スモールビジネスの成功戦略その1 Author:森田 昇

2021年6月3日|カテゴリー「『ビジネストレンド』コラム
ワークライフバランス

こちらのブログでは、「人生100年時代のキャリアを考える」をテーマに、「現状のキャリア構築のどこに問題があるのか、この先どうキャリア設計していくことが必要か」という問いに対して、全5回の連載で順を追って解説しています。



今回はその中の1回目『なぜ今、スモールビジネスなのか』についてお届けします。


 

「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」という本をご存じでしょうか?著者であるリンダ・グラットンはその中で「長寿化による人生のリスク」を指摘しています。これまでの私たちは、20歳前後まで義務教育を受け、60歳まで企業内で熱心に働き定年を迎え、65歳までの継続雇用中に老後の準備をする。その後は引退して余生を楽しむ――そう想定して、人生におけるキャリアを会社に預けて生活できました。そう、終身雇用制度に守られて。

 

しかし、会社の給与や退職金に国の年金もあてにならない今、65歳までの働きでその後の長い人生を賄うほど貯蓄をするのは難しくなっていきます。2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されている人生100年時代、65歳で引退すると残りの余生は35年。これを年金だけで過ごせるとは、もはや誰も思ってないでしょう。ですので、20代から60代という時期を、仕事一辺倒、同一会社に仕えて会社内キャリアアップ一筋で過ごすには危険なこと、という認識を持っている方も多いと思います。

 

「ただ長い」だけの人生ほどつまらない、そしてツライものはありません。そういった人生を過ごした方が最期に思うことのNo1「思い通りに生きればよかった」No2「こんなに働かなくても良かった」です(「死ぬ瞬間の5つの後悔」より)

 

だったらせめて自由に使えるお金があれば、と感じますが、日本は大半の国民が老後資金に不足すると想定しています。寿命が延び、退職金が減少し、年金支給額が減少すると推測されているからです。いわゆる老後資金2,000万円不足問題です。また健康寿命も延び、すでに100歳以上の方は8万人を突破しています。その中で65歳以降も知力・体力はもちろん、気力・能力・活力ともに高いまま、定年を迎えてやることがなくなって100歳まで生きてしまうのはつまらなく、またツライことでしょう。

 

いや、やることがなくなるだけならまだよし。やることがなくなったうえで、さらに日々の暮らしを守れるお金がなくなるのが一番の問題です。となれば、できるかぎり健康に過ごし、より長く働くことを考えてしまいがちですが、会社の定年はそうそう延びません。それに会社にも寿命というものもあり、一部の歴史ある企業を除けばその平均寿命は30年です。私たちの社会人生活よりもその寿命が短いので、定年まで必ず1回は転職しなければならないとデータは教えてくれています。そうすると退職金は確実に減ります。

 

さらに超一流企業のトヨタ自動車の社長でさえ20195月に「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と話すなど、ずっと1社で長く勤め、退職金と年金で優雅な老後を過ごすことは、もはや幻想となりつつあります。年金支給額は年々減り続けていますし、支給年齢も徐々に引き上げられています。長生きすること自体が私たちの人生におけるリスクとなっているのです。人生100年時代はリスクの時代とも言えるでしょう。


歩く女性

ショッキングな事実ばかり並べてしまいましたが、そこでスモールビジネス』の出番です。

 


今は働き方改革による副業解禁の流れに乗れますから、自分で事業を作って副業や起業をすれば、定年とは無縁となり、その気になれば人生100年まで世の中に価値を提供して、稼ぎ続けることもできます。組織に雇われているだけで老後の経済的な不安に苛まれるくらいなら、年金や資産運用で悩むくらいなら、長く小さく働くことを考える方がリスクなくて良いと思いませんか?

 

もちろん、お金を稼ぐのはそれを欲しいモノと交換できるからであり、お金だけを人生の目的にするわけではないです。働き甲斐や楽しみ、人生における生き甲斐も含めて、経済的に不自由しない人生を送るうえで価値があるからです。

 

人生の選択肢を増やせるのがスモールビジネスです今の時代は、かつては副業できなかったものができるようになった、起業に必要なオフィスや設備や人件費などの費用もなくなった、会社を辞めなくてもビジネスを始めることができるようになった、とスモールビジネスを立ち上げやすい環境となっています。費用をかけ過ぎてキャッシュがなくなるリスクを最小限にしてビジネスを始めるためには、業種は自由で構いませんが、業態を選ぶ必要があります。

 

オフィスを構える、設備投資する、人を雇う、これ全てリスクです。さらに言えば、在庫を持つ、広告に頼る、店を出すというのもリスクでしかなく、そのようなビジネスモデルだとスモールではなくなります。副業から始めるのなら、なるべくリスクのない、それでいて成功しやすい方法でやりたいと思いませんか?


次回からはその方法をより詳細に解説したいと思います。





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森田昇講師
森田 昇(もりた のぼる)

【経歴】
1975年埼玉県生まれ。
長年IT業界で幅広い業界のプロジェクトをプロジェクトリーダー、マネジャーとして牽引する。業界での部下指導の経験を通じて、人が変容していく瞬間に携われることにやりがいと楽しさを覚え、研修講師の道を目指す。9回に及ぶ転職の中でもその想いは消えず、経営者、経営幹部向けの研修も行えるよう、中小企業診断士の資格を取得。その後独立し、個人事業主としてあさみコンサルティングを設立。研修講師の他に経営コンサルタントや資格予備校講師としても活躍中。
受講生を飽きさせない、笑いと温かみのある講義を特徴とし、受講生の思考や感情に刺さる「言葉」の価値を提供する。東京都中小企業活力向上事業の支援担当員など、経営コンサルタントとしての実績もあり。
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