近年の主な離職原因とは?年代別や会社への影響、防止対策など解説

2022年11月1日|カテゴリー「人材育成コラム
近年の主な離職原因とは?
離職者の増加は、コスト面をはじめとしたさまざまな弊害があるので、会社にとって大きな課題の一つでしょう。
離職者が多いのには何かしらの原因があるため、その原因を特定した上で適切な対策を立てれば離職者は減らせます。

こちらの記事では離職者が増えることによる悪影響や離職原因について説明し、社員の定着率を高める方法を解説します。
本記事を読めば離職者を減らすための糸口がみつかる可能性があるので、離職者の増加に悩んでいる人事担当者の方はぜひ参考にしてください。

1.離職を放置しておくことで起こる悪影響

離職を放置しておくと、生産性が低下するだけでなくコスト面のデメリットや会社イメージダウンといったさまざまな弊害が生じます。
離職を放置しておくことで起こる悪影響を3つ紹介するので、まずは、どのような悪影響があるのか、離職率の増加がどうして深刻な問題につながるのか、を考えてみましょう。

影響1.採用・教育コストの損失

社員の採用活動や教育・研修には多額の費用がかかるため、離職によって採用・教育コストが無駄になります。

たしかに社員が辞めればその分支払う給与がなくなるので、費用の削減になるとも言えます。
しかし採用や教育の費やした費用は社員の将来性への投資であり、社員が成長する前に辞めてしまえば投資のもとが取れなくなるので、総合的に見ても損失となります。

しかも辞めた社員の穴を埋めるためにはさらに社員を採用しなければならず、二重に採用や教育のコストがかかります。

影響2.生産性の低下

新規社員を採用するまでの間、離職者の穴は既存の社員が埋めなければなりません。
そのため一人ひとりの業務が増えて疲弊するため生産性が低下します。
特に急な離職者が出た場合は社員が仕事を受け入れる準備もできていないため、業務量が急増してモチベーションが下がる可能性が高いでしょう。

また仮にすぐよい人材がみつかったとしても、仕事に慣れるまでの間は周りがフォローしなければなりません。
このように離職者が出たときにその穴を埋めるために、生産性の低下は避けられないことだといえます。

影響3.離職率の増加によるイメージダウン

離職率が多い職場は、外部から待遇や職場環境が悪い印象を持たれやすいので、企業のイメージダウンにつながり、人材確保や信用力低下をもたらします。

具体的には、学生の就職活動においてインターネットは有力な情報源であり、企業の悪いイメージが広まれば優秀な人材の確保が難しくなります。
また企業のイメージダウンは商品・サービスの信用にも響くため、売り上げ低下につながる可能性もあるでしょう。

離職率増加によるイメージダウンは、企業活動におけるさまざまな点においてマイナスの効果があるのです。

2.【転職者に調査】離職の主要原因5つ

近年の主な離職原因とは?
転職する人には、ある程度共通した離職理由があります。
ここでは、厚生労働省の「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況(令和3年12月21日)」*をもとに、よくある5つの離職理由について見ていきましょう。
同調査では個人的理由による退職理由が全部で9項目あり(その他をのぞく)、以降のそれぞれの離職理由を説明する節で割合の大きさを9項目中の順位として示しています。

なお、同調査は、2021年1月~6月に転職により就職したい人に対して、が前職を辞めた理由を年齢・男女別に集計したものです。


離職理由1.給与が低い

「給料等収入が少なかった」という理由は、同調査の結果では、男性において比較的順位が高い離職理由でした。
特に若い世代では給与を退職理由としてあげる傾向が顕著にみられます。
これは日本では年功序列の給与体系がいまだ根強く残っている会社も中にはあり、若いうちは給与が低いことが多い、あるいはシンプルに給料が低めの会社も多いことが理由であると考えられます。

また働き盛りである40代では男女差が大きいのも特徴的です。
40代男性の離職理由で「給与が低い」というのは上位3位にはあがっていませんが、40代女性では3位でした。
この結果には給与面での男女格差が影響していると考えられるでしょう。

離職理由2.自分の能力を生かせない

「能力・個性・資格を生かせなかった」という理由は、同調査で全年齢層において4~6位にあがっています。仕事における自己の能力を発揮することは、給与や労働時間などと比べれば相対的に優先度は下がることがわかります。

ただしこの退職理由は、40代前半の男性だと13.9%と2番目に多い理由となっており、ほかの年代に比べても割合が多いという特徴があります。
これはある程度職務経験を積んだ40代の男性だからこそ、仕事で自己の能力を発揮したいと考える傾向にあることが原因として考えられます。

離職理由3.会社の将来に不安を感じた

「会社の将来が不安だった」という退職理由は、同調査で男女ともに4位にあがっています。

日本では未だ一つの会社に長年勤めるという考え方が一部には残っているので、会社の将来性を重要視する社員は少なくありません。
そのため「商品・サービスが時代のニーズに合っていない」「売上が右肩下がりになっている」といった会社では、将来性に不安を感じた社員が離れてしまいます。

ただしこの退職理由は未来のことであるため、現状の不満である給与や労働時間よりは相対的に優先度が下がってこの順位になっていると考えられます。

離職理由4.労働時間・休日が合わない

「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」という退職理由は、同調査の結果では女性のなかで2番目に多い退職理由であり、年代別・男女別にみても常に上位にあがっていました。
長時間労働や休日出勤は日本企業に多い働き方ですが、基本的には社員のモチベーションにはマイナスに働く場合が多いでしょう。

最近では働き方改革などの影響で残業時間を減らすことに努める企業も多いので、今後は長時間労働が常態化している企業はますます離職者が増えていくことが予想されます。

離職理由5.人間関係・環境が合わない

「職場の人間関係が好ましくなかった」という退職理由は、どの年代・性別においても上位にあがる理由のうちのひとつでした。
仕事をする時間は生活の大部分を占めるので、人間関係が悪い職場から社員が離れるのは当然のことと言えるでしょう。

具体的には上司から理不尽に怒られる、同僚とそりが合わないといった職場環境が考えられます。
またセクハラ・パワハラをはじめとしたハラスメントに対する措置が不十分な企業も、社員にとっては人間関係が悪い職場であると判断されます。

その他離職理由

上記にあげたほか、同調査では「仕事の内容に興味を持てなかった」といった理由や結婚・出産・介護などの理由があがっています。

これらは全体の割合としてそこまで多い退職理由ではありませんが、「仕事の内容に興味を持てなかった」に関しては各世代で5~10%程度を占めていました。
この理由は20代以下で特に多い傾向にあり、若い世代ほど好きなことを仕事にしたいという気持ちが強いことの表れといえるでしょう。

また結婚や出産育児に関しては男女差が大きく、20代後半の女性だけが顕著に多いという結果でした。
このことからも、出産・育児を理由とした退職が多く、産前産後の休職、育児が落ち着いてからの職場復帰が難しい会社が未だに多いことが予想できます。
企業としては社員が育児しながらでも働きやすい環境を提供することが大事でしょう。

3.【年代別】主な離職原因

近年の主な離職原因とは?
先程の2章でも参考にした厚生労働省の「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況(令和3年12月21日)」をもとに、ここでは年代・性別ごとに社員の離職原因を見ていきましょう。

新卒・20代の離職理由

新卒・20代の離職理由について、男女別の上位3位は以下のとおりです。

1.給料等収入が少なかった
2.職場の人間関係が好ましくなかった
3.労働時間、休日等の労働条件が悪かった

1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった
2.給料等収入が少なかった
3.職場の人間関係が好ましくなかった

男性の場合、若いうちはキャリアを重視しがちであるため、このような順位になっていると考えられます。
一方ライフワークバランスを重視しがちな女性の場合は労働時間等が1位になっており、男女の違いが見て取れる結果といえるでしょう。

30~40代の離職理由

30~40代の離職理由について、男女別の上位3位は以下のとおりです。

1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった
2.職場の人間関係が好ましくなかった
3.会社の将来が不安だった

1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった
2.職場の人間関係が好ましくなかった
3.給料等収入が少なかった

上位2位は男性・女性とも同じ離職理由があがっています。
注目すべきは新卒・20代男性で1位であった給料等を理由とする離職が4位以下になっている点です。
この理由としては、男性は女性と比べ年齢に応じて給与が上がりやすいことが考えられます。

50代~の離職理由

50代~の離職理由について、男女別の上位3位は以下のとおりです。

1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった
2.職場の人間関係が好ましくなかった
3.会社の将来が不安だった

1.職場の人間関係が好ましくなかった
2.労働時間、休日等の労働条件が悪かった
3.給料等収入が少なかった

50代~の離職理由は30~40代と大きな違いはありませんが、女性側で職場での人間関係が1位にあがった点には注目です。
理由としては定年が近づくにつれ、待遇よりも職場環境のよさを重視するようになる社員が増えることが考えられます。

以上の通り、年代や性別によって離職理由は変化することがわかります。

4.離職防止対策5選|定着率を高める方法

近年の主な離職原因とは?
離職にはさまざまな悪影響があり、企業にとっては深刻な問題なので、離職防止に努めて社員の定着率を高めなければなりません。
ここでは、離職防止対策を5つ紹介するので、先ほど紹介した離職理由を踏まえた上で、効果ある対策を実践しましょう。

対策1.適度に面談してコミュニケーションを取る

職場での人間関係は、年代や男女の別を問わず離職原因として大きな割合を占めているので、上司と部下が適度に面談してコミュニケーションを取ることが重要です。
職場でのコミュニケーションが不十分であれば相談もしづらいため、お互いの思っていることや考えが理解できず、ちょっとしたことですれ違いが生じやすくなります。
また上司と部下との距離が遠いと信頼関係が生まれにくく、仕事におけるモチベーションンが上がりません。

また上司と部下との距離が遠いと信頼関係が生まれにくく、仕事におけるモチベーションンが上がりません。
具体的な対策としては、定期的に上司と部下が話し合う機会を設けることです。
制度として話す機会があれば必然的にコミュニケーションが生まれ、仕事が進めやすくなる効果があります。

対策2.労働時間の見直しを行う

残業が多い会社ほど離職者も増えやすいので、残業が常態化している職場では労働時間の見直しを行いましょう。
長時間労働を防ぐ具体的な対策としては、タスク管理を徹底して業務を効率化する、フレックス制などの勤務制度を導入するといった方法が考えられます。

もっとも業種によってはどうしても残業時間が長くなってしまうこともあるので、ポイントは他社と比較して残業時間や休日日数などが適切かをチェックすることです。
同業他社より待遇が良い会社があれば離職率増加につながるので、この点には注意して労働時間の調整を行いましょう。

対策3.採用や人材育成の方法を見直す

社員の定着を図るためには、採用や人材育成など根本的な部分から、離職につながっている要因を分析し、やり方を見直すことが重要です。
根本的な部分に離職の原因がある場合、その原因を対策しない限りは、ほかで対策を講じても結局は辞めてしまいます。

採用の段階では、例えば、単に能力が高いからという理由で採用するのではなく、職場の雰囲気や他の社員に馴染めそうかといった視点を持ちましょう。
仕事の能力だけで採用を決めてしまうと企業理念と社員の目標が一致せず離職のリスクが高まり、すぐに辞められて無駄なコストがかかる可能性があります。

また人材育成においては、OJTに限定している場合は見直しをおすすめします。
OJTの特性上、どうしてもOJT担当者のスキルやタスク状況によって、育成結果が異なります。
新人全員が一定のレベルに到達できるよう育成方法を見直すことで、仕事についていけなくなって離職するといった事態を回避できます。
具体的な方法としては、次で説明する社員研修の方法などを参考にしてください。

対策4.社員研修を実施する

社員研修が不十分だと業務を担う上で持ち合わせておくべきスキルや知識が不足して社員が仕事で力を発揮できず、やりがいを感じられずに離職してしまう可能性があります。
社員研修を充実させて社員のスキルアップを図れば仕事ができるようになり、周囲からも信頼され、自己肯定感を高めていきいきと仕事に臨めます。

研修の方法としては、新入社員が一斉におこなう研修のほかに職種別の研修などを設ける方法があります。
それにより、業務に欠かせない基礎的なスキルを同職種内のメンバーが全員取得できます。
また、どの会社でも実施するOJTにおいても単にマニュアルを説明するだけでなく、困りごとがあればすぐに相談できる仕組みをつくる、といった工夫を取り入れることで、新人が仕事に息詰まることも減って離職率増加を防ぐ結果につながるでしょう。

対策5.評価制度を見直す

仕事の成果に応じて適切な評価がなされるように、評価制度を見直すことも重要です。
評価制度が整っていないと上司の采配に評価が左右されてしまうため、成果と評価が一致しなくなって社員のモチベーション低下を招きます。

人事評価制度のポイントは、何を評価するのか評価項目を決めた上で、職務内容や階級に応じて各項目の比重を決めることです。
例えば、新入社員であれば能力よりも仕事に取り組む姿勢に比重をおく、上位の役職であれば能力や成果に比重をおくといった評価の仕方が考えられます。

5.まとめ

離職者が増えると採用や教育のコストが無駄にかかる上、残された社員の負担が増えて生産性が下がり企業イメージにも影響します。
離職理由として多いのは、給与の安さや職場での人間関係、そして長時間労働などが挙げられます。

また若い世代で給与の安さが離職理由の上位にあがりやすいように、年齢や性別による違いもあるため、自社の社員の構成比率に合わせて対策を考えることも重要です。
離職率の増加を防いで離職者を減らすには、面談を実施するなどしてコミュニケーションの円滑化を図ったり、労働時間の見直しに力を入れたりといった対策が有効です。
原因に合わせ、適切な対策を実施しましょう。

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