コロナウイルス対策は先の見えない長期戦に入ってきました。
時差出勤やテレワークも、さらに定着と活用が求められます。
私たちの働き方を変える機会ととらえ、前向きに取り組みたいところです。
さて、前回は「オフィス業務効率化に大きな効果を発揮するRPA(Robotic Process Automation)やエクセルマクロを導入するためのポイント」についてお話しました。
最終回は、今後機械化が進展した場合の仕事の変革について考えてみたいと思います。
まず、RPAやエクセルマクロがオフィスの中で増えていくと、それらをしっかり管理する仕事が必要になります。
それぞれがどのような機能を持ち、どのような仕組み(仕様)で造られているのかを記録・保存し、必要な時に参照できる状態が必要です。
これができていないと、制度改正やサービス仕様変更などがあった場合に適切に対応することができず、いつの間にか使えない道具があちらこちらに置き去りになり、いわゆる「野良ロボット」が増殖するリスクがあります。
また、RPAは人事情報などの重要なデータベースにアクセスすることもありますので、どのRPAがどの情報を扱って良いかの権限管理も欠かせません。まさに「RPA人事部が必要」と言われる所以です。
そして、機械化が進むにつれ、人間は転記や照合などの単純作業から解放されることになります。
一方で、私たちの仕事にはより高い付加価値が求められます。
例えば、業務プロセス全体の中での機械の配置や活用を考える「プロセスマネージャー」のような仕事です。
仕事の手順をフローチャート形式で書き出してメンバーと共有する効果を前回お話しましたが、ここではさらに視野を広げて考えます。
お客さまからの申込書の受付から、照合、確認、審査、記録、取引報告書の送付までの一連の業務であれば、その全体プロセスを見渡した上で、作業負荷の大きさや要求される品質(正確性)などから、機械化の優先順位を決めます。
また、「このRPAは類似の○○業務でも使えるのでは?」といったアイディアを出せれば、効率化がより促進されます。
さらに、従来事務作業に費やしていた時間や人員を、業務効率化やサービス向上に活用することが可能となります。
機械化で処理時間が短縮されればそれだけでも顧客サービス向上に寄与することになりますが、捻出した時間を活用して、これまで「クレーム」として処理してきたお客さまの「声」にもう一度耳を傾けてはいかがでしょうか。
そこにはサービス向上のヒントがたくさんあることに気付くはずです。
3月24日付の日本経済新聞には「次は『働きがい改革』 満足度など測り改善、生産性向上」の見出しで、「エンゲージメント(従業員の貢献意欲)が経済界の合言葉になっている」と紹介されています。
エンゲージメントは会社と個人が「新しい価値」に向かって共に努力する環境が必要です。
RPAやエクセルマクロを活用して負荷の大きい単純な事務作業から解放されることを契機に、より次元の高い事務マネジメントとサービス向上への取り組みに軸足をシフトできれば、その具体的な一歩となるでしょう。