度を高めることは簡単ではありません。
そこで企業としては従業員満足度を高めるためのさまざまな工夫に力を入れるようになり、その一環として従業員満足度調査が最近注目されているのです。
2.従業員満足度が高い企業と低い企業の違い
従業員満足度の中にはさらにいくつかの指標があるため、従業員満足度とはなにか一言で表現することはできませんが、たとえば従業員満足度が高い企業の特徴として社員が企業目標に共感していることが挙げられます。
これは従業員満足度調査の内容に「会社経営満足度」が含まれているためであり、企業目標に共感している従業員は自主的に仕事に取り組み会社の士気を高めてくれるのです。
これに対して従業員満足度が低い企業の場合、企業目標に共感していない社員が多く、従業員の仕事のモチベーションが上がらず生産性が低下する傾向にあります。
また従業員満足度が高い企業は職場環境が整っており、ライフワークバランスがとりやすいことが多いのも特徴です。
より効果のある調査結果を導き出すためには、後ほど紹介する手法を用いて、正確な集計・分析を実施しましょう。
3.従業員満足度調査(ES)で期待できる効果
従業員満足度調査をすることで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか?
ここでは、従業員満足度調査で期待できる効果を6つ紹介し、なぜそのような効果が見込めるのか、その理由も解説します。
現場の声を理解し、組織の現状が可視化できる
普段の仕事の中だけで上司が部下の考えを知る機会は少ないものですが、従業員満足度調査をおこなうことで現場の声を吸い上げられ、組織の現状が可視化できます。
従業員満足度調査を行えば、たとえば「20代社員で給与面に満足していない割合は〇%」というように、従業員の仕事に対する考えが文章に表され定量的に測れるのです。
定期的に行うことで水面下にある課題の早期発見を期待できる
調査を行うことで、社員が普段口にしにくい職場への不満や心配事などがわかるため、水面下にある課題の早期発見が期待できます。
仕事内容や職場の人間関係、給料や福利厚生などについて、社員がどう考えているのかを把握し、職場における課題をみつけ、それに対処できるのです。
人事戦略に役立つデータ取得ができる
従業員満足度調査によって現場で働く従業員の生の声を聞き、会社の現状を把握することで、社員の能力適性やスキルといった人事戦略に役立つデータを取得できます。
企業が成長するには社員が最大限パフォーマンスを発揮するための人事戦略が必須ですが、社員の考えがわからなければよい人事戦略は立てられません。
調査によって社員の本音を知ることで会社が目指すべき方向に進みやすくなります。
生産性の向上や離職防止につなげられる
調査結果を生かし対策を立て、課題を克服すれば、職場環境が改善して生産性の向上や離職防止につながります。
例えば、調査結果から特定の部署では「上司に相談しづらい」といった傾向があり、その部署では生産性が低い、離職率が高い、といった相関関係が見えるケースだとイメージしやすいはずです。
まずは、上司と部下のコミュニケーション方法に見直しを図り、相談しづらいという問題を解決することで、生産性向上や離職防止につなげていきます。
前述の通り従業員満足度調査には課題の早期発見効果があるため、調査は発見した課題を克服するための土台になります。
顧客満足度や業績の向上につながる
調査内容となる社員の意見から商品やサービスに関する改善点がわかり顧客満足度や業績の向上につながることがあります。
「もっとこうしたら商品が売れるのではないか」といった社員の声の中に、商品改善のヒントがみつかる場合もあるでしょう。
これは普段の業務の中で同僚や上司に意見が言いにくい社員も、アンケートなら自分の考えが書きやすい場合も少なくないからです。
このように調査結果の活用は組織の問題を改善するだけではなく、顧客満足度や業績の向上につながるのです。
4.従業員満足度調査(ES)の流れ
業員満足度調査の流れを一通り紹介します。流れを理解することで、自社で従業員満足度調査をする手順ややり方がわかります。
全部で7つの手順があるので、それぞれの手順で具体的に何を行うのか、なぜそれが必要なのかについて解説します。
手順1.目的を明確にする
手順2.質問事項を決める
手順3.回答方法を決める
手順4.アンケートを実施する
手順5.集計・分析を行う
手順6.対策を立てる
手順7.報告する
手順1.目的を明確にする
調査すること自体が目的ではないため、まずは目的を明確にし、調査によってどのような結果を得たいのか考えましょう。
目的がなければ調査しただけで満足してしまい、結局効果が得られないことになりかねません。
目的の具体例としては、たとえば社員のモチベーションアップ、人事業務の効率化といったものが考えられます。
目的が定まれば、その目的に合わせて最適な目標を立てましょう。
手順2.質問事項を決める
調査で実際に行う質問事項を決めます。
ここで重要なことは、質問の内容が調査の目的と合致していないと効果が出づらいことです。そのため質問項目は必ず目的に合わせて決めなければなりません。
質問の数や一つの質問のレベル感・粒度は調査内容や会社の規模感などによって異なるので、目的に合わせて適切な内容をよく考えて決めましょう。
具体的な質問事項についてはのちほど5章で例を紹介するので、そちらも参考にして質問事項を考えましょう。
手順3.回答方法を決める
回答方法には大きく分けて選択式か文章の2種類があり、定量調査と定性調査に分類することができます。
定量調査は「〇」「×」や「1~5」の番号などを選択して回答ができる調査、定性調査とは文章で回答する類の数値では集計できない調査です。
定性調査は得られる情報量が多い反面、集計や分析が難しいデメリットもあるため、定量調査と定性調査の数をバランスよく合わせるようにしましょう。
手順4.アンケートを実施する
調査の準備ができたらアンケートを実施しますが、漫然と回答を依頼するだけでは形式的な回答しか得られず改善に役立たない質の低い調査になる恐れがあります。
そのためアンケート実施の際には、社員に対して目的や概要をきちんと説明し、協力を促すことが大事です。
またアンケート実施の旨を事前に周知しておくことで、回答率向上にもつながります。
手順5.集計・分析を行う
アンケートが戻ってきたら回答の内容を集計し、結果を分析します。
集計・分析は調査の目的に合わせて行うことが重要ですが、その方法にはいくつかの種類があるので、のちほど6章で紹介するものを参考にしてください。
集計や分析作業は回答数が多いほど時間がかかるので、調査会社などのツールやサービスを使って効率的に行うとよいでしょう。
手順6.対策を立てる
調査結果を集計・分析して現状の課題がわかったら、課題を克服するための対策を立てましょう。
たとえば調査結果をもとにして課題を把握し、その課題を克服する対策を検討するための会議を実施するといった方法です。
アンケートから時間が経過してしまうと従業員の意識に変化がみられる可能性もあるため、対策には早期に取り組むことが重要です。
短期間で会議を重ねて課題を克服する対策を考え、施策を実施するところまでいけるのが理想です。
手順7.報告する
対策を立てたら経営層や社員に報告し、結果を共有しましょう。
報告内容は、調査項目と集計結果、今後の課題と課題を克服するための施策案などです。
時間とお金を使って調査するので経営層への報告は当然ですが、社員への報告も忘れてはいけません。なぜなら調査結果から一人ひとりが組織の現状を知ることで、課題解決のための協力を得やすくなるからです。
それぞれ理由は異なりますが、経営層と社員への報告はどちらも重要なので必ず行いましょう。
5.従業員満足度調査(ES)のアンケート・質問項目
質問項目の具体例として、代表的なものを7つ紹介します。
それぞれの項目の内容やその項目を設定する意図・背景、そしてアンケート内容の具体例も紹介するので、アンケートを作成する際の参考にしてください。
仕事内容の満足度
仕事内容の満足度は、現在の役職・ポジションなどから考え満足できる仕事内容・仕事量であるかどうかをチェックする項目です。
仕事量が慢性的に多く、職場満足度の低い職場などで有効な調査です。
仕事内容の満足度が低ければ社員のモチベーションが下がって生産性低下につながるので、満足度向上を図る対策を立てなければなりません。
▼具体例
・あなたは今の仕事内容に満足していますか
・現在の業務量は適切だと思いますか
職場環境の満足度
職場の満足度はその仕事から得られる知識やスキルなど、職場における自己成長に関しての満足度をチェックする項目です。
仕事を通して知識やスキルを高め、自己成長を遂げられていると実感できている社員は会社への貢献度も高いため、この項目ではそのような社員がどれだけいるのかを把握します。
▼具体例
・今の仕事を通して自分自身の成長を感じられますか
・仕事でスキルが身についていると感じますか
上司への満足度
上司満足度は上司との関係性の良好さをチェックする項目です。
上司との関係の良し悪しは職場におけるモチベーションを大きく左右するので、アンケートで確認することには意味があります。
▼具体例
・あなたの上司はよい仕事をしたときに褒めてくれますか
・上司に対して気軽に相談したり仕事に関して意見を言ったりできますか
企業風土の満足度
会社風土満足度は、仕事において社員自身が大事にする価値観と企業風土の相関性をチェックする項目です。
「チャレンジ精神旺盛」「ワークライフバランスを重視する」といったような企業風土と自身の価値観が合わなければ、長期的に仕事を続けることは困難です。
▼具体例
・会社の企業風土に共感できますか
・ワークライフバランスがとれていると感じますか
処遇への満足度
処遇への満足度は人事評価や給与、労働時間といった仕事上の処遇に関する満足度をチェックする項目です。
仕事内容や人間関係に満足していても、仕事上の処遇が悪ければ社員は定着しません。
▼具体例
・現在の職場は希望日に休暇を取ることができますか
・残業が多過ぎると感じますか
会社経営の満足度
会社経営満足度は、企業理念やビジョン、経営方針に社員が共感しているかどうかをチェックする項目です。
経営目標と社員個人の目標にズレがあると自分を犠牲にして仕事をしなければならないため、会社への貢献度は下がりやすくなります。
▼具体例
・会社のビジョンに共感できますか
・会社の将来に希望を持てますか
福利厚生の満足度
福利厚生満足度は、賃金以外の部分で従業員の福利が充実する制度・施設などについての満足度をチェックする項目です。
福利厚生は賃金と違って会社によって大きな違いがあり、福利厚生に満足している従業員が少ないと職場の定着率も下がります。
▼具体例
・会社の福利厚生に満足していますか
・こんな制度があったらよいと思う福利厚生の制度はありますか
6.従業員満足度調査(ES)のアンケート集計・分析
従業員満足度調査のアンケート集計・分析手法にはいくつかありますが、ここでは代表的な手法を3つ紹介します。
それぞれの手法の内容を解説するので、調査の集計・分析に役立ててください。
手法1.単純集計
単純集計は回答結果の数値に対し、アンケートに回答した人数で割った数値をパーセンテージで表す集計方法です。
単純集計はアンケート結果を集計する手法としては一般的かつ簡単な方法であり、単純集計を用いれば結果の概要をすぐに数値化して定量的に表すことができます。
また単純集計は次に説明するクロス集計にも必要な手法であるため、汎用性が高いのも特徴です。
手法2.クロス集計
クロス集計は、複数の回答を集計して結果をまとめる集計手法です。
単純集計では各質問項目を個別に集計するため、質問項目ごとの関連性がわかりませんが、クロス集計では他の項目との関連性まで定量的に測ることができます。
▼イベントの満足度調査
社内イベントに参加した200名の満足度(満足or不満足)を調査
【結果】
●単純集計結果
全体:「満足」が40%、「不満足」が60%
●性別によるクロス集計結果
男性:「満足」が70%、「不満足」が30%
女性:「満足」が30%、「不満足」が70%
【クロス集計結果から見えること】
相対的に満足度が低い女性の満足度をあげる必要あり
単純集計をしたあとで各項目同士の関係性をより詳細に知りたい場合には、クロス集計が役に立ちます。
手法3.構造分析
「満足度構造分析」は、複数の質問項目の間の相関関係を割り出せる分析方法です。
たとえば「処遇満足度の高い社員は福利厚生の満足度も高い」といったような結果を導き出すことができます。
分析方法は調査結果の情報をもとにしてそれぞれの項目の関連性を考え、一方が一方に対してどのような影響を与えているかなどを導き出します。
質問項目ごとの相関関係がわかれば「自社の社員は仕事内容の処遇面の満足度は高いものの、仕事内容に関する満足度は低い」といったように、社員の満足度の傾向がわかります。
こういった傾向を知ることで、満足度アップを図る対策も立てやすくなるのです。
7.まとめ
従業員満足度調査を適切に実施することで従業員の生の声を可視化でき、職場における課題を克服して、生産性の向上や離職率減少といったより良い職場作りができます。
ただし手順が誤っていれば高い効果は期待できません。目的を明確化した上で、質問内容を念入りに考え、できる限り回答率を高める工夫も怠らないようにしましょう。
また調査を実施するだけではなく集計・分析にも力を入れ、結果は正確に社員へフィードバックすることが重要です。
社員に協力を仰ぎつつ、適切に調査を実施することで、効果につながる調査結果が得られるでしょう。
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