こんにちは、組織開発ファシリテーターの嶋田至です。
これから3回にわたって、ファシリテーションの基本的な考え方をお伝えしたいと思います。
ファシリテーションという言葉は、この数年のあいだにずいぶん認知度が上がりました。
「若手にファシリテーションを学ばせています」とか、「社内の会議のファシリテーターをやっています」といったようなお話も、よく聞かれるようになりました。
ところで、ファシリテーションってなんでしょう?
日本語に直訳すると、「促進すること」や「容易にすること」ですが、これだけではよくわかりません。
ファシリテーションという言葉を使っている人に尋ねると、さまざまな答が返ってくるように思います。
「司会者進行役」や「MCみたいな人」と言う人が多いかもしれません。
「話をまとめること」や「意思決定を導くこと」と言う人もおられます。
「会議を仕切ったり、コントロールすること」と定義する人もおられます。
堀公俊さんは『ファシリテーション入門』(日経文庫)のなかで、「集団による知的相互作用を促進する働き」と定義されています。
「人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶようにする」ことがファシリテーションだということです。
ファシリテーションの定義には、「これが正解」というものはありません。
私は、ファシリテーションをひとことで言うと、「知恵と力を合わせられる場づくり」だと説明しています。
ここでいう「場づくり」の「場」とは、会議室のような場所や空間のことではありません。
そこに集まった人たちの「関係の質」のことです。
「関係の質」とは、人間関係の豊かさの指標と言ってもいいでしょう。
どれだけおたがいのことを理解しあえているか、どれだけ信頼しあえているか、おたがいに支えあう関係性はできているか...といったことが「関係の質」です。
つまり、ファシリテーションとは、その場にいる人たちの「関係の質」を高めて、豊かなコミュニケーションを促し、協働の関係性をつくることなのです。
司会進行役をしたり、話をまとめたり、意思決定を促したりしながら、みんなの知恵と力を合わせる場をつくっていくことがファシリテーションであると言えるでしょう。