さまざまな分野

2021年1月18日|カテゴリー「さまざまな分野
初めての資産運用の心得
退職時期が近づくと「退職金」の行方が気になりはじめる頃だと思います。
受け取る退職金を「どのくらい使う?」、そして「どこに貯める?」といった具合に多方面から思案をされると思います。

これを機会に「資産運用にチャレンジしてみたい」という方も少なくないようです。

これまで資産運用を積極的におこなってきたベテラン個人投資家はともかく、資産運用の未経験者あるいは会社の確定拠出年金でチョッピリ投資信託による運用をした経験を持つ等の初心者は、事前に知っておけば、多少なりとも役立つことがあります。

今回は、「資産運用の心得」を後編です。


初めての資産運用の心得
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)基本ポートフォリオより筆者が作成
スタートに当たっての運用対象資産は、分散を基本としつつも、対象資産を広げ過ぎず興味・関心がある資産から始めましょう。
興味・関心が湧いてくれば、次に異なる資産を組み合わせて投資先を分散し、値動きを平均化させることで価格変動の幅を小さくなるように工夫します。この手法は、資産の分散投資と呼ばれています。

資産の分散投資のために用いる「一つの物差し」として、公的年金を運用している世界最大級の機関投資家「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)※2」の資産運用構成(ポートフォリオ)が参考になります。

初めての資産運用の心得
年金積立金管理運用独立行政法人の資産運用構成と自分の資産の分散の割合を比較して、株式および海外投資比率の構成比が高くなっていれば、リスク・リターンは増加する「攻めの運用」といえます。
反対に低いとリスク・リターンが減少する「守りの運用」と考えておくと良いと思います。

初めての資産運用の心得
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)より画像引用

世界最大の機関投資家であっても分散投資は基本です。
価格の上昇・下落に見舞われながら、賛否両論ある中で資産の構成比も随時見直しつつ2001年来の運用成績は年率3%を超える水準を維持しています。

だれしも収益期待は大きくなりがちです。「もっと」という欲をグッと抑えて、自分の目標収益を見失わないように注意しましょう。

前編の退職金キャンペーン部分でも触れましたが、資産運用に関わる手数料にも関心を持ちましょう。
手数料は運用成績の良し・悪しに関わらず徴収されます。手数料が原因で投資収益が圧迫されてしまっては本末転倒です。

初めての資産運用の心得
運用対象資産の値動きに関心を持ち、下落要因に止まらず上昇要因についても関心を持って情報収集を行います。

近年、ニュースの接し方に変化が起きているようです。情報収集のためには、ニュースは貴重な情報源となりますが、新聞・テレビ・ラジオのニュースから情報収集する機会が減少傾向にあり、スマホ等を通じたニュースでの情報収集機会が増加しているようです。

スマホ等ニュースは、出どころ不明の情報も混在していることも皆無ではなく、また、読者自身にとって興味・関心のあるニュースなど自分にとって都合の良い情報のみを検索、あるいは自分の意見と同じ記事を探してしまい判断を見誤る懸念があります。

資産運用に関わる情報収集では、出どころ不明の記事には注意を払い、異なる立場の記事にも目を通して客観性を保てるようにするように心掛けたいものです。

他方、資産運用の世界では、「専門家」と称する識者が登場します。
その識者は、金融商品の「販売サイドか?」、「中立な立場か?」、「購入者サイドか?」それぞれの立ち位置により、提供される情報内容に違いがあります。

どの立場の識者(専門家)であっても運用結果という未来予想を事前に的中させることは不可能です。
あくまで参考意見と位置付けましょう。
初めての資産運用の心得
自分なりに値動きの原因が理解できるようになったら、徐々に対象資産と金額を増加させましょう。
この段階までは、スタートしてから数ヶ月あるいは数年かかるかもしれません。
慌てずじっくりと構え「急いては事を仕損じる」という事態に陥らないようにしましょう。

他方、ここに到達しなくとも、ステップ4にあるように「つみたてNISA」を活用して時間の分散投資を図りつつ、毎月コツコツ積立運用をおこなっておくのも良いと思います。

くどいようですが、「いきなり」は慎みましょう。

初めての資産運用の心得
資産の値動きに一喜一憂せず、「お金を育てる」というイメージで長期の運用が良いと思います。

長期運用の概念は、退職金の安定運用を目指す上で重要なポイントであると考えますが、若年層に該当するような30年も40年も運用期間を見込む訳ではありません。

退職金の運用では、年単位を一つの目安として、自分自身の手仕舞いルールを設けましょう。
例えば、収益面をルール化するのであれば「投資元本から20%値上がりしたら手仕舞いする」、あるいは「年限(例えば3年or 5年 or 10年)を決めて手仕舞いをする」といった具合に各々で出口を決めましょう。

そうしておかないと、思わぬ損失に見舞われた際には「塩漬け」という状況に陥り、反対に収益が出れば出たで「もっと」と欲が邪魔をします。

結果として、いつかは使うための退職金であったはずが「いつまでも使えないお金」となってしまっていては、元も子もなくなってしまいます。

初めての資産運用の心得
退職金の資産運用は、未経験者・初心者とって多少のハードルが存在していますし、成功も約束されていません。
運用以外に安心して退職後の生活を送るために以下の選択肢も効果があると考えますので最後にご紹介します。

●住宅ローン等の借り入れがある場合には、将来収支を考慮しつつ、繰り上げ返済を実行しましょう。運用で安定して3%稼ぐのは困難極まりないですが、借入利率分(例えば1.5%)相当のステルス的な収益が安全・確実に見込めます。

●生命保険などの見直しで保険料負担の削減。不要な保障は保険料の無駄になりかねません。保険においては安心を求めず、万が一の際に備える最低限必要な金額に止めましょう。

●家計支出に関心を持ちましょう。一般的に退職後の日常生活費のうち、交際費や交通費、小遣いなどは減少する傾向があります。新たに出ていくお金を捕捉して管理するだけでも老後の資金不安は和らぎます。
 
ニューヨークダウの史上最高値更新や日経平均株価のバブル崩壊後約30年ぶりの高値。
一時は死語になりつつあった「貯蓄から投資へ」という言葉が復活しているようです。
こんな時こそ注意が必要」と考えますが、5年後・10年後という目線においてはリタイア後の資金に対する自助努力は大切だと思います。

運用には困難な場面が訪れることもあるでしょうが、「手をこまねいてみている人」と「リスクを恐れず負けにくい工夫した人」では結果は異なるでしょう。
せっかく手にする退職金です。老後資金の不安に苛まれ、焦って増やそうとすればするほど深みにはまりやすくなります。

退職後の資産運用は、「お金をじっくり育てる」という心積もりで踏みでしてみてはいかがでしょう。

※1 金融庁:あなたとNISA  
 
※  年金積立金管理運用独立行政法人 基本ポートフォリオの考え方

◆前回の記事

シルバー社員のセカンドライフ応援研修

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シルバー社員のセカンドライフの応援を目的とします。シルバー社員のマネープラン(得する知識)、キャリアデザインがセットされた研修です。
オンライン研修でありながら講義形式だけでなく、ワークを取り入れた参加型研修となっております。



JBMでは、上記以外の研修も柔軟に対応させていただきます。
ご質問やお見積りにつきまして、お気軽にお問い合わせくださいませ。
石村 衛(いしむら まもる)講師
石村 衛(いしむら まもる)講師

【経歴】
FP事務所 ライフパートナーオフィス 代表
東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザー
株式会社JBMコンサルタント 契約講師

【資格】
ファイナンシャルプランニング1級技能士
日本FP協会 CFP(R)

大手食品メーカーにて、全国にまたがる流通卸や大手小売企業の営業を担当。その後、社内管理部門やマーケット開発部門、東京広域支店支店長を務める。
2001年 FP事務所ライフパートナーオフィスを開設、代表就任。相談業務をおこなうと共に若手・ベテラン、退職予定者向け等に向けた「ライフプラン講座」などの官公庁や企業研修講師を多数務め、その他「金融経済教育」をテーマにした小・中・高校・大学・専門学校における出前授業やイベント、保護者向けの教育資金講座やお金と生活のかかわりに関する講座などを幅広く手掛け、年間100件以上(2019年実績)を務める。ちびっ子からシニア層まで幅広く対応しており、「中立・公正」、「わかりやすさ」をモットーにリピートでご依頼いただくケースが多い。
著書に「お金ってなんだろう?~子どもに伝えたい大切なこと~」(PHP研究所)他


≪主な研修実績≫
ライフプラン/金融リテラシー/キャリア育成/確定拠出年金/金融商品販売者・購入者/入社前/新入社員/若手社員/中堅社員/退職予定者
コンクール指導
消費者教育の推進に関する法律 第14条3 対応研修

≪主な実績企業≫
官公庁/地方自治体/大手金融機関/信用金庫/保険代理店/商工会議所/法人会/公益社団法人/一般社団法人/大手製薬会社/部品加工会社/私立大学/公立学校 その他多数


※お電話の場合は「06-6356-8522」までお問い合わせください
2021年1月12日|カテゴリー「さまざまな分野
初めての資産運用の心得
退職時期が近づくと「退職金」の行方が気になりはじめる頃だと思います。
受け取る退職金を「どのくらい使う?」、そして「どこに貯める?」といった具合に多方面から思案をされると思います。

これを機会に「資産運用にチャレンジしてみたい」という方も少なくないようです。

これまで資産運用を積極的におこなってきたベテラン個人投資家はともかく、資産運用の未経験者あるいは会社の確定拠出年金でチョッピリ投資信託による運用をした経験を持つ等の初心者は、事前に知っておけば、多少なりとも役立つことがあります。

今回は、前編・後編の2回に分けて「資産運用の心得」を記載していきます。

退職金を受け取ると金融機関より「退職金キャンペーン」の勧誘を受ける機会が訪れます。
代表的なキャンペーンには、満期まで期間の短い定期預金(3か月満期等)に0.1%~0.3%程度相当の金利が上乗せ適用される「金利優遇定期預金」や「退職金キャッシュバック」「ポイント還元」といった金融商品が用意されています。

これらのキャンペーン商品は、メリットはそれほど大きくないものの、相対的に安全志向の商品が中心になっています。

一方、「優遇金利5%」あるいは「それ以上」といった目を疑うような破格なメリットを謳った退職金キャンペーンも存在しています。

よくよく目を凝らしてみると、多くの金融機関では高金利の適用を受けるためには条件が定められており「退職金の50%以上は金融機関が事前に指定している投資信託の購入」というキャンペーンが代表例だと思います。

このキャンペーンでは、定期預金部分は「優遇金利は3か月定期預金に適用」と老眼鏡をかけないと見えにくいほどの小さな文字の注意書きが、欄外に書かれています。

これを見た資産運用の未経験者や初心者の中には、「ちょうどよかった!」退職金の全額を運用に回すのは不安だが、「退職金の半分を運用して半分を安全性の高い定期預金で利息が稼げるなら一石二鳥」と感じても不思議ではなく、このように考えている人にとってはむしろ「渡りに船」で魅力的なキャンペーンに見えてしまうかもしれません。
 
初めての資産運用の心得
冷静に分析してみましょう。仮に退職金のうち1,000万円を5%の金利が付く「3か月定期預金に500万円」、「投資信託に500万円」という配分で振り分けたと仮定します。

預金の利息計算は、3か月定期の適用金利が5%の場合、
500万円×0.05÷12か月×3か月=62,500円(税抜)

これだけ見ると、超低金利に現状では魅力的と感じるかもしれませんが、この優遇金利は高金利適用の3か月経過後に満期を迎えたあとは、優遇の無い通常金利が適用され、何も手続きをしなかった場合には普通預金金利0.001%(令和2年12月金利)が適用され、満期後の1年経過時の受取利息は、50円(税抜)と激減してしまいます。

一方、投資信託に振り分けた資金500万円に対しては、金融機関の「お勧め投資信託」がずらっと並んでおり、未経験者、初心者にとっては、「どれを選んだらよいのか?」見分けがつかない状態に陥るでしょう。
当然のごとく、「どれを選んでよいのか?」金融機関の担当者に説明を求めることになるはずです。

ここで注意したいのが、売りたい人(この場合には金融機関の担当者)の提供する情報は「買ってほしい」という願いがタップリこもった情報の可能性は否定できません。
ということは、この願いがこもった情報には、買い手(=退職金による購入者)にとって必ずしも最適な情報提供とは限らないこともありますので、注意が必要です。

さらに投資信託は、元本保証ではないため運用方針に定めのある株式や債券などの運用先の把握は不可欠であるにもかかわらず、買い手の理解不足があっては後悔のもとになりかねません。

初めての資産運用の心得
よくあるケースですが、説明を受けた時には「何となく理解したつもり」であったはずが、その後、期間が経過しての運用結果が芳しくなく、原因不明状態に陥ってしまうことで「こんなはずではなかった!」と悔やんでも「あとの祭り」となってしまいます。

運用成績次第では、前述の定期預金分の優遇金利は「アッ」という間に消滅、あるいは含み損を抱える事態となりかねません。

また、投資信託には手数料が発生しますので、この手数料もしっかり把握しておかないと手数料による預金で得られる優遇金利利息が消滅してしまっては元も子もないはずです。

一般的に投資信託の手数料は、購入時にかかる「販売手数料」と資産を管理・運用する「信託報酬」で構成されます。
最近は販売手数料ゼロを謳う投資信託も増加傾向であるとはいえ、多くの投資信託の販売手数料は、概ね0.5%~2.5%程度になっています。

一方、信託報酬については、株式や債券などの運用先によって大きく異なり、概ね0.3%~1.5%程度が運用資産の中から徴収されていきます。

例えば、先ほどの例のように優遇金利5%の定期預金に500万円と販売手数料2%で信託報酬1.5%がかかる投資信託を選定してキャンペーンに参加、500万円を投じたとします。

この場合、投資信託の販売手数料は、
500万円×0.02=10万円(税抜)

販売手数料として10万円(税抜)が購入金額から差し引かれ490万円分の投資信託を購入することになります。
すでにこの時点で前述の例題では優遇金利の利息は消滅するどころか赤字に転落してしまいました。
おかしいですね。金利優遇メリットは存在しなかったのでしょうか?
初めての資産運用の心得
答えは「いいえ」でもあり「はい」でもあります。

いいえ」の場合は、2%の販売手数料が、実質0.5%に「軽減できた」と解釈が可能でしょう。

はい」の理由は、それならわざわざ手数料の高いキャンペーン対象の投資信託をセレクトせずに、「もっと販売手数料の低い、あるいはゼロの投資信託を候補にした方が良いのでは?」という選択肢があっても良いかもしれません。

さらに信託報酬については、「価格の上昇・下落」という値動きのある最中に徴収する運用期間中の手数料ですので、本来ここでは算出不能です。
あえて不正確ながら説明のために簡略化して記載すると、上記のキャンペーン利用の場合、定期預金部分の利息は考慮せず、販売手数料を支払った後に購入することになる投信490万円が、首尾よく1年後に信託報酬を控除しなかったと仮定した場合の評価額が505万円相当に上昇していたと仮定します。

このケースにおいて、現実には信託報酬は運用資産の中から支払われ、支払われたあとの資産評価に対する基準価格が表示されるため、基準価格に基づく評価額は505万円とはならず、1.5%の信託報酬を支払った後の495万円相当の基準価格となります。
このように、投資信託の購入者は気が付きにくいと思いますが、大まかな仕組みを知っておけば「徳はなくとも損もない」と思います。

販売手数料は、購入時の一回限りですので、投資信託を保有期間保有し続ければ1年あたりの実質負担は徐々に減少するとしても、信託報酬は保有期間中「ずーっ」と支払いことになります。
したがって、前述の例では最低毎年1.5%以上の投信の資産価値上昇が無いと収益は生み出されませんので、信託報酬は運用のハンディキャップになることは、理解しておきましょう。

売り手が、手数料の高い投資信託を「一所懸命推奨する」という邪推は考え過ぎとしても、手数料が「高い」からといって良好な運用成績が見込めるわけでもなく、「低いから成績期待が劣る」ということもありません。
手数料の高・低は運用結果とは無関係であり、販売会社や運用会社などに対する謝礼であることは、しっかり認識しておきましょう。

ここで誤解の無いように記載しておきますが、筆者は退職金を元手に資産運用を行うことに反対ではありません。
むしろ賛成という考えです。
賛成する前提条件として、未経験者や初心者が、資産運用をする場合には、目先の損得に惑わされることなく「自分の判断で取引できるようになること」だと信じています。

そのためには、以下の10の「ステップを踏む」と良いと思います。

初めての資産運用の心得
まずは、資産運用の「元手となるお金」を作ります。
元手となるお金については、退職金を候補とすることに異論はありませんが、退職まで頑張ってきた証である退職金は、老後のための大切なお金です。

当面10年程度は使う予定の無いお金が候補となるお金になります。
勧められるまま運用」や「流行りに乗っかる運用」、あるいは「理解不能は複雑な仕組みの運用」は慎みましょう。

スタート直後は、思惑や意図とは異なる結果(損失等)に対する耐性がありません。
極端な例ですが、まずは投資元本全額を失っても構わない程度の資金を用意してスタートしましょう。

大きな金額である必要はなく、スタート時は数千円でも十分だと思います。
最初は「運用」というよりも、興味・関心を高めるための「授業料」のつもりという心構えで臨みます。

運用対象となる資産を研究します。

● リスク(=不確定要因)が高い反面、収益期待の高い資産(例えば現物株投資)
● 収益期待は低めであってもリスクが低めの資産(債券)
● 家賃収入期待の不動産
● 資産の対象を国内又は海外
● 広く分散させるタイプの投資信託など

様々な資産が候補となりますので、それぞれの特徴や注意点などを確認しましょう。

ハイリスク・ハイリターンのギャンブル的な金融商品は手を出さないように意識を高めましょう。

初めての資産運用の心得
● 外国通貨為替取引(FX ドル・新興国通貨取引等)」
● 暗号資産取引(仮想通貨 ビットコイン等)
● 信用取引(株式等)
● 先物取引(金利・為替・株式・商品等)

は、特に注意が必要です。

これらに共通しているのは、
● 付加価値は生み出されず勝者と敗者のみに分かれるゼロサムゲーム
● 投資元本の数倍~数十倍のレバレッジ取引が可能
● 値上がりor値下がりという偶然に賭ける

といったハイリスク・ハイリターン商品です。

初めての資産運用の心得
利用できる仕組み・制度のメリット・デメリットをしっかり理解して利用を検討しましょう。

例えば、少額で時間の分散効果があり税にやさしい「つみたてNISA」をはじめるのも一つの手法です。
つみたてNISA(※1)は、時間の分散投資効果でリスクの軽減が期待できます。

また、監督官庁である金融庁の意向もあり、対象となる投資信託はすべて販売手数料が不要で、信託報酬も現在国内で販売されている投資信託の信託報酬平均に比べて大幅に低水準となっています。
反面、積立金額に限度額が設けられており、取扱金融機関に専用証券口座を開設する必要があるなど注意点もありますので確認しましょう。



以上、前編はここまでです。
次回は、【ステップ5】~【ステップ10】までをご紹介いたします。
お楽しみに。

※ 金融庁:あなたとNISA  

シルバー社員のセカンドライフ応援研修

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シルバー社員のセカンドライフの応援を目的とします。シルバー社員のマネープラン(得する知識)、キャリアデザインがセットされた研修です。
オンライン研修でありながら講義形式だけでなく、ワークを取り入れた参加型研修となっております。



JBMでは、上記以外の研修も柔軟に対応させていただきます。
ご質問やお見積りにつきまして、お気軽にお問い合わせくださいませ。
石村 衛(いしむら まもる)講師
石村 衛(いしむら まもる)講師

【経歴】
FP事務所 ライフパートナーオフィス 代表
東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザー
株式会社JBMコンサルタント 契約講師

【資格】
ファイナンシャルプランニング1級技能士
日本FP協会 CFP(R)

大手食品メーカーにて、全国にまたがる流通卸や大手小売企業の営業を担当。その後、社内管理部門やマーケット開発部門、東京広域支店支店長を務める。
2001年 FP事務所ライフパートナーオフィスを開設、代表就任。相談業務をおこなうと共に若手・ベテラン、退職予定者向け等に向けた「ライフプラン講座」などの官公庁や企業研修講師を多数務め、その他「金融経済教育」をテーマにした小・中・高校・大学・専門学校における出前授業やイベント、保護者向けの教育資金講座やお金と生活のかかわりに関する講座などを幅広く手掛け、年間100件以上(2019年実績)を務める。ちびっ子からシニア層まで幅広く対応しており、「中立・公正」、「わかりやすさ」をモットーにリピートでご依頼いただくケースが多い。
著書に「お金ってなんだろう?~子どもに伝えたい大切なこと~」(PHP研究所)他


≪主な研修実績≫
ライフプラン/金融リテラシー/キャリア育成/確定拠出年金/金融商品販売者・購入者/入社前/新入社員/若手社員/中堅社員/退職予定者
コンクール指導
消費者教育の推進に関する法律 第14条3 対応研修

≪主な実績企業≫
官公庁/地方自治体/大手金融機関/信用金庫/保険代理店/商工会議所/法人会/公益社団法人/一般社団法人/大手製薬会社/部品加工会社/私立大学/公立学校 その他多数


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2021年1月8日|カテゴリー「さまざまな分野
オペレータの意識改革
ある会社で、朝9時からプレゼンをしなければならず、少し早めに着いた私は、約束時間まで来客スペースで仕事をさせて頂いていました。

そこの会社の来客スペースは、いつ来ても綺麗な所です。川のせせらぎや鳥の声なども聞こえ、朝からリラックスできます。
一人で黙々と仕事をしていると、そこにその会社の社員さんがいらっしゃいました。そして、何やら、ゴソゴソと掃除をし始めたのです。

ビルの清掃業者も入っているのになぜ?と思いましたが、社員の皆さんが掃除を始めました。
10分後、「あー綺麗になりましたね!お疲れ様でしたー!」と言って、掃除は終了しました。
 
おぉーこれは、すごいぞ!と思いながら、一つのことを思い出したのです。
 
以前、センターのマネージャーをやっていた時に職場環境、特にオペレータさんの机の上にあるマニュアルや資料、ヘッドセットなどが整理されていなかったことがあります。
また、PC周りや机の上の埃が目につく、劣悪とまでは言えませんが、あんまり良い状態ではない職場環境でした。
 
そんな時、私は、職場環境整備の重要性をSVやオペレータさんに根付かせないといけないと思ったのです。
 
もし、あなたが、オペレータさんに綺麗な職場環境が重要だという意識を根付かせようとした場合、どのようにアプローチしていきますか?

・SVがオペレータに朝礼やミーティングで清掃の大切さについて話をする
・面談で一人一人に清掃に関して話をしてみる
 
こんなことをするSVやマネージャーが多いと思います。
しかし、現実は、そんなにうまくいきません。心から浸透させようと思うから失敗するのです。

私は、職場環境の整備は、オペレータさんの定着率に影響すると考えていたので、「クリーンデー」という制度を企画しました。
 
内容としては・・・・
毎週月曜日の朝礼後、コールセンタースタートまでの約5分間にOAクリーナーなどを使って、机の身の回りやヘッドセットなどの清掃をするものです。

どうせやるならということで、机にそれぞれ備え付けていたペンや付箋などの備品のチェックを行い、足りないものは補充したり、壊れかけているものは、交換したりするような施策を企画したのです。
 
オペレータの意識改革
すると・・・
SVやオペレータさんからは、掃除については、特に反対意見が多く、

「寺下さん、ビル清掃も入っているわけだから、わざわざ掃除する必要ありますか?」

「朝から掃除って、他にやることありません?」

「掃除の時間って、時給出ますか?」
 
とか色々な人が言うのです。
 
はい、はい、やりますよ!ま、いいからやってみましょうよと言って、半ば強引にクリーンデーという制度を導入しました。
当然ながら、最初は皆さん、イヤイヤながらやっています。

私になんとなく聞こえるように言ってくる声の一部をご紹介しますと・・・
「面倒だなぁ。」
「やる意味が分らない」
「なんで家の片付けも出来ていないのに、会社で掃除?」
「掃除は業務?」
「昨日、時間かけてネイルしたのに」
「手が汚れるし」
 
ほー、みんな言うねぇと思いましたが、それを3ヶ月ほど毎週のように続けました。
 そして、3ヶ月経過。
 
全体朝礼で、私は、次のように言いました。
「皆さんのご協力もあり、職場も綺麗になってきました。有り難うございました。そろそろ今月末にでもクリーンデーを終了しようと思います。」
 
すると・・・朝礼終了後に
 
オペレータの意識改革
「結構、気持ち良く仕事出来るから続けてもいいんですけどね。」
「こういうのって、大事ですね!」
「止めないでもっと続けましょう!」

と言い出すオペレータさんやSVが多数出てきたのです。

結局、3ヶ月のつもりが、1年近くやりました。


意識改革は、心から変えてやろうと思わず、実際に取り組みを始めてみると意外とうまくいくのかもしれませんね。

コンタクトセンター『運営診断』
コールセンターの「応答率」「生産性」「応対品質」など各種KPI指標は、担当部署から提出されるレポートだけでは必ずしも判断が出来ません。

当社ではコールセンター専門家人材育成のプロである寺下薫の診断により、弱点や課題を「見える化」し、問題を洗い出すと共に改善のきっかけを作ります。


寺下 薫(てらした かおる)講師
寺下 薫(てらした  かおる)

【経歴】
アデコ株式会社
ヤフー株式会社
クリエイトキャリア 代表

【資格】
キャリアコンサルタント(国家資格)
第1種安全衛生管理者
COPC®VMO規格登録コーディネータ
シンプルな線

外資系会社では、コンタクトセンターの立ち上げ、立て直しに数多く従事。200名を超える大型センターの責任者も務める。
ヤフー株式会社では、北九州センターの立ち上げをはじめ、トラブル時に1.5日で200席のレスキューセンターを立ち上げなどを経験。ヤフー人事では、管理職1,500名、新卒530名の育成に従事。2013年から問題解決養成塾「SV研究会」を開催し、70社221名のSVを輩出。現在は、クリエイトキャリア で研修や講演、執筆、コンサルティングなどを行っている。企業からの依頼で、問題解決やSV研修など数多くの研修を実施している。スケジュールは、1年先まで決まっている人気講師である。ワークショップを中心とした受講生に気付きを多く与える研修で、リピーターが多い。また、オンラインでの研修も経験豊富である。IT協会カスタマー表彰制度審査委員。著書は、「世界一速い問題解決」「実は、仕事で困ったことがありまして」


※お電話の場合は「06-6356-8522」までお問い合わせください
2020年12月21日|カテゴリー「さまざまな分野
テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
新型コロナウイルス感染症拡大の話題が中心となった2020年もあと少しですね。
一時は収まりかけた新型コロナウイルスの拡大が、再び起こり始めています。
テレワークや在宅勤務をいったんはやめた企業も多くあったと思います。
ただ、こうした状況のなかで再びテレワークや在宅勤務を進める企業も出始めており、今後の状況次第では再び続く、あるいはこのまま定着するという可能性も高いでしょう。

テレワークや在宅勤務という働き方に慣れたとはいっても、やはりなにかやり辛いところがある。そう考えている方も多いのではないでしょうか。
特にマネジメントにかかわるマネージャーの方々にとっては、こうした働き方のもとでのマネジメントに苦労しているという状況もあるのではないでしょうか。
マネジメントの都合もあって、マネージャーの社員は出社して、一方で部下たちはテレワークや在宅勤務、というところもあると聞きます。
マネージャーがなすべきことは、このコロナ禍で増えたというだけでなく、業務上の負担が大きくなったといえるかもしれません。
その原因が、コロナ禍での新しい働き方によるマネジメントの難しさにあるといえます。

ただでさえ、プレイングマネージャーとして業務を推進しているマネージャーにしてみれば、マネジメントに不慣れであればそれだけでも負担が大きいのに、コロナ禍によって、さらに負担だと感じてしまうでしょう
また、コロナ禍によって業績が伸びないために、今後さらに売上や利益を伸ばして取り返していかなければならないとなると、より負担が重くのしかかるということも考えられます。
実際にその負担によって、精神的にダメージを受けるマネージャーも多いと聞きます。

コロナ禍によってビジネスパーソンの働き方が変化する今だからこそ、マネジメントのやり方を見直していく必要があります。
今回は、テレワークや在宅勤務時において見直してほしいマネジメント上のポイントを、7つの観点で確認していきます。
これまで既に取り組んできたやり方の検証をする意味でも、確認していきましょう。

テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
そもそもマネジメント以前のことかもしれませんが、通信状態が不安定な状況では十分に部下とコミュニケーションをとることができません。
あるテレビのコマーシャルでも出ていたことですが、マネージャーが部下に向けて話している途中で通信が途切れてしまっては業務が円滑に進みません。
接続の場所、通信速度、接続する機器、接続が良好な時間など、通信環境にかかわることは十分に注意を払って確認しておきましょう。

これはマネージャーだけでなく部下も同様です。
各メンバーの通信状況についても確認して、良好な状態かどうか報告してもらうといいでしょう。
その内容によって、部下とのコミュニケーションのとり方や部下との会議の時間などを決めるようにしましょう。

オンラインでつないで直接話すだけでなく、スラックやチャットワーク等のコミュニケーションツールの活用もあわせて検討してみるといいでしょう。

テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
目標と実績の進捗や、売上、利益、経費などのいわゆる結果を表すような数字の推移に関しては、オンラインでつないで話して確認することが必須ではありません。
そもそも結果を表す数値データであれば見ればわかるものです。
部下から見方がわからないと言われたら対応は必要ですが、そうでなければ特に直接話すことはないでしょう。

なかには直接部下に数字を毎日伝えようとするマネージャーがいますが、彼らはたいてい感情を爆発させて部下を叱責します。
叱責まではいかなくても、部下に直接話すことでハッパをかけようとするわけです。
ただ、テレワークや在宅勤務のもとでは、それは時間を浪費するだけで非効率なことです。

もし数値を確認するとしたら、結果数字につながる別の指標を確認するといいでしょう。
何かの結果を示す数字は閲覧で十分です。
その数字だけのために時間をつかって部下を叱責するのは、リモートハラスメントを誘発しかねないので避けましょう。

テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
そもそも部下がどんな業務を担っているのか。 正確に把握できていないマネージャーも多いですね。 
それは部下が報連相しないからだ、というマネージャーがいますが、それだけが原因ではないでしょう。

 原因の一つとして考えられるのは、上司と部下が報連相できるような関係性があるかどうかです。
ただ、それだけではありません。

そもそもチームとして業務を遂行する以上、誰がどのような業務を担っているのかをマネージャーが把握していなければならないでしょう。
その把握ができていないことが、もう一つの原因ともいえます。

もし、部下の業務を正確に把握できていないのであれば、部下にリストアップしてもらい、マネージャーと部下だけでなく、他のチームメンバーも把握できるようにして、チーム全体で共有できるようにしましょう。

誰がどのような業務を担っているか把握できなければ、マネジメント対象業務がわからない状態になるので、早急にやるべきです。 

また、担当業務の変更があるときも、同じように把握してメンバーに共有しましょう。
これらをおこなったうえで、社内で使用しているコミュニケーションツールやシステムなどに落とし込み、マネジメントに活かしてください。
テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
業務のリストアップと同様にマネージャーが部下に指示する必要があるのは、業務内容の優先順位をつけることです。 
いつまでにどのような業務をおこなうのか、その点がわからなければ、適切なマネジメントがおこわれなくなる可能性があります。

部下が自身の業務すべてをリストアップした後に、マトリックス図などを用いて、業務の重要度と緊急度の振り分けをやってもらうようにしましょう。
重要度と緊急度で4つにわけた象限にそれぞれ業務を割り当てて、部下の業務全体を俯瞰できるようにします。

マネージャーはそこまでやってもらって静観するのではなく、その内容を確認しながら、チーム全体の目標や優先順位、時期などに基づいて、4つの象限への割り当てを修正することも検討しましょう。

部下とオンライン会議でそれぞれの業務の内容を確認しつつ、優先順位付けとともに重要度と緊急度の再確認も一緒にやっていくといいでしょう。
特に「緊急度は高くないけど重要度の高い業務」に関しては、いつまでにどのくらいまで業務を進めるかなど、さらに具体的なスケジュールに落とし込んで進捗管理をおこなうようにしましょう。

こうしてチーム全体の業務の状況を見ながらマネジメントをおこなえば、テレワークや在宅勤務の下でもマネジメントにかかる負担が減ってくるのではないでしょうか。
テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
結果の数字に関しては、コミュニケーションツールなどの情報共有で十分と述べましたが、その結果にかかわる様々な行動面での指標は設定しておく必要があります。 

たとえば、営業部門でいえば売り上げにつながるための顧客訪問数、また、人事部門でいえば、採用活動に至るための大学リストアップ数などです。

このようにカウントができる指標については、目標を決めたうえでその目標に到達するように取り組んでみましょう。
ただ、そのなかでも数値化できないものもあります。 その場合には、期限を決めたうえで、いつまでにその業務にかかわる行動を終わらせるかなど、期限という数値化できる指標を同じように用いるといいでしょう。

件数のカウントだけでなく、期限など数値化できるものは必ずあります。
パーセンテージなどで示させるものがあればそれでも大丈夫です。

このように、行動に関係する指標についても、数値化できるものは数値化してマネジメントをおこなっていけば、マネージャーと部下がお互いに共通認識をもって業務にあたることができるでしょう。
テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
行動指標だけではわからないような、業務内容の確認をおこなう場合には、部下とオンライン会議をおこなって確認する必要があるでしょう。
表面的な指標だけでどうしてもわからないことは、直接部下と話をすることで明確になるでしょう。

たとえば、個別案件の進捗や、優先順位付けした重要度の高い業務の進捗、また、抱えている業務に課題を発見した場合の相談事項などは、直接部下から聴くのが必要です。
そのときに、マネージャーの気分によって会議をいきなりやろうとするのは避けるべきです。
お互いにいつ、どのタイミングでオンライン会議をおこなうのか決めておかなければ、部下も苦痛に感じてしまいます。

マネージャー自身の都合で急に部下と会議を設定したがるというケースも時々見られますが、緊急性のある場合にはともかく、そうでない場合には、マネージャーと部下が、いつどの時間帯で会議をするのか決めておくようにしましょう。
「●曜日の●時から30分」などと、決まった時間でやるからこそメリハリがつくのです。
そして、どのようなことを確認するのかを予め部下に伝えておくことで、会議の時間の短縮を図ることができます。

チームの業務効率化やマネジメント業務の円滑化のためにも、できるだけ時間をかけずに会議は終えるようにしましょう。

テレワークや在宅勤務時に見直したいマネジメント7つのポイント
マネージャーの役割としては、当然チームを一つにまとめていくことが求められますが、その際に、業務上のルールはお互いに守るのは当然です。 

特に服務規程や情報セキュリティ規定などに反するようなことはやってはいけません。
会議の場所にかかわるルールや、勤務時間の申告、個人用パソコンでの業務遂行禁止など、守ってもらわなければならないことは多くあります。
コロナ禍になって慣れていないために、知らず知らずのうちに、企業に情報漏洩などの様々なリスクを顕在化させるような行動は慎むように、部下に指導しなければなりません。 

業務内容の進捗確認とともに、部下が守るべきルールを守っているかも合わせて確認するようにしましょう。
ルールが守られていなければ部下を厳しく指導するのもマネージャーの役割です。

以上、ここまでテレワークや在宅勤務での働き方におけるマネジメントをおこなう際に、改めて見直してもらいたいポイントを挙げてきました。
テレワークや在宅勤務でなくても、マネジメントを進めていくうえで大事なポイントも含まれています。
テレワークや在宅勤務だからこそ気をつけなければならない、独自の視点に該当するものもあれば、改めて見直してみてほしいという視点もあります。
働き方を見直すとともに、チームでのマネジメントのやり方も見直す良い契機です。

また、年末年始にさしかかり、もう一度気持ちをリセットして一年を迎えるという方もいらっしゃるでしょう。
コロナ禍でまだまだ穏やかな気持ちになれないかもしれませんが、今一度、仕事のやり方とともにマネジメントのやり方も見直すことで、穏やかな気持ちで来年がスタートできるようにしてみてはどうでしょうか?

コロナ禍のまま年をまたぐことになりそうですが、業務の見直しから改善につなげ、コロナ禍でも事業を継続、発展できる組織にしていきましょう。
来年も引き続きよろしくお願いいたします!

オンラインでのコミュニケーション力・営業力強化

オンラインで留意すべきコミュニケーションスキル強化を通して、生産性の向上や成果創出につなげるための研修はこちらです。

【テーマ】:プレゼン力強化
【対象者】:若手社員~中堅社員
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンラインでの言葉の伝え方


【テーマ】:傾聴力強化
【対象者】:若手社員~管理職
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンライン上の傾聴の方法 


【テーマ】:ファシリテーション
【対象者】:中堅社員~管理職
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンラインで必要なファシリテーションスキル


【テーマ】:1on1ミーティング
【対象者】:中堅社員~管理職
【主な内容】:コミュニケーション上のポイント、オンラインでの1on1ミーティングのポイント・実習


【テーマ】:営業力強化 ~ヒアリング力強化~
【対象者】:営業担当者
【主な内容】:相手とのコミュニケーション上のポイント、オンライン商談の留意事項・実習

ゲストプロフィール

増田 和芳講師
増田 和芳(ますだ かずよし)講師

<経歴>
三菱UFJニコス株式会社,株式会社日本マンパワー,ソフトブレーン・サービス株式会社
合同会社富士みらいクリエイション代表

<資格>
国家資格キャリアコンサルタント
(公財)21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント
(一社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
(一財)生涯学習開発財団ワークショップデザイナー

1976静岡県富士市生まれ。大学卒業後、大手信販会社で営業及び債権管理業務を経験。28歳の時に大手教育研修サービス会社へ転職し、約10年間法人営業職として勤務。キャリアデザイン研修やヒューマンアセスメント研修等の企画、営業に携わり、トップセールスとして表彰も受けた経験あり。33歳で営業課長に昇格。通算部下6名の育成に携わる。営業現場の業務改善や営業人材育成に取り組み、営業マニュアル作成や全社教育体系作成プロジェクトでは中心的な存在を担った。また、全社員対象ハラスメント防止研修等の社内研修講師としても活躍。一時は自律神経失調症で苦しむ経験をしたが克服し、2015年3月に営業コンサルティング会社へ転職。ソリューション営業スキル向上、マネジメント、組織内コミュニケーション向上等をテーマに、コンサルタントとして活動し約420回研修講師として登壇。オンライン型及び対面型どちらでもワーク主体の研修を中心に実施し、それぞれの特徴を活かして学びや気づきを促進する研修手法は、受講者から「わかりやすい内容で、現場ですぐに使えることが多い」と評判。

2020年12月11日|カテゴリー「さまざまな分野
不安に惑わされない!老後資金の考え方
年金制度への不透明感から、退職後の生活に不安を感じる方も多いと思います。
金融審議会における令和元年6月3日付け「高齢社会における資産形成・管理」と題された報告書の内容に記載された「老後資金2,000万円不足問題」は、当時マスコミに大々的に取り上げられ大騒ぎとなったことをご記憶されている方も多いと思います。
まずは、金融審議会の公表資料(※1)に基づいて確認をしてみましょう。

不安に惑わされない!老後資金の考え方
(金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」P10をもとに筆者が作成)

上記の収入・支出はあくまで平均的な数値に基づいています。ということは、「この数値よりも不足する恐れのある方」に止まらず、「これほど不足しない方も存在する」というのが正しい解釈のはずです。

ところが、この騒ぎは決して間違いではないにせよ、センセーショナルに不安を煽って「もっとたくさん金融商品を買ってほしい」という業界やマスコミの思惑が見え隠れしている可能性は「皆無ではない」かもしれません。
その後も老後資金の準備として「定年までに数千万円から1億円は準備が必要」との記事やコメントがネットや雑誌、その他で続々と紹介されて続けています。

果たして一体いくら貯蓄があれば、安心できるでしょうか?
結論から記載すると「万人にあてはまる安心できる老後資金は存在しない」というのが筆者の考えです。

不安に惑わされない!老後資金の考え方
各家庭の毎月の生活費は、20万円の家庭と30万円の家庭ではそもそも生活レベルが異なり、同じ土俵で論じることはできません。

また、家庭によっては、退職時点で「子どもの教育費負担が当面続く」、あるいは退職後も「住宅ローンの返済が続く」といった要因も考えられます。

さらに、退職したからといって上記で挙げた要因が無くとも、それまで享受してきた生活レベルを「望んで引き下げたい」と思う人はおらず、将来の生活レベルの予測はその時点の状況次第で柔軟に再検討する必要があります。成り行き任せの「ほったらかし」は避けましょう。

不安に惑わされない!老後資金の考え方
今後、公的年金だけで老後の生活費は賄えない可能性が高く、そうなれば貯蓄を取り崩さざるをえません。
そのために備える老後貯蓄ですので論理的には矛盾はありませんが、感情的には、貯蓄残高が徐々に減少していくので新たな不安⇒恐怖が芽生えます。

明確な根拠はありませんが、残高が一定金額を下回り始めると、貯蓄を取り崩すことに恐怖を覚えてしまい取り崩せなくなります。

「多く貯めると安心」という考え方は決して間違っていませんが、不安を完全に払しょくするほどの金額自体に基準は存在しておらず、その人の時点時点における価値観・生活感に起因しています。
そのため、「不安解消にはきりがない」という事態が容易に想像されますので、事実上不可能だと思います。

各自可能な範囲で「時には我慢をしつつ」、無理のない範囲で老後資金計画を目指しましょう。

不安に惑わされない!老後資金の考え方
「年金破綻!」というショッキングな話題をネットや雑誌、新聞、テレビ番組とあらゆるメディアが取り上げます。それを見て・聞けば、「本当に大丈夫か?」と不安になるのは当たり前の感情だと思います。

これらの記事は、「何もしないで手をこまねいていると本当に破綻しかねない!」と警鐘を鳴らしているに過ぎません。

年金破綻させないためには、「年金額の引き下げ」「受給開始年齢の引き上げ」「年金保険料の引き上げ」などのうちどれか、あるいは全部を「実施せざるを得ない」という痛みは避けられませんし、それは誰も望んでいません。

年金制度の破綻は、主権者である国民の過半が破綻を望めば破綻します。
国民が年金制度の破綻の「望んでいない」のであれば、受給条件は悪化したとしても持続可能な制度設計を掲げる政党・政治家に選挙で1票を投じるはずです。
一部の無責任な意見にあるような、「破綻を前提」に老後資金を蓄えようとするのは非現実的だと思います。

とはいえ、年金だけでは老後資金が不足することが分かっている以上、不足分を補うために行動≒資産形成をする必要があります。

不安に惑わされない!老後資金の考え方
インフレが起こると現在価値のお金は、徐々に目減りします。
つまり、現時点で老後資金の目標額を定めても、インフレが継続的に起こればその目標額自体の妥当性がなくなってしまいます。
「景気対策!」を合言葉に政府・日銀は物価上昇目標を安定的に2%の達成を目標に掲げています。
幸か不幸か?今のところは、その思惑通りに進んでいないようですが、意図的あるいは意図に反したインフレの可能性は皆無ではありません。

「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる(エリック・バーン)」という名言を聞いたことがあります。
将来の悲観的な予測が存在すれば、その予測を変える工夫が求められます。

【支出の部】
①現在の毎月の生活費×12ヶ月×②老後の生活年数(※2)+③退職後も続く特殊要因+④病気や介護費用に関する備えの費用=⑤老後資金総合計

※特殊要因とは、冠婚葬祭費や住居修繕費など一時的な支出など


【収入の部】
⑥夫婦合計の公的年金受給額(※3・4)×②老後の生活年数(※1)+⑦アルバイト代などその他収入=⑧老後収入総合計


【収支の部】
⑤老後資金総合計⑧老後収入総合計⑨必要貯蓄額


<例題>

【支出の部】
①毎月の生活費25万円、②老後の生活年数20年、③老後の特殊要因なし、④300万円

⇒25万円×12ヶ月×20年+300万円=⑤6,300万円


【収入の部】
⑥夫婦合計の公的年金受給額(※4)285.6万円/年、⑦なし

⇒⑥285.6万円×②20年=⑧5,712万円


【収支の部】
⑤6,300万円⑧5,712万円⑨588万円

この例題では、老後資金は588万円が不足するため、この金額を貯蓄しておくと多少安心が得られるかもしれません。

しかし、この簡易な老後資金の算出目安は、調査可能な過去の数値からの公的年金受給額(※4)の調査結果を抽出して基準にしており、将来公的年金の受給開始年齢引き上げや受給額減少の懸念、その他の不確定要因が山盛り中では、参考程度に過ぎません。

また、上記試算の基礎となっている寿命自体「何歳まで」は、不確定要因以外のなにものでもありません。

その他にもインフレの影響、その他のレジャー費や電化製品買い替え費用など一時的支出や冠婚葬祭などの突発的支出といった毎月の生活費以外の不確定要因は考慮していません。
そのため、条件次第で結果が大きく異なりますのであくまでも目安ですのでご注意ください。

とはいえ、老後資金を不安がるだけでは解決策は見つかりません。
現役で働いている間にできること、さらに退職後のことも視野に入れて、「我が家では」という前提で老後資金に対する蓄えを始めるとともに、年に一度程度は実績を考慮した上で将来の老後資金計画を見直していくと安心感は持続できると思います。


※1 金融庁:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」P10

※2 65歳の平均余命 男性19.83年 女性24.63年
厚生労働省:主な年齢の平均余命(令和元年簡易生命表)より

※3 公的年金の年金見込み額の試算は、下記で目安を調べることができます
日本年金機構:ねんきんネット

※4 厚労省:年金制度基礎調査 表42 夫の現役時代の経歴類型別・妻の現役時代の経歴類型別 本人及び配偶者の平均公的年金年金額(配偶者あり世帯)2017年 ともに65歳以上である配偶者あり世帯(再掲)総数

シルバー社員のセカンドライフ応援研修

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シルバー社員のセカンドライフの応援を目的とします。シルバー社員のマネープラン(得する知識)、キャリアデザインがセットされた研修です。
オンライン研修でありながら講義形式だけでなく、ワークを取り入れた参加型研修となっております。



JBMでは、上記以外の研修も柔軟に対応させていただきます。
ご質問やお見積りにつきまして、お気軽にお問い合わせくださいませ。
石村 衛(いしむら まもる)講師
石村 衛(いしむら まもる)講師

【経歴】
FP事務所 ライフパートナーオフィス 代表
東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザー
株式会社JBMコンサルタント 契約講師

【資格】
ファイナンシャルプランニング1級技能士
日本FP協会 CFP(R)

大手食品メーカーにて、全国にまたがる流通卸や大手小売企業の営業を担当。その後、社内管理部門やマーケット開発部門、東京広域支店支店長を務める。
2001年 FP事務所ライフパートナーオフィスを開設、代表就任。相談業務をおこなうと共に若手・ベテラン、退職予定者向け等に向けた「ライフプラン講座」などの官公庁や企業研修講師を多数務め、その他「金融経済教育」をテーマにした小・中・高校・大学・専門学校における出前授業やイベント、保護者向けの教育資金講座やお金と生活のかかわりに関する講座などを幅広く手掛け、年間100件以上(2019年実績)を務める。ちびっ子からシニア層まで幅広く対応しており、「中立・公正」、「わかりやすさ」をモットーにリピートでご依頼いただくケースが多い。
著書に「お金ってなんだろう?~子どもに伝えたい大切なこと~」(PHP研究所)他


≪主な研修実績≫
ライフプラン/金融リテラシー/キャリア育成/確定拠出年金/金融商品販売者・購入者/入社前/新入社員/若手社員/中堅社員/退職予定者
コンクール指導
消費者教育の推進に関する法律 第14条3 対応研修

≪主な実績企業≫
官公庁/地方自治体/大手金融機関/信用金庫/保険代理店/商工会議所/法人会/公益社団法人/一般社団法人/大手製薬会社/部品加工会社/私立大学/公立学校 その他多数


※お電話の場合は「06-6356-8522」までお問い合わせください
2020年12月4日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのブログでは、「成果主義人事の限界」をテーマに、「現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か」という問いに対して、全6回の連載で順を追って解説しています。
今回は最終回アジャイルな人事変革の必要性についてお届けします。

★前回の記事を読む
成果主義人事の限界『(その6)アジャイルな人事変革の必要性』
企業におけるこれまでの人事のスタンスは、「アジャイル(機敏、俊敏)とは真逆でした。
例えば、評価制度の刷新を行おうとすると、設計段階で1年を要し、その後の社内調整に1年をかけ、やっと3年目に導入するといったスピード感が普通でした。
評価制度の導入にはそれほど時間と手間がかかるので、いったん導入したら数年間は手直しをせず、10年以上使い続けている企業も少なくないと思われます。

その結果、企業の人事にはスピードを犠牲にしてでも公平性の担保やリスク回避を重視しようとする価値観が根強く残っています。
6~7割程度の完成度で導入して運用しながら改良していくという発想は乏しく、抜け漏れがないことを慎重に確認してから本番導入するという仕事の進め方が固定化しています。
これはまさに、「ウォーターフォール型」そのものです。

しかし、ビジネス自体がアジャイル化していく状況において、従来のスタンスを維持したままでは、人事がビジネスの変化に対するストッパーになってしまう恐れがあります。
従業員の意識や行動が変わらなければ、ビジネスは変わることができないからであり、人事のスタンスが従業員の意識や行動に大きな影響を及ぼすからです。

そのため、これからの時代においては、人事こそアジャイルな仕事の進め方を率先すべき立場にあります。
「人事が具体的に決めてくれないから現場は動けない」といった言い訳が通用する間は、ビジネス自体も変わることができません。
現場の主体性や自律性を高めるために、最初に人事から変わる必要があるのです。

制度の番人からビジネスの支援者へ

成果主義人事の限界『(その6)アジャイルな人事変革の必要性』
成果主義人事は中央集権による業績管理を徹底させるための制度でした。
全社目標の達成を最重要課題として組織を動かすために、個人に目標をブレークダウンして、人事評価の面から外発的に動機付ける制度が成果主義人事であったといえます。
そのため、制度は法律のように精緻でなければならず、その運用は厳格なものでなければなりませんでした。人事はあたかも「制度の番人」のように、管理・統制を行う役割を担っていたのです。

しかし、管理・統制からはイノベーションは生まれません。
ビジネスがVUCAの環境に適応し、イノベーションを起こしていくためには、現場におけるトライアンドエラーが求められます。
そのためには、現場の主体性・自律性が必要とされるため、これからのパフォーマンスマネジメントは、事業部門の裁量の幅を広げるものでなければなりません。

これまでは上から下りてきた目標や評価基準に忠実に従って実行していればよかったものが、これからは自分たちで考えて運営していかなければならなくなります。
目標をどのように設定するか、賞与をどのように配分するか、等級決定をどうするかといったことに、事業部門は責任を持って対応しなければなりません。

また、個々人がチャレンジマインドを持って行動できるようになるために、一人ひとりを内発的に動機付けるマネジメントが必要とされるようになります。
目標管理一辺倒だった従来のマネジメントをピープルマネジメントに変えていくために、それぞれの事業部門は1 on 1の定着化などに対して、積極的に取り組まなければなりません。

これらの取り組みを推進するためのノウハウをビジネス側が持ちあわせていないことが通常であるため、人事によるサポートが必要になります。
あくまでも主体はそれぞれの部門ですが、人事にはビジネス側の変革を可能にするための「支援者」の役割を担うことが求められるのです。

小さく産んで大きく育てる

成果主義人事の限界『(その6)アジャイルな人事変革の必要性』
しかし、問題は人事側においても、これからのパフォーマンスマネジメントを支援するための十分なノウハウを持ちあわせていないところにあります。
そのため、人事部門におけるノウハウの蓄積が急がれますが、時間をかけて勉強すればよいわけではなく、ここでもアジャイルなアプローチが重要になります。
実際に経験しなければ、効果的な学習ができないからです。

今後の人事部門の役割として、HRビジネスパートナー(HRBP)の考え方を導入する企業が増えています。
このモデルにおいては、人事の役割は大きく以下の3つに集約されます。
・HRBP:ビジネス部門を人事の面から戦略的に支援する役割

・COE(センターオブエクセレンス):HRに関連する専門性を提供する役割

・HRシェアドサービス:人事関連の業務処理を効率的に行う役割


HRBPCOEがこれまでには明確に定義されてこなかった機能ですが、これらの役割を定めたからといって、すぐに成果が現れるわけではありません。
具体的な施策を伴っていなければ、役割はできたもののやっていることはこれまでと同じ、といった状況に陥ってしまいます。

しかし大きな企業では、全社的に変革を起こそうとしても変革に対する抵抗が強く、人事側も十分にノウハウを伴っていないため、うまくいかないリスクが少なくありません。
そのような場合は、変革に対して前向きな部門をパイロットに選定して、小さく始めることが効果的です。
パイロット部門での取り組みにおいて具体的なノウハウを蓄積したうえで、全社的にHRビジネスパートナーモデルを導入した方が、スムーズに移行できる可能性が高まります。

パイロット部門において評価制度の見直しなどを行う場合は、「特区」のような取り扱いが必要になります。
人事制度は全社一律でなければならないという考え方が強い会社では抵抗があるかもしれませんが、「人事が変わった」という象徴的なインパクトが示せる効果もあります。
まず、人事が変わった姿を見せることによって、事業部門の変革を促すことができるのです。

人事のキャリア開発機会を自ら広げる

成果主義人事の限界『(その6)アジャイルな人事変革の必要性』
人事の方の中には、自らの役割を変えることへの抵抗がある人がいるかもしれません。
しかし、この変革は人事を抑圧するものではなく、これまでよりもはるかに活躍の幅を広げることを意味しています。

HRBPが機能すれば、「従来の制度の番人」の立ち位置では感じられなかった、ビジネスへの貢献実感を得られることでしょう。
それによって人事の仕事における働きがいは大いに高まるはずです。

また、既存制度の知識だけではなく、人材開発、組織開発、HRテクノロジーなどの新たな専門性を獲得することによって、人事プロフェッショナルとしての成長の幅も広がります。

「成果主義人事の限界」と題した6回の連載も、今回が最終回となります。

「人事が変わらなければ会社は変わらない」というのは言い古された言葉ですが、今ほど、この言葉が当てはまる時代はないと思います。
人事が率先して変革に取り組むことによって、会社が変わるだけでなく、人事に従事する方々のキャリア開発機会も拡大するのです。
人事という仕事をビジネスにおける素晴らしいキャリアにできるかどうかは、自ら行動するかどうかにかかっているといえるでしょう。

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株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年11月26日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのブログでは、「成果主義人事の限界」をテーマに、「現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か」という問いに対して、全6回の連載で順を追って解説しています。
今回はその中の5回目『マネジメントの空洞化の解決が急務についてお届けします。

★前回の記事を読む
成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
成果主義人事がもたらした最大の問題はマネジメントの空洞化にあるといっても過言ではないでしょう。
その昔、バブル経済が崩壊した1990年代前半以前は、日本企業における経営の特徴は「ミドルアップダウン」にあるといわれていました。
特に大企業では、ミドル層が戦略や重要施策に関する企画を立て、それを上層部に諮って会社の方針として下すといったように、実質的な意思決定はミドルが行っていた企業が少なくありませんでした。
予算も含めてミドルが持つ裁量権は大きく、ミドルがチームを束ねて企画から実行までをリードしていたのです。

しかし、バブル崩壊から成果主義人事導入に至る過程において、ミドルの裁量権は上層部へと吸い上げられていきました。
日本企業もアメリカ企業のようにトップダウンで即断即決の意思決定をすべきである、といった当時の論調もそれを手伝いました。
いずれにせよ、国内の経済成長が止まり、グローバリゼーションが加速するなかで、トップダウンで構造改革を進めなければ立ち行かない状況になっていたのは事実です。
その結果、ミドルは文字通り「中間管理職」として、上から下りてくる目標が達成されるように管理する役割を担わされることになったのです。

成果主義人事の期間が20年ほど続いたことによって、企業のなかには管理は得意だがマネジメントの経験が欠如しているマネジャーが大半を占めるようになっています。
今後、ますますイノベーションが求められる経営の転換期にある今日、現場におけるマネジメント力強化は喫緊の課題です。
ミドルが変わらなければ、メンバーのマインドや行動は変わらないからです。
その際、過去のよき時代のミドルに戻ればよいわけではありません。これからの時代に適した「ピープルマネジメント」の開発が求められているのです。

管理者から支援者へ

成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
目標管理型のマネジメントの特徴は、動機付けの方法が極めて外発的であるところにあります。
部下に高い目標を設定させて目標の達成度で評価するという方法は、難しい問題を出して点数が高ければよい成績を付けるという試験勉強の動機付けと似ています。
「高い点数を取ったらご褒美をあげるのでがんばれ」と動機付けるわけですが、がんばりの部分は本人に委ねられています。

厳格な目標管理の手綱を緩めると業績が下がってしまうことを恐れるマネジャーも少なくありませんが、もともとマネジャーが行っているのは入口(目標設定)と出口(達成度による評価)を管理しているだけです。
肝心の途中のプロセスでパフォーマンスを高めていく部分は本人任せになっています。

成果主義人事によって、このような「採点官マインド」がまん延しています。
「目標は上から下すものだ」と公言するマネジャーがいますが、試験を教師が出す(=目標を上から下す)ことは採点官マインドからすると当然の発想です。
また、「モチベーションは自分で上げるものだ」と主張するマネジャーもいます。
これも、採点官が試験中に生徒を励ますことがないのと同様です。

もしかすると、マネジャーが途中のプロセスを支援したら本人の実力が分からなくなることを危惧している人がいるかもしれませんし、あるいは、部下の誰かだけを支援したら不公平になることを心配している人もいる可能性があります。
しかし、それらは全く無意味な心配です。
マネジャーの役割は、そもそも部下の実力を採点することではなく、部下のパフォーマンスを高めることによってチーム全体のパフォーマンスを高めることにあるからです。

目標管理型のマネジメントは、管理しているだけでパフォーマンスの向上を支援していません。
しかし、これからのマネジメントはむしろ一人ひとりのパフォーマンスの向上を支援するものでなければなりません。
マネジャーには「管理者」から「支援者」に役割を変えることが求められているのです。
このことはマネジメントの対象が、これまでの目標管理では扱われてこなかった領域に移っていくことを意味しています。

1on1はマネジャーにとっての経験学習の場

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個々人に応じた成長とパフォーマンス向上を支援するためのマネジメントのことを「ピープルマネジメント」と呼びます。
一部のリーダー候補だけを育てるのではなく、すべてのメンバーの成長を対象とするため、「ピープル」という表現が用いられるのです。
「ピープル」と複数形になっていますが、内容は一人ひとりに応じて異なる支援を行うことです。

人が何に対してモチベーションを高めるかという内的動機はもともとすべて異なるため、一人ひとりに応じたパフォーマンス向上を支援するためには、部下を内発的に動機付けることが必要です。
また、部下のポテンシャルを理解して、一人ひとり違った成長の手助けを行うことが必要とされます。
これまでのような外発的で画一的なやり方から、内発的で多様なアプローチへの180度の転換が求められるのです。

そのようなピープルマネジメントスキルを高めるためには、経験学習が不可欠です。
ピープルマネジメントスキルは、部下とのコミュニケーションを実践し、その経験を振り返って気づきを得て、それを踏まえてさらに実践するというサイクルを繰り返しながら学習を重ねることなしに向上しないからです。
そのため、職場においてマネジャーがピープルマネジメントを実践できる場が必要とされます。

成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
従来の目標管理制度では、上司と部下の面談機会は期初、中間、期末の年に3回くらいしかありませんでした。
それではアジャイルなマネジメントが難しいことから、上司と部下がもっと頻繁に対話を行う、1 on 1(ワンオンワン)を導入する企業が増えています。
1on1はメンバーの成長とパフォーマンス向上を第1目的として設定されますが、それは同時にマネジャーにとっての学習の場でもあるといえます。

「うちのマネジャーはマネジメントスキルが低いから1on1はまだ導入できない」と話す人事の方もいます。
けれども、そうしてちゅうちょしていると、いつまでたってもピープルマネジメントスキルは高まりません。
マネジメントスキルの向上とメンバーの成長は車の両輪のようなものなので、片方だけでは成り立たず、同時に取り組んでいくことが必要なのです。

マネジャー自身のマインドと行動の変革が課題

1on1を導入してピープルマネジメントスキルを高めようとする際、マネジャーは具体的に何をすればよいかが問題になるでしょう。
コーチングなどの研修を導入して、型を作ろうとする企業も少なくありません。
もちろん、コーチングスキルはピープルマネジメントを行ううえで有益ですが、それは全体の一部であるため、まず、ピープルマネジメントの全体像を描くことが必要です。

1on1におけるピープルマネジメントには以下のような要素が含まれます。
成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
一人ひとりに応じたマネジメントを行うためには、部下がどういう人であるかを理解しなければなりません。
それはつまり、その人がどのような内的動機を持ち、何を大切にする価値観を有しているかを知ることです。
内的動機や価値観が、その人ならではの強みの源泉となり、成長のためのポテンシャルになるからです。
その際に求められるコミュニケーションスタイルが「対話」です。

問題解決のための議論とは異なり、「この人はそういう価値観を持っているから、そこにこだわるのか」という相手の内面に気づくことから始めるコミュニケーションが対話です。
ただ傾聴するだけではなく、相手を理解しようとする姿勢が必要です。

目標管理型のマネジメントでは部下の内面を理解する必要がなかったため、マネジャーは部下に対してどのようにコミュニケーションをすればよいか、実感として分からないかもしれません。
そのため、部下理解のスキルを高めるためにマネジャーが最初に行うべきことは、自分自身の内的動機や価値観を理解することです。
それによって、目に見えづらい内面を理解するための感度を磨くことができるのです。
成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
部下が自分の経験を振り返り、気づきを得て、次のアクションにつなげる学習のプロセスを上司は支援する必要があります。
本人の気づきを促す際には、部下に対して質問を投げかけながら、自分自身で考えさせるコーチングスキルが有益です。

同時に、上司には部下に対するフィードバックスキルが求められます。
特に、部下の望ましい行動に対するポジティブフィードバックが重要です。
パフォーマンス向上のためには、本人の強みを発揮した行動が強化される必要があるからです。

目標管理型のマネジメントにおいては、目標と実績のギャップがマネジャーの関心事となり、できていない課題に対して一方的に指摘しがちでした。
しかしここでも、マネジャーは自分自身の過去を振り返ってみることが有益です。
自分がモチベーション高く成果を挙げていた体験を振り返ってみると、そこでは自分らしい強みが発揮されていたことが分かるはずです。

成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
目標を設定し、それに向けてアクションを行い、その結果を振り返って、さらに次の目標やアクションにつなげるサイクルを、部下が自律的に行うことができるようになるのが目指す姿です。
そのためには、目標を上から与えられるのではなく、自分でゴール設定できる力を養う必要があります。

部下の目標は当然ながらチーム全体の目標の達成に貢献するものでなければなりません。
しかし、同時に自分自身が達成したいという意欲を駆り立てられるものであることも必要です。
目標設定は組織のニーズと個人のニーズをつなぎ合わせる機能を果たします。

目標管理型のマネジメントでは目標は上から与えられたため、自分でゴールを設定する力が組織全体で劣化してしまっています。
上司が部下の目標設定を支援する際に、まず上司自身の目標が戦略的に考えられ、かつ自分の思いがこもった目標になっていなければなりません。
上司自身の目標が上から与えられている状態では、部下の自律的な目標設定を支援することは不可能です。

成果主義人事の限界『(その5)マネジメントの空洞化の解決が急務』
マネジャーは自分のチームのパフォーマンス向上だけでなく、メンバーの成長を支援する役割を担っています。
それはつまり、メンバーのキャリア開発を支援することと同義です。
そのため1on1の場では、目の前の目標やアクションばかりではなく、時には将来的なキャリアビジョンについても語り合うことが必要です。

上司が部下から「マネジャーは将来、どうなりたいのか?」とキャリアビジョンを尋ねられた時、上司が自分の思いを語ることができなければ、部下のキャリア開発を支援することは難しいでしょう。
自分のキャリアビジョンを持たない人から、キャリア開発を支援してもらいたいとは思わないからです。
そのため、上司自身がしっかりと自分の将来イメージを描けていることが不可欠です。

以上に述べてきたように、ピープルマネジメントを行うためには、部下にしてほしいことを上司ができていることが前提となります。
つまり、ピープルマネジメントスキルを高めるためには、マネジャー自身のマインドと行動を変えることが必要とされるのです。
マネジャーに対して、単に部下育成のスキルを身に付けさせようとするのではなく、マネジャー自身のさらなる成長を促すことが求められています。

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◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年11月20日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのブログでは、「成果主義人事の限界」をテーマに、「現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か」という問いに対して、全6回の連載で順を追って解説しています。
今回はその中の4回目『等級と報酬の決定にレーティングはいらないについてお届けします。

★前回の記事を読む
成果主義人事の限界『(その3)成果主義人事の12の問題点』
大半の日本企業では年次や半期での目標の達成度に基づいて、個人の成績のレーティング(A・B・Cなどといったランク付け)を行っています。
そのレーティングの結果を用いて、等級や報酬額が決定される制度を構築している企業も少なくありません。
各人の処遇がレーティングという共通的な尺度によって決められるため、公平な仕組みのように感じられるかもしれませんが、レーティングと処遇を密接にリンクさせることによる弊害についてはあまり議論されることがないように思います。

レーティング自体の問題点については、前回の「成果主義人事の12の問題点」で述べたとおりです。


個々の問題点に関しては日本企業の人事の方々もかなり認識されていると感じます。
しかし、レーティングに応じて処遇を決める制度を長年にわたって運用してきたためか、その仕組み全体が当然のことのように組織に浸透しています。

多くのアメリカ企業がこの数年間で、年次や半期単位でのレーティングを廃止していますが、その話題になった時に人事の方々からいつも必ず尋ねられることがあります。
それは「レーティングなしに等級や報酬をどうやって決めるのか」という疑問です。

そもそも等級や報酬は何によって決定されるべきかを丁寧に考えていくと、レーティングはあまり必要でないことが分かります。
今回は、等級や報酬の本来の決定方法を再確認しながら、レーティングを軸とした現行の成果主義人事制度の問題点を整理したいと思います。

業績重視の等級決定の問題点

成果主義人事の限界『(その3)成果主義人事の12の問題点』
レーティングは年次や半期単位での短期業績に基づいて行われます。
会社によっては、行動や能力の要素を組み込んでレーティングを決める制度を採用しているところもありますが、過去1年や半年といった期間における業績評価は必ず含まれ、中心的なウェイトを占めています。

一方で等級の決定は本来、短期業績に基づいて行われるべきものではありません。
「その等級に求められる役割や職務を果たすための行動ができるか」といった、能力やリーダーシップによって判断されるべきものです。

どこの会社にも等級制度はあります。最近は役割等級制度を採用している会社が多いと思われますが、その制度では各等級の役割要件が定義されています。
そこでは、等級の決定はその等級に求められる能力や行動面の要件が満たされるかどうかで判断されることになっています。
しかし、等級の決定にレーティングが用いられることによって、短期業績に重きが置かれてしまいます。

短期的に業績を上げたから昇級させるというのは、いわば「ご褒美」のようなものです。実際、過去にご褒美昇格を乱発した結果、今になってたくさんの問題を抱えてしまっている会社もあります。

特にマネジャーへの昇進に関して、マネジャーになってからマネジメントの経験を積ませればよいと考えて業績重視で昇進させる会社もあります。しかし、そのような会社ほどマネジメントの教育機会が提供されないため、マネジメントできないマネジャーが大量に生まれるといった悲劇も生じてしまいがちです。

業績と能力を総合的に評価するというのはもっともらしい考え方のように聞こえますが、異なる尺度をごちゃまぜにしてしまうため、そのレーティングが表している意味が分かりにくくなります。その結果、評価エラーの温床にもなってしまうのです。したがって、能力・行動面での評価と短期業績の評価は明確に分けて考えられるべきです。

タレントレビューのプロセスが重要

成果主義人事の限界『(その3)成果主義人事の12の問題点』
昇格や昇進の決定に当たって、アメリカ企業ではタレントレビューというプロセスを、全従業員を対象として導入する企業が増えています。
これはそれぞれの部門におけるマネジャーたちが集まって、自分のメンバー1人ひとりの強みや課題、今後の開発方針などについて説明し、議論しながら昇格・昇進を判断するプロセスです。

この議論においては、能力や行動面だけではなくエビデンスとしての実績も考慮されますが、それはレーティングである必要はありません。
上の等級に求められる能力があるか、行動ができるかということを判断するために、どのような強みを発揮して何を成し遂げてきたかという内容が議論の対象になります。

タレントレビューで重要なのは、単に昇格・昇進の可否を判断するということだけではなく、上の役割を果たせるようになるために、今後、どのような経験や学習が必要かを検討するという「未来指向」の議論が行われることです。

例えば、マネジャーへの昇進に当たって、業績は上げているが等級要件で求められる能力発揮が十分でないといった場合には、昇進は1年待ってその間にメンバーをスーパーバイズする経験を積ませようといった判断が行われます。
あるいは逆に、能力発揮は十分だが業績を伴っていないといった場合には、役割や環境を変えて成果を出させる方法が検討されます。
過去の査定ではなく、将来の人材開発が重視されるのです。
このように、議論するというプロセス自体に意味があります。等級要件はどうしても抽象度の高い表現でしか記述できません。
逆に非常に細かな要件を定義している会社も見かけますが、あまり細か過ぎると今度は現実的に運用が困難になってしまいます。
そのため、等級要件自体は幅広い解釈ができるようなものであっても、それをもとに議論しながら現場で肉付けしていくプロセスが重要になるのです。
それによって各等級に求められる役割や行動の内容がマネジャーたちの間で次第に共有されるようになっていきます。

かつての人事制度の考え方は、人事部が精緻な制度を作ってそれを現場に下すというものでした。
しかし、人事部が決めてくれないから動けないといった受け身の姿勢では、現場におけるアジャイルなマネジメントはできません。
人事部はコンセプトをしっかりと示すけれども、実際にその内容を具体化していくのは現場で行われる必要があります。
人事部は、現場での運用がうまくできるように、例えばタレントレビューのためのワークショップを開催するなど、学習の機会を提供していく役割が求められるようになってきています。

報酬決定にもレーティングはいらない

成果主義人事の限界『(その3)成果主義人事の12の問題点』
以上のように、等級の決定にレーティングは必要ありません。
むしろ、レーティングを用いない方がよいといえます。
同様に報酬の決定に際しても、レーティングは必要ないことを解説します。

昨今の多くの企業は報酬を基本給と賞与に分けています。
アメリカ企業でもその傾向は同様です。
基本給と賞与はそれぞれの意味合いが異なります。
基本給はその人の役割や職務に応じて支払われるものです。つまり、等級に対応しています。
そのため、(細かな技術的な議論はここでは割愛しますが)基本的には等級が決まれば基本給も決めることができます。
したがって、基本給の決定にレーティングは必要ありません。

そうなると残るは賞与のみですが、賞与を決めるためだけの目的で、わざわざレーティングを行う必要もありません。
賞与の本来の位置付けは会社の利益の還元です。つまり、その期に儲かったから従業員に報いるというのが賞与本来の意味であるため、従業員の短期業績に応じて支払うのが合理的です。

全従業員を母集団としてレーティングを行い、それに基づいて賞与を決めている会社も少なくありません。
すべての従業員に共通の尺度が適用されるため、一見、公平な制度のようですが、この方法にはもともと無理があります。
部門や職種が違えば成果(業績)の内容が異なるため、そもそも相対比較できないものを強引にランク付けしているからです。

レーティングを廃止したアメリカ企業が行っている一般的なやり方は、賞与原資を部門に配分して、それぞれの部門において賞与配分を決定するという方法です。
現場に配分を決めさせるのは乱暴なように感じられるかもしれませんが、実は非常に合理的で効果的な方法といえます。

まず、賞与原資を部門に配分する段階で部門業績を織り込むことが可能です。
それによって、個人業績だけではなく部門全体の業績を向上しようとするインセンティブを高めることができます。
さらに、賞与原資を個人に配分する段階では、部門業績に対する貢献度を判断すればよいため、全社一律で行うよりも具体的な検討ができます。

部門業績に対する貢献度を判断するためには、何が自部門にとって評価されるべき成果かが明確になっていなければなりません。
そのためには、目標設定が重要になります。目標設定段階において、自部門の戦略は何か、何が今期のプライオリティかが十分に話し合われていなければ、賞与決定の段階での尺度が曖昧になってしまうため、しっかりとした目標設定の検討が促されます。

部門の原資を個人に配分する段階でレーティングを用いるという考え方もあるかもしれませんが、相対評価によって正規分布させる方法は望ましくありません。
なぜなら、個人のパフォーマンスはもともと正規分布しないため、無理に正規分布させることは現実を歪めてしまうからです。
それよりも、貢献度の高かった人に多くを配分し、それ以外はあまり細かな差を付けないといったやり方の方が、動機付けとしても効果的でしょう。


以上のように、等級と報酬の決定に当たってレーティングは必要がありません。
皆さんの会社でも従来の方法に縛られず、本来の目的に立ち返って望ましい方法を検討されることをお薦めします。

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2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

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2020年11月16日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのブログでは、「成果主義人事の限界」をテーマに、「現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か」という問いに対して、全6回の連載で順を追って解説しています。
今回はその中の3回目『成果主義人事の12の問題点についてお届けします。

★前回の記事を読む
成果主義人事の限界『成果主義人事の12の問題点』
本連載ではこれまで、成果主義人事はビジネスモデルが確立したレガシービジネスにおいて、目標達成を外発的に動機付けるためのシステムであり、VUCA環境で新しい価値を創造するスタートアップビジネスには適さないことを述べました。
国内人口の減少に伴って市場規模が縮小する状況において成果主義人事を維持し続けることは、企業にとって大きなリスクであるといえます。
組織がますます疲弊するだけでなく、今後の成長領域の芽が育たないからです。

さらに当のレガシービジネス自体にも、今後、デジタル社会の波は押し寄せてきます。
ビジネスモデルが確立しているということは、AIやロボットで置き換えたり、インターネット上にビジネスそのものを移したりできる余地が大きいからです。
そうなると、人を外発的な目標管理で動機付ける必要性そのものがなくなります。
それは、さほど遠い未来の話ではないでしょう。

今回は成果主義人事の問題点をより具体的に述べたいと思います。
繰り返しますが、ここで成果主義人事と呼んでいるのは、期初に目標を立て、期末にその達成度を測定し、その結果によってレーティング(A・B・Cなどの格付け)を行い、レーティングに基づいて昇格や賞与を決めるシステムのことを指しています。

以下に成果主義人事の12の問題点を掲げます。チェックリストとして用いて、皆さんの会社で何項目が該当するかをぜひ確認してみてください。

サイクルの固定化/リードタイムの長さ

成果主義人事の限界『成果主義人事の12の問題点』
多くの企業において目標は年次や半期で固定化されていますが、実際のビジネスの環境は企業の会計年度で変化するわけでないことはいうまでもありません。
短サイクルの環境変化のなかで成功確率を高めるためには、変化に合わせて機敏に軌道修正を行っていくことが必要です。

ところが、環境が変わろうとも当初立てた目標をやり抜くことが優先されてしまうと、企業活動は市場の変化からかい離してしまいます。
そのかい離が大きくなるほど、組織にひずみが生じます。売り上げの架空計上やデータの改ざんといった不祥事が、目標管理によって誘発された例も少なくありません。

大半の企業では、上司と部下による目標管理の面談を期初、中間、期末のタイミングで実施することをルールにしています(その面談すら形骸化していることも少なくありません)。
目標管理を行うことの目的は個人のパフォーマンスを向上することであるはずですが、個人のパフォーマンスは期初や期末ではなく、期の途中の日常的な仕事を通じて向上するものです。

つまり、現状の目標管理制度では入口と出口の面談だけで、肝心の期中における1対1の面談によるパフォーマンス向上支援が欠けていることになります。
その結果、目標管理が個人のパフォーマンス向上にあまり役立っておらず、そのことが面談の形骸化を招く原因にもなっています。

個人のパフォーマンス向上は成長によって可能になります。
そして、その成長の大部分は仕事の経験を通じてなされます。
いわゆる「経験学習」です。
目標を立て、やってみて、その結果を振り返って何かに気付き、その学びを次の目標設定やアクションに生かすというサイクルを繰り返すことによって、成長が促されます。
環境変化が短サイクル化している今日、経験学習のサイクルもそれに合わせて短い期間で回していくことが必要です。

しかし、目標管理制度上のサイクルは年次や半期に固定されていて、現実の経験学習サイクルと合っていません。
その結果、目標管理制度が人材開発にあまり役立たなくなってしまっているのです。

上意下達の代わり映えしない目標

成果主義人事の前提となっているウォーターフォール型の目標管理では、全社の売り上げや利益目標を達成することが大命題となっています。
そこでは毎年、前期比3パーセント増といった目標を上から下にブレークダウンしていく目標設定が行われていますが、そのことが引き起こしている悪影響は小さくありません。

成果主義人事の限界『成果主義人事の12の問題点』
毎年、代わり映えしない目標が降りてくることによって、全社の目標に対する関心が薄れてしまいます。
たとえ素晴らしい企業ビジョンを掲げていても、従業員には毎年の目標を達成した延長線上にビジョンがあるようには感じられず、どこか白けた雰囲気が強化されてしまいます。

その結果、全社目標の達成にぜひとも貢献したいという意欲がかき立てられず、自分の目標だけを追っていればよいという個人主義的な意識が強化されてしまいます。
その意識は他者とのコラボレーションの妨げにもなります。

目標が常に上から降りてくることによって、従業員は受け身の姿勢となり、仕事は与えられるものという意識が強化されてしまいます。
中間管理職も上位目標の中継役となってしまって、自分のチームの目標を自ら設定する経験が不足するため、ゴール設定力が鍛えられません。
既にビジネスモデルが確立したレガシービジネスならともかく、スタートアップビジネスにおいては自分でゴールを設定しなければ誰も決めてはくれません。

また、組織のゴールを示してかじ取りを行う経営者人材が育たず、将来的な経営力の低下を招いてしまうリスクが高まってしまいます。

達成度による評価

部門や職種が違えば成果の内容も異なるため、人の成果を一律的に比較することができません。
それでは全社的な相対評価が困難であることから、大半の企業においては目標の達成度が成果測定の共通指標として設定されています。
この達成度による評価が重大な問題を引き起こしています。

成果主義人事の限界『成果主義人事の12の問題点』
ウォーターフォール型の目標管理においては、与えられた目標の達成が最優先されます。
目標を達成するためには、大きなリスクは取らずに失敗を回避することが得策と考えられるため、安全志向の判断や行動が強化されることになります。
例えば、期の途中において大きなビジネスチャンスが現れても、やってみなければ成果が分からないようなことはやらないといった判断がなされる恐れがあります。

また、これから成功の方程式を模索するスタートアップビジネスでは、最初からうまくいくことはほとんどあり得ず、実験と検証を繰り返しながら失敗から学ぶことが重要です。
しかし、ここに達成度評価が持ち込まれると、新たな実験自体が回避され、新規事業の可能性が狭められる危険性があります。

ウォーターフォール型の目標管理の大命題は目標を達成することにあるため、そのマネジメントではまず達成度が管理されます。
例えば、売り上げ目標の達成度が管理される場合、売り上げという最終結果だけではきめ細かな管理ができないため、顧客の訪問件数や提案件数などのKPIの進捗状況も把握されます。
これらはすべてプロセスだけを見ていて、そこに携わる人が誰かを問いません。
もちろん、プロセス管理が不要というわけではありませんが、そこに偏重しすぎると一人ひとりを内発的に動機付ける視点が欠落してしまいます。
その結果、厳しく管理しても個人のパフォーマンスが高まらない状況に陥ってしまうのです。

相対評価によるレーティング

目標の達成度に基づいて相対評価でレーティングを行うのが成果主義人事の特徴ですが、個人の成績をランク付けするレーティング自体の問題点が、アメリカでの研究によって、いくつも指摘されています。

成果主義人事の限界『成果主義人事の12の問題点』
人が成長するためには「努力すれば成長できる」というマインドセット(グロースマインドセット)の状態にあることが必要であるという、スタンフォード大学のキャロル・ドウェック教授によるマインドセットの有名な研究があります。
ところが、ここ数年のアメリカでの脳科学研究によると、数値によるレーティングはこのグロースマインドセットを毀損してしまうことが分かってきています。
従業員の大多数を占める中間層に対して、B評価やC評価をフィードバックすることは、大勢の人々の成長可能性を阻害する結果につながっているのです。

同じくアメリカでの研究結果によると、そもそも人のパフォーマンスは正規分布しないことが検証されていますが、それを相対評価によって無理に正規分布させることで様々なひずみが生じます。
特に、正規分布では平均点周辺の人数が最も多くなりますが、そのことは「ほかの人と同じくらいの平均的な成果を出していれば安泰」という中庸意識を強化してしまいます。
ものすごくがんばらなくても中庸でよいという意識を持った人が過半数を占めるような組織では、現状の大きな変革や大幅な生産性の向上が起こりにくくなってしまいます。

チームパフォーマンスを向上するためには、自分の思ったことを気兼ねなく発言できる雰囲気(心理的安全)が不可欠であるという、ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授の有名な研究結果があります。
ところがレーティングは、従業員間に競争のメカニズムを持ち込むものであるために、組織の心理的安全を阻害してしまいます。
特にスタートアップビジネスにおいては、多様な人材によるコラボレーションが重要になるため、チーム内に心理的安全が存在することが、チームパフォーマンス向上のための不可欠な前提といえます。

短期業績 > 能力・行動

レーティングはその期の業績に応じた短期評価です。期末の評価会議などにおいて、レーティングを決定するために多大な時間が費やされていますが、その労力が有益に用いられているとはいいにくいのが実情です。

成果主義人事の限界『成果主義人事の12の問題点』
昇格の判断は短期業績によって行われるべきものではありません。例えば、マネジャーへの昇格は、本人にマネジメントの能力やチームを率いるリーダーシップがあるかどうかで判断されるべきものです。
しかし、年次評価のレーティングをもとに3年連続A評価以上であれば昇格といったようなルールを定めている企業も少なくありません。

その結果、本来はマネジャーの要件を満たしていないにもかかわらず短期業績がよかったために昇格したり、その逆に昇格すべき人が昇格できなかったりする、「評価エラー」が多発してしまうことになります。
明確なルールに従って昇格を決めているため、一見、公平のように感じられますが、組織にもたらす悪影響は少なくありません。

評価会議における議論は過去を見ています。
その人が今期、何をしてどのような業績を残したかという過ぎたことをもとに採点するのです。
人材開発のためには本来、この先、本人にどのような経験を積ませ、何を学ばせたいかという未来指向の議論が必要です。
しかし、AかBかというレーティングを決めるための過去の議論にばかり終始し、人材開発の議論がほとんどなされていない企業が少なくありません。
その結果、組織のなかに人材開発カルチャーが育まれず、無機的な目標管理・評価制度が延々と維持されることになってしまいます。


さて、読者の皆さんの会社では12の問題点のうち、いくつが該当したでしょうか?
くの問題点が当てはまるのであれば、それをそのまま放置するのではなく、新たな発想でパフォーマンスマネジメント改革の検討を始めることが必要です。


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2020年11月9日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのブログでは、「成果主義人事の限界」をテーマに、「現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か」という問いに対して、全6回の連載で順を追って解説しています。
今回はその中の2回目『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへについてお届けします。

★前回の記事を読む
成果主義人事の限界『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへ』
期初に目標を設定して、期末にその達成度に基づいてレーティングを行うという従来の成果主義人事の方法は、レガシービジネスにおけるマネジメントモデルを前提としています。
ここでいうレガシービジネスとは、既にビジネスモデルが確立されたコア事業のことを指しています。
レガシービジネスにおいては顧客市場も、ビジネスの成功の方程式(成功要因、戦い方)も確立されているので、将来がある程度は予見可能であり、従来の目標管理・評価の方法が成り立ちうるのです。

過去における正しいビジネスの進め方とは、まず中長期の経営計画を作成し、それに基づいて年度の事業計画を立て、事業計画に定められた全社の目標を部門、チーム、個人へと滝(=ウォーターフォール)のようにブレークダウンして、各個人に実行させることでした。
その実行を徹底させるために、目標の達成度によって評価するという手法が採用されたのです。
その前提は、経営計画を着実に実行すれば業績が向上するという図式が成り立つことであり、さらに前提として、そもそも将来の経営環境が予見可能という条件がありました。

VUCAの進展とともに、こうしたウォーターフォール型マネジメントは機能しづらくなっているのです。

ウォーターフォール型マネジメントは企業の成長を阻害する

成果主義人事の限界『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへ』
しかし、日本の大企業の多くは、現在でも国内市場におけるレガシービジネスに依存しています。
海外売上比率はかなり高まっていますが、まだまだ国内市場からの売り上げ、利益のウエイトが大きく、何よりも日本人従業員の大多数が国内のレガシービジネスに従事している状態にあります。
国内市場は既に飽和しており、人口減少とともに今後、徐々に縮小していくことは周知の事実ですが、その縮小のスピードが緩やかであるため、なかなか変革への危機感が高まりません。

その一方で、新たなイノベーションが必要とされるスタートアップビジネスにおいては、従来の目標管理のやり方でマネジメントを行うことが困難です。
ここでいうスタートアップビジネスとは、ビジネスの成功の方程式自体をこれから作っていくことが求められる事業を指しています。
それらは今後の成長が可能な領域ですが、ビジネスモデルが確立されていないため、将来を予見することは困難です。

VUCAの環境においては、期初に目標を立てて期末にその達成度で評価を行おうとしても、目標の前提条件自体の変動が激しく、不確実性が高いために、従来のような半期や年次で区切った目標管理が意味をなさなくなってしまいます。
そのため、成果主義人事に基づく従来のマネジメント方法を続けていても、スタートアップビジネスはうまく立ち上がらず、いつまでたってもレガシー依存の状態から抜け出せません。
その結果、企業は次第に衰退していく危険性を抱えてしまうことになるのです。

ウォーターフォール型とアジャイル型の違い

成果主義人事の限界『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへ』
VUCAの環境において、スタートアップビジネスを伸ばすために求められるのは、アジャイルな(機敏な)マネジメントです。
どうすればうまくいくのかが不明瞭であるため、仮説を立てて、やってみて、その結果を踏まえて、次のアクションを考えるといった、実験と検証を繰り返すマネジメント方法が必要とされます。
上から「こうすればうまくいく」と正解を伝えることはできないので、現場で一人ひとりが考えながら行動しなければならないのです。
ウォーターフォール型とアジャイル型マネジメント方法には、以下のような基本的考え方の違いがあります。

アウトプットの量ではなくアイデアの質を重視する

成果主義人事の限界『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへ』
ウォーターフォール型のマネジメントが行われている企業で非常によく目にするのが、「対前年比、売上3%増」といった目標設定です。
市場の規模が拡大していないなかで3~5%増であってもストレッチ目標ですが、3%成長程度の目標では根本的な発想の転換はなかなか起こりません。
多くの場合、3%分インプットを増やしてアウトプットを増やそうとする行動が強化されます。
その証拠に、成果主義人事が導入されてからの過去20年間、日本人の平日1日当たりの労働時間は少しずつ延び続けています。

スタートアップビジネスにおいては、いうまでもなくインプットを増やしたからアウトプットが拡大するという関係は成り立ちません。
量の問題ではなく、アイデアの質が重要だからです。同じ行動をたくさん行うことよりも、「次はこうしてみよう」「別のアプローチもあるのではないか」と、視点や角度を変えながら様々なアイデアを試す姿勢が必要です。
また、その前提として、一人ひとりが自分の意見を自由に発言できる環境が不可欠となります。
「こんなことを言ったら批判されるのではないか」とリスクを感じるような環境では、自分のアイデアを安心して話すことはできません。

ウォーターフォール型マネジメントにおいては、皆が同じように考え、同じように行動することが奨励されるため、異なるアイデアは排除されがちです。
一方、アジャイル型マネジメントにおいては、イノベーションを起こすために、多様な視点や価値観が尊重されるカルチャーが構築される必要があるのです。

失敗を回避するのではなく失敗から学ぶ

成果主義人事の限界『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへ』
ウォーターフォール型マネジメントにおいては、所与の目標を確実に達成することが最大の命題となるため、目標達成を妨げる「失敗」を回避する行動が促されます。
そのため、成功確率がよく分からないビジネスチャンスは無視され、リスクを取らない安全志向のカルチャーが強化されます。
ウォーターフォール型マネジメントの浸透した組織で、部下が何かに「チャレンジしたい」と言った時、「責任を取れるのか」と上司に諭されるような場面がよく見られるのはその一例です。

実験と検証を繰り返すスタートアップビジネスにおいては、何かをやってみた際に、うまくいくことよりもうまくいかないことの方が多いのが当たり前です。
「うまくいかないかもしれないから何もやらない」という姿勢からは成果が生まれません。
そのため、失敗を回避するのではなく、いかに素早く効果的に失敗から学ぶかが重要となります。

アジャイル型マネジメントでは、本人がアクションの結果を振り返り、何がよくて何が課題かに気付くための「リフレクション(内省)」を促すことが求められます。
仮説を立てて、実行し、その結果から学ぶプロセスが経験学習です。
変化が短サイクル化している環境において、経験学習のプロセスも短サイクル化しています。
そのため上司には、頻繁なフィードバックを通じて、部下の経験学習を支援する役割が求められるのです。

目標を与えられるのではなく自律的に目標を設定する

成果主義人事の限界『ウォーターフォール型からアジャイル型マネジメントへ』
ウォーターフォール型マネジメントは、外発的な動機付けを基本としています。
目標を達成すれば高い評価を与えるので、それに向けてがんばれと動機付けるのです。
しかし、スタートアップビジネスでは、共通の目標を上から与えることができません。
そこで、現場において一人ひとりが自律的に目標を設定して、行動することを促す必要があります。
そのため、個々人に応じた内発的な動機付けが求められるのです。

ウォーターフォール型マネジメントの大命題は目標を達成することにあるため、マネジメントの基本は達成度を管理することにあります。
売り上げや利益といった結果指標だけでなく、それに至る中間指標をKPIとして設定して進捗状況を管理します。
それらは、結果に至るプロセスを管理するものであり、個々人の内面的な違いには目が向けられません。

一方、アジャイル型マネジメントにおいては、個々人に応じたマネジメントが不可欠となります。
何に対して意欲を高めるかといった内的動機は、それぞれ異なります。また、モチベーション向上とともに発揮される強みも一人ひとり違います。
そのため、個々人のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、個々人ごとの内的動機や強みを十分に発揮させるマネジメント(=ピープルマネジメント)が必要とされるのです。
つまり、個に着目したマネジメントが強く求められるようになります。


以上、ウォーターフォール型マネジメントとアジャイル型マネジメントを対比させて述べてきましたが、ウォーターフォール型マネジメントにアジャイルな要素が全く必要でないという訳ではありません。
レガシービジネスにおいても、変化のサイクルは短縮化し、顧客のニーズは多様化し、技術の進化による影響も小さくありません。
したがって、ウォーターフォール型マネジメントにアジャイル型マネジメントの要素を組み込む工夫が必要とされます。
そのためには、後の回で述べる上司と部下の1on1の対話のデザインが重要となるのです。


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◆1on1navi

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株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年11月2日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのブログでは、「成果主義人事の限界」をテーマに、「現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か」という問いに対して、全6回の連載で順を追って解説しています。
今回はその中の1回目『VUCAの時代と成果主義人事のミスマッチ』についてお届けします。
成果主義人事の限界『第1回 VUCAの時代と成果主義人事のミスマッチ』
昨年、『人事評価はもういらない』という本を出版して以来、数百社におよぶ企業の人事の方々に対して、このテーマでお話しをしてきました。
多くの企業の実情を伺い、考えれば考えるほど、日本企業の成果主義人事は既に限界に達しているという確信が強まっています。
実際に人事向けセミナーなどで成果主義人事の問題点をチェックしてもらうと、「すべて当社に当てはまります」と発言される参加者は少なくありません。

ところが、それほど問題を抱えているのにもかかわらず、根本的な変革に踏み切る企業はあまり多くありません。
その理由として、成果主義人事があまりにも組織に浸透してしまったため、組織の上から下まで染み込んだ固定観念からなかなか脱却できないことが挙げられます。

一方で、人事部門では問題を認識しながらも、成果主義のなかでこれまで昇進してきた経営層を説得する自信がないという担当者も見られます。
人事制度を企業に指導するコンサルタントの側が、従来の発想から脱却できていないという要因も見過ごすことはできないでしょう。

大前提としてお断りすると、私は成果に基づく評価を否定しているわけではありません。
多くの企業が採用している成果主義人事の方法論を問題視しているのです。

その方法論とは、簡単に述べると、①年度または半期ごとに組織目標を個人目標に落とし込み②その達成度を評価して点数化(レーティング)し、③レーティングの結果をもとに報酬や等級を決める、というやり方を指しています。

本連載では、現状の成果主義人事のどこが、なぜ問題なのか、どのように変えていくことが必要か、という問いに対して、順を追って解説していきたいと思います。

成果主義人事は歴史的使命を終えた

その昔、戦後の高度成長時代の日本企業には、確たる評価制度はありませんでした。
右肩上がりの経済成長のもと、年功序列・終身雇用の制度によって毎年、社員の処遇が上がっていくため、わざわざ評価で差を付ける必要がなかったからです。
経済成長が鈍化した70年代に入ってやっと、社員の能力開発への動機付けを高めるために、多くの企業が職能資格制度による評価を導入しました。
しかし、経験を積めば能力が高まるという年功主義的な考え方がベースにあったため、評価の個人差はそれほどありませんでした。

成果主義人事の限界『第1回 VUCAの時代と成果主義人事のミスマッチ』
現在の成果主義が導入され始めたのは、90年代になってバブル経済が崩壊して以後です。
日本経済は極めて低成長の時代に入りました。
時を同じくして、グローバル経済が進展し始めました。
資本が国境を越えて自由に移動するようになると、年功主義に基づいた日本企業の高固定費構造が大きな足かせとなりました。

そこで導入されたのが成果主義人事です。その目的は以下の2つに集約されます。

(1)年功主義に起因する固定費構造を解消すること
(2)低成長経済のなかでも売り上げを維持・伸長させるために強い動機付けを働かせること

それらの目的を実現するために、目標管理制度と成果主義による評価制度が導入されました。
つまり成果主義人事制度は、企業の業績管理システムを補完する位置づけにあったといえます。

90年代の半ば以降に日本企業の多くが類似の成果主義人事を導入してから、およそ20年が経過しようとしています。
その間に極端な成果主義の弊害を是正するための改良が加えられてきましたが、根本的な思想は大きく変わっていません。
これまでの成果主義人事の成果を総括するなら、(1)の高固定費構造の見直しについては、一定の成果をあげたといえるのではないかと考えられます。
デフレ経済下で所得が伸びない状況を作ってしまったことがよかったかどうかはともかくとして、人件費構造はこの20年で随分と変わりました。

(2)に関して、日本企業の国内売り上げは全体として伸びていません。この間、総人口は減少に転じ、需要自体が拡大していないので当然のことといえますが、このまま同じやり方を続けても一層の成長は期待できないでしょう。

それに加えて、企業を取り巻く環境は急速に、大きく変化してきています。やや大げさな言い方をすると、成果主義人事は20年を経て、一定の歴史的使命を終えたといえるのではないかと考えています。

VUCA時代におけるマネジメントの変化

成果主義人事は、組織マネジメントの方法論と捉えることができます。
ところが、その根本にあるマネジメントのあり方自体が環境変化とともに大きく変化しています。

多くのアメリカ企業が年次評価(レーティング)を廃止して、新しい目標管理のプロセス(英語ではパフォーマンスマネジメントといいます)を導入していますが、その背景には企業を取り巻く大きな環境変化があるのです。
その環境変化はアメリカ固有の問題ではなく、グローバルで共通したものです。
その環境変化を表すキーワードが、いわゆる「VUCA」です。

VUCAの時代において、企業がパフォーマンスを向上させるためには、これまでとは異なるマネジメントスタイルが求められます。以下では、VUCAが求める、4つのマネジメント変革のポイントを解説しましょう。

成果主義人事の限界『第1回 VUCAの時代と成果主義人事のミスマッチ』
V(Volatility:変動の激しさ)は、変化の短サイクル化、スピードの加速を意味します。

AIなどの技術進歩が典型例ですが、技術の進歩がさらなる技術進歩を生む状況が生まれています。
昔から、企業が生き残るためには生物と同様に環境変化に適応することが不可欠であるといわれてきましたが、それがいよいよ待ったなしの状況になってきたといえます。

グローバル人事の専門家に、欧米人のリーダーと日本人のリーダーの最大の違いは何かと尋ねると、意思決定のスピードが真っ先に挙げられます。
日本企業では意思決定までに様々な関係者に配慮したり忖度したりするために、時間がかかってしまうことが少なくありません。

しかし、VUCAの時代においては、環境変化と意思決定の乖離は命取りになりかねないのです。

U(Uncertainty:不確かさ)は、想定できない結果が頻繁に起こることを意味します。

代表例としてしばしば挙げられるのが、昨年のイギリスのEU離脱やトランプ大統領の誕生です。ビジネスの世界においても、想定外の結果が現実のものとなった事例は枚挙にいとまがありません。

想定外の結果が生じるのは、裏を返せば事前の想定が強すぎることを物語っています。
過去の成功体験やこれまでの社内における常識が強固であればあるほど、それ以外の可能性を想定できなくなってしまいます。
従来のビジネス(レガシービジネス)における成功の方程式に安住するのではなく、新たな環境における新たな方程式を常に模索していなければ、想定外の結果は必ず起こってしまうのです。

成果主義人事の限界『第1回 VUCAの時代と成果主義人事のミスマッチ』
C(Complexity:複雑さ)は、文字通り企業経営において勘案すべき変数が、過去よりもはるかに複雑になっていることを意味します。

グローバル化、技術の進歩、政治情勢の変化、新たな競合の出現、顧客ニーズの多様化など、企業経営において考慮すべき要素は多数に上り、それらが相互に関連し合いながら、しかも短サイクルで変化しています。

シンプル・イズ・ベストという言葉がありますが、極めて複雑化した今日の企業を単純な方法論で経営するのは大変危険です。
最適解を見いだすためには、多様な視点や多様な専門性が不可欠であるばかりでなく、それらの多様な人々が自分の意見を臆することなく発言できる環境が必要とされるのです。

A(Ambiguity:曖昧さ)とは、物事の意味合いやトレンドが不明瞭であることを意味します。

つまり、因果関係を明確に説明することが難しくなっているのです。
例えば、SNSツールのLINEは空前のヒットとなり、その要因としてスタンプがうけたとか、グループ機能がよかったとか説明されますが、それらはどれも後付けの理由です。
LINEのずっと前から電子メールは存在したし、リアルタイムのチャットツールもたくさんありました。
論理的に考えると、既に競合サービスがたくさんあるから勝算が少ないと判断されてしまったでしょう。

論理的な分析ばかりではなく、こんなサービスがあったら便利そうだとか、こんなサービスが欲しいとかいった、どちらかというと感覚的な理由からでも、小さく始めてみて、ユーザーの反応を機敏に取り入れながら育てていくことが、逆にビジネスを成功させるための方法論になりつつあります。
また、そのようなアプローチを可能にするためには、現場においてトライアンドエラーが奨励される環境が必要とされるのです。


これまでの成果主義人事をベースとした硬直的なマネジメントのままで、VUCAの時代に立ち向かうのは困難です。
次回からはその理由をより詳細に解説したいと思います。

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◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年10月27日|カテゴリー「さまざまな分野
ニューノーマル時代には欠かせない!オンライン商談時のコミュニケーション5つのポイント
新型コロナウイルスの感染の脅威は、これから気温が低くなるにつれて再び高まってくることが想定されます。
こうした脅威があるなかであっても、経済をまわしていかなければならないですね。

ニューノーマルと呼ばれる新たな社会の流れが出てきているなかで、営業の現場においても様々な変化に対応していく必要が出てきています。
コロナ禍において、各企業が未来を見据えて営業戦略を考えていくうえでは、大きな方針転換を迫られる場合もあるでしょう。
その方針転換によって、各営業部門においては、営業パーソンの業務の進め方にも影響が出始めてきております。
その一つが、商談スタイルの変化です。これまで当たり前であった対面での商談ができなくなり、オンラインによる商談をおこなう必要が出てきています。
コロナ禍においてオンライン商談を当然のように求めてくる顧客が出てくると、これまでは対面での商談をおこなっていたとしても、対応できなければ取引自体を失ってしまうリスクも出てきます。
もちろん、すべての商談がオンライン化するわけではありませんが、企業の方針によっては、商談のオンライン化が当然のようにおこなわれているのも事実です。

オンライン商談というのは、慣れるまではとても抵抗を感じると話す営業パーソンが多くいるのは事実です。
ただ、一度その抵抗を払しょくできると、オンライン商談であっても、対面での商談と同じようにスムーズに進められるものです。
インサイドセールスをスタンダードなものとして確立できている企業では、オンラインによる商談であっても十分に対応できています。

ニューノーマルの時代には欠かせなくなってきているオンラインによる商談。
前回のブログでは、主にオンライン商談の準備のポイントについてとりあげました。
今回は、実際にオンライン商談に臨むときに、特にオンラインだからこそおさえておくべき、コミュニケーションにかかわる5つのポイントについて整理します。

<前回の記事>

ニューノーマル時代には欠かせない!オンライン商談時のコミュニケーション5つのポイント
まず、最初に商談相手とオンラインでつながったときがとても重要です。

心理学者のアルバート・メラビアン氏が提唱した「メラビアンの法則」では、感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかについて紹介されております。
それによると、視覚による情報で55%影響を及ぼすといわれています。
他にも聴覚情報や言葉そのものも影響を及ぼすポイントとして挙げられていますが、視覚の情報が最も大きいのです。
つまり、視覚から入ってくる良い印象も悪い印象も同じように人の行動に影響を及ぼすことになります。

オンラインの商談でいえば、画面に映った瞬間に相手が感じる最初の印象がとても重要になってきます。
したがって、服装や身だしなみなど、ビジネスマナーでもよくいわれる注意すべきことは、対面商談でもオンライン商談でも同じです。
相手に対して不快な印象を抱かせないような服装や身だしなみを整えるようにしましょう。

特に注意する必要があるのは、画面に映らない部分の服装です。
以前、テレビのコマーシャルで、画面に映らない部分の服装が私服であるのをアピールする営業部長のことがとりあげられていました。
これと同じことを実際のオンライン商談の場面でやるのはNGです。
画面に映らない部分についても、商談にふさわしい服装で臨むようにしましょう。
座って商談をしていても、ふと立ち上がったときに相手に自分の私服の姿が映ってしまうと、それだけで商談内容が台無しになることも十分にありえます。
見えないからといって油断しないようにしましょう。

また、画面に映る表情にも気をつける必要があります。笑顔でにこやかな表情を保つことはいうまでもありません。
表情で相手に好印象を与えるのを心がけましょう。
自分のパソコン画面に表情が大きく映りますので、商談が始まる前に、カメラの位置や設定を確認するとともに、画面を見ながら自分の表情も確認しておきましょう。

このように、見た目で判断される部分、すなわち相手が受け取る印象については、ぬかりなくチェックしてからオンラインの商談に臨むようにしましょう。
オンライン商談を前進させるための最初の一歩だと思ってくださいね。

ニューノーマル時代には欠かせない!オンライン商談時のコミュニケーション5つのポイント
さて、実際にオンライン商談で相手と話をするときに気をつけることですが、声の大きさやスピードには気を配りましょう。
商談に限らず、オンラインでのやりとりにおいて最もストレスとなるのは、相手の声が聞こえないことです。
マイクできちんと自分の声を拾えているかどうかを確認し、自分の声が届くようにしましょう。

また、対面の商談のときよりも、大きめの声で話をすることをお薦めします。
機械を通して相手に声が伝わるため、対面の商談のときよりも声を大きくして話をしましょう。
特に語尾が小さくなって聞こえなくなってしまわないように、語尾まで気を抜くことなく大きめの声でお話しましょう。

また、オンライン商談では、話すスピードはいつもよりもゆっくりであるように心がけましょう。
機械を通した声となりますと、聴こえづらくなることもありますので、いつもより少しゆっくり話すようにしましょう。
特に大事なポイントは、ゆっくり話すとともに、大きめの声で話すとより相手に伝わります。
声の大きさやスピードについても、相手への配慮を忘れないようにしましょう。
オンライン商談への抵抗感をいかに払しょくするか?そのためにも、相手に配慮している証として、声の大きさやスピードをうまく活用してください。

ニューノーマル時代には欠かせない!オンライン商談時のコミュニケーション5つのポイント
次に、商談相手と話をするときに心がけるのは、はっきりと反応することです。
対面の商談では同じ場所にいるので、あまり強く意識しないポイントかもしれません。
しかし、オンライン商談の場合には、同じ場所に一緒にいないため明確な相手の反応が欲しくなります。そのためにも、営業パーソン自身がはっきりとした反応をすることを心がけましょう。

具体的には、まず、相手から何か質問されたときの反応です。
最近では、オンライン上で資料を共有して、それを一緒に見ながら話をする場面を多く見かけるようになりました。
そのときに、最初に資料を投影した人が、「資料は見えますか?」と尋ねますよね。
尋ねられた側は、手で丸印をつくって合図をする場面をよく見かけます。
このように、商談相手からの問いかけに対しては、身体を使って反応するようにしましょう。
相手が理解できるように反応をはっきりと示すのがポイントです。

そして、話を聴くときのうなずきも、オンライン商談ではとても有効な反応です。
うなずいている様子が画面の向こう側から見えると、相手に話が伝わっていると実感できるのではないでしょうか。
大きくうなずく、ゆっくりうなずく、繰り返しうなずくなど、うなずきを活用しましょう。
話を聴くのが上手な人というのは、よくうなずいて聴いています。
うなずきがあれば、話をする側も安心して話せますね。うなずきは、相手が反応している様子がはっきりわかる最強の技法ですね。

そして、あいづちも同じように効果的に用いるといいでしょう。
オンラインで一方的に話をするときには、相手の声が聞こえない時間が長くなる不安になりがちです。
声に出して「ええ」「はい」「そうですね」など、あいづちをうつことによって、相手の反応を確認できると話がしやすくなります。
オンラインの商談を円滑に進めていくためには欠かせないものですね。
うなずきとセットにしてあいづちをうつようにしましょう。
うなずきもあいづちも、傾聴の基本スキルとしてよく紹介されるものです。
対面商談と同じように話を聴いていることを明確に示すことで、相手が安心してオンライン商談に臨めるようにしましょう。

ニューノーマル時代には欠かせない!オンライン商談時のコミュニケーション5つのポイント
コミュニケーションの基本となることですが、商談相手と双方向でコミュニケーションをとるようにしましょう。
会社の紹介や商品、サービスの紹介が中心の商談となりますと、ついつい営業側が一方的に長く話しがちです。
オンライン商談の場合には、対面の商談と比べて長く時間をかけるのは望ましくありません。
一人でパソコンなどに向かって話をしているため集中力が落ちてくるのです。
ですので、一方的に長く話しすぎないようにしましょう。
目安としては、長くても3分に1回は相手に声を出してもらうような商談の進め方を考えてください。

たとえば、ある程度まで話をしたところで商談相手に質問をしましょう。
「ここまでのところでなにかお感じになったことはありますか?」「ここまでいかがでしょうか?」「なにか気になるところはありますか?」など、質問によって相手に話してもらう時間をつくりましょう。
とにかく相手に何か声を発してもらうようにして、商談の場が間延びしてつまらないものだと相手に思われないようにすることです。

よく一方的に話をし続けている営業パーソンを見かけますが、オンライン商談では、一方的に話をし続けると、対面商談のとき以上に聴いている相手は飽きてしまいます
そのため、相手はオンライン商談を、できるだけ避けるようになってしまうかもしれません。
相手と双方向でコミュニケーションをとる工夫を採り入れながら商談を進めるようにしましょう。

ニューノーマル時代には欠かせない!オンライン商談時のコミュニケーション5つのポイント
オンライン商談を進めるときには、発言を開始するときと終了するときの合図を決めておきましょう。これは1対1での商談でもそうですが、複数人が複数の場所からつないでオンライン商談をおこなう場合には特に気をつける必要があります。

たとえば、発言を開始する前には、名前を名乗ってから発言をすると決めておくのがお薦めです。
「増田ですが、よろしいでしょうか?」のように、まず名前を名乗ります。複数の企業が商談に参加している場合には、企業名を名乗るのも忘れないようにしましょう。
もし決めていないと、複数の人の声が一斉に聞こえてきて、誰が話しているのかわからなくなることもあります。

そして、発言を終了するときには、なにか合図となる言葉を発するといいでしょう。
たとえば、「『以上です』と言う」などのように決めておきましょう。
「以上です」と言われれば、聴いている側は、発言が終わる合図だと認識できるので、次の発言に向けて心の準備ができます。
突然終わってしまって、場全体が黙ってしまわないように気をつけましょう。
発言開始と終了の合図を決めておけば、オンライン商談でも言葉が混線することなく、スムーズに商談が進むでしょう。
合図を決めるというのは、あまり慣れないことかもしれませんが、オンライン商談の回数を重ねて慣れていくといいでしょう。

ここまで5つのポイントを紹介いたしました。
オンライン商談を重ねていくと、商談相手とコミュニケーションをとるときに注意しなければならないことが、他にも出てくるかもしれません。
オンラインの商談を始めた当初は、きちんと商談全体を振り返るようにして、どのようなことに注意すればいいか確認しあうといいでしょう。
振り返ってみて、できていた部分と改善する部分を洗い出して共有しておけば、今後のオンライン商談がやりやすくなるのではないでしょうか。
振り返りをおこなって次のオンライン商談に活かすことができれば、オンラインの商談に対しての抵抗感も徐々に払しょくできそうですね。
オンラインの商談にいち早くなれることで、コロナ禍で生き残っていくきっかけにしていきましょう。
もしオンライン商談に慣れなければ、事前に商談の練習をおこなって慣れていくようにしましょう。
事前に練習をしておけば、二ューノーマルのもとで更なる営業力向上のきっかけとなるかもしれませんね。

最後に、オンライン商談の準備でもコミュニケーションでも、慣れないうちはとにかく丁寧におこなうことを心がけましょう。
丁寧におこなうことが、商談相手を安心させることにもなりますし、相手からコロナ禍で大きな信頼を獲得できるチャンスにもなるのです。
丁寧なコミュニケーションをとれる営業パーソンが、まさに、ニューノーマルの社会で市場から信頼されるビジネスパーソンとして成長できると思って、オンライン商談に前向きに取り組んでいきましょう。

オンライン商談対応営業力強化研修

オンラインで営業商談を行う際に必要なスキルを身につけ、今後に活かせるようにするための研修はこちらです。

【研修の目的】
・オンラインで営業商談を行う際に必要な基本スキルを確認する。
・準備とコミュニケーションの観点から、自身のスキルアップが必要なポイントを確認し、今後のオンライン商談に活かせるようにする。

【対象となる方】
・オンライン商談に苦手意識をもっている営業担当者
・若手営業パーソン


【研修の目的】
・オンラインで営業商談を行う際に必要なスキル(伝わる・聴く・質問する)を確認する。
・オンライン商談実習を通して自身の特徴を確認し、更なるスキルアップにつなげる。また、他の受講者の取り組みを確認し、どのような点を自身の営業に活かすポイントをおさえ、スキルアップにつなげる。

【対象となる方】
オンライン商談に苦手意識をもっている営業担当者、若手営業パーソン、基礎力強化編受講者

インサイドセールス立ち上げをトータルサポート

『インサイドセールス』導入支援サービス
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増田 和芳講師
増田 和芳(ますだ かずよし)講師

<経歴>
三菱UFJニコス株式会社,株式会社日本マンパワー,ソフトブレーン・サービス株式会社
合同会社富士みらいクリエイション代表

<資格>
国家資格キャリアコンサルタント
(公財)21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント
(一社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
(一財)生涯学習開発財団ワークショップデザイナー

1976静岡県富士市生まれ。大学卒業後、大手信販会社で営業及び債権管理業務を経験。28歳の時に大手教育研修サービス会社へ転職し、約10年間法人営業職として勤務。キャリアデザイン研修やヒューマンアセスメント研修等の企画、営業に携わり、トップセールスとして表彰も受けた経験あり。33歳で営業課長に昇格。通算部下6名の育成に携わる。営業現場の業務改善や営業人材育成に取り組み、営業マニュアル作成や全社教育体系作成プロジェクトでは中心的な存在を担った。また、全社員対象ハラスメント防止研修等の社内研修講師としても活躍。一時は自律神経失調症で苦しむ経験をしたが克服し、2015年3月に営業コンサルティング会社へ転職。ソリューション営業スキル向上、マネジメント、組織内コミュニケーション向上等をテーマに、コンサルタントとして活動し約420回研修講師として登壇。オンライン型及び対面型どちらでもワーク主体の研修を中心に実施し、それぞれの特徴を活かして学びや気づきを促進する研修手法は、受講者から「わかりやすい内容で、現場ですぐに使えることが多い」と評判。

2020年10月19日|カテゴリー「さまざまな分野
オンライン商談前準備・5つのポイント
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、まだまだ続きます。
これから冬に向かっていくにつれて更に拡大するのではないかという不安もあります。
そうなりますと、まだまだ近い距離で人と人とがコミュニケーションをとることに関しては、抵抗感を抱いてしまうのではないでしょうか。

また、地域や企業によっては、来訪者自体をまだまだ敬遠していて、仮に商談をするといっても、短い時間でないと受け付けないというところもあるようです。
フィルムカーテンやフェイスシールド、マスクなどで感染予防策を講じていても、まだまだ実際に同じ場所でコミュニケーションをとること自体は避けるということです。

とはいっても、営業活動などを通して経済を動かしていくことも必要になってきます。
企業側も、自社の商材を販売して売上を確保しなければなりません。
コロナ禍で、思うような営業活動ができなくなってしまったことで、売上がなくなってしまうのは非常に厳しいですね。
コロナ禍だからこそできることを考えて、いろいろな方法で自社の商材の営業活動を継続していかなければならないでしょう。今は、まさにニューノーマルでの営業のやり方が検討され始めています。

オンライン商談前準備・5つのポイント
最近では、実際に同じ場所で顧客と会うのではなく、お互いに離れた場所にいながら商談するケースも増えています。

たとえば、顧客に出たばかりの新商品のPRを行う場合や、顧客に様々なニーズをヒアリングする場合などは、まだ正式に契約をする局面ではないと判断し、実際に会わずに、オンラインでの商談を希望されている顧客も多いのではないでしょうか。
なんでもかんでも対面で同じ場所で商談するのは避けて、顧客にとって、まだ契約するかどうかわからない場合には、実際に会わずにオンラインで済ませようという気持ちもあるでしょう。

コロナ禍で社員の安全を守るためにも対面でのコミュニケーションはできるだけ避ける。
そうなると、商談の場合でも、必ずしも相手と目の前で会わなくてもいい、ということになります。

こうした顧客側の事情を踏まえて、営業側も商談の進め方について工夫する必要が出てきます。
そうなると、一つの方法として考えられるのが、インサイドセールスと呼ばれる方法です。
インサイドセールスというのは、お客様と同じ場所で対面しないスタイルでの営業手法です。
新型コロナウイルスの感染拡大前からこの手法をとっていた企業もありましたが、コロナ禍になって広く採り入れられるようになりました。

インサイドセールスといいますと、かつては電話での営業スタイルが中心でしたが、コロナ禍になって、オンライン商談用のシステムなどを使って、顧客の表情を見ておこなう営業スタイルが採り入れられるようになりました。

組織としてこれからインサイドセールスを進めていこうというときには、オンライン商談用のシステムのようなセールス用のシステムの導入が必要になります。

ただ、システムさえ導入すれば今までと同じように営業ができるかというと、必ずしもそう簡単にはいかないですね。
たとえば、自宅からオンラインの商談をおこなう場合には、通信を接続する環境などに注意しなければならないでしょう。
また、どのような通信機器を使用するのか、組織として取り決めをしておく必要があるでしょう。

今回は、インサイドセールスにおいて、実際にオンラインの商談を始める前に、どのような点に注意して商談の準備をする必要があるのか、5つのポイントを紹介いたします。

オンライン商談前準備・5つのポイント
これは、対面の商談でもインサイドセールスでも同じことです。どのように商談を進めるか、そのための準備が疎かにならないようにしましょう。

商談を進めるに当たって、結果として、どこまで商談が進めばOKなのかをイメージし、他のメンバーと共有しておきましょう。

たとえば、次のオンライン商談の約束を取り付けることを目指すのか、あるいは、企画書や商品サンプルなどを用いてのプレゼンテーションの許可をえることを目指すのか、などです。
どのように商談を進めるか、商談を始める前にシミュレーションしておくと、たとえば、同席する上司や部下、他の部署の関係者、協力会社の方たちにどのような役割を担ってもらうのかも変わってきます。

オンラインの商談では、商談をスムーズに進めるためにも事前の段取りは入念におこないましょう。

誰がどのような役割を担うのかを決めて、商談を円滑に進められるようにしておくくらいに、入念におこなうのがお薦めです。
1人の営業パーソンが話をしすぎてしまい、営業側で一緒に商談に臨んでいる人たちだけでなく、顧客側の方々を不快に思わせることのないようにしましょう。

オンライン商談前準備・5つのポイント
これも対面の商談では当然のことですが、特にオンライン商談では、相手の名前や肩書などを間違えて発言してしまうと、同じ場所にいない分、とても気まずい感じになります。
同じ場所にいないからこそ、こうした基本的なことで間違いを犯してしまうと、そのときの相手の表情をパソコンの画面上ではっきりと見えてしまうため、その場の雰囲気が非常に悪くなります。
ですので、商談の相手は誰なのか、相手の名前や部署、肩書、どのような役割を担っているのかなど確認しておきましょう。

また、商談時間にも十分に注意しましょう。
同じ場所にいないために、どうしてもお互いに集中力が落ちてしまいますし、しかもその様子が画面上にはっきりと見えてしまいます。
お互いに不慣れな環境で商談を進めていると考えて、商談時間も事前に確認しておくようにしましょう。
商談にかける時間を踏まえて、オンライン商談用のシステムに接続する時間帯を、スケジューラーに登録しておくといいですね。

特にふだんはオンラインに対応していない業種、企業が商談の相手方の場合には、十分にその点は配慮しましょう。
ただでさえ、オンラインであることがストレスになっている顧客もいます。
相手の様子もよく理解したうえで、商談時間を設定したうえで、事前に確認しましょう。

オンライン商談前準備・5つのポイント
オンラインの商談では、事前に商談相手と資料を共有し、目を通してもらうといいでしょう。
同じ場所で資料を見ながら商談を進める場合には、初めて資料を見てもらったとしても、その場ですぐに質問もしやすいですね。

ただ、オンラインの商談の場合には、画面越しに初めて見る資料のため、商談相手が自分でもう一度見たいところを見返して確認することができません。
ですので、予め資料を見て確認してもらい、実際のオンラインの商談のときに質問を受け付ければいいのです。
資料を見て確認してもらったうえで質問を受けるようにすれば、オンラインの商談の時間を有効に使うことができます。
商談相手の状況を見ながら、商談相手と事前に共有しても問題ない資料については、予め送付しておくようにしましょう。

また、五感のなかでも、嗅覚、触覚、味覚に訴える商材については、オンラインの商談では、自社の商材の魅力を適切に伝えることができないですね。
この3つの感覚に訴える必要がある商材を扱う場合には、事前に対応可能な範囲で構わないので、予め商談相手に送付しておきましょう。
オンラインの商談のときには、香り、手触り、味を楽しんでもらうようなものについては、相手のところに予め送付したものが届いている状態にして、実際に試してもらったうえで、相手方の反応をその場で確認しましょう。そして、その場で感想を伺える状態にしておきましょう。

このように円滑に商談を進めるためにも、オンラインでの商談の場合には、事前に送付できるものは送付しておきましょう。

オンライン商談前準備・5つのポイント
実際にオンラインで商談を開始する前には、商談開始時間よりも早めに接続して準備しておきましょう。

よく、商談開始時間ギリギリに接続する方がいますが、それは相手にも失礼ですし精神的にも良くないですね。
遅くても10分前には接続して待機しておくようにしましょう。

たとえば、一緒に画面を見てもらいながら商談を進めるときには、早めに接続して必要な資料を準備しておくなど、実際に商談のときに慌てることのないようにしましょう。

また、上司や部下、他の部署の方や関係会社の方などと一緒に商談をすすめる場合には、早めに接続してもらい、商談相手が接続する前に、どのように商談を進めるのか、簡単にすり合わせをしておきましょう。

このように、当日も気を抜かずに準備する時間を確保しておけば、商談中にも焦らずに済みますね。
自分自身の精神状態を平常に保てるようにするためにも、早めにシステムに接続して待機していましょう。

オンライン商談前準備・5つのポイント
そして、忘れてはいけないのがセキリュティに関する理解です。
接続先によっては、共有しようとした資料が取り出せないなどの問題が起こる可能性があります。
私用のWi-Fiを用いて接続するのではなく、会社で支給されているWi-Fiで接続するのが基本です。
商談をおこなう場所によっては、セキュリティ上、その場所が十分に守られているかも確認しなければならないでしょう。
社内の情報セキュリティにかかわる規程等を事前に確認し、どの通信機器を用いてどこに接続して商談を進めればいいのか、十分に注意しましょう。

また、商談をおこなう場合には、その場所にも注意です。
たとえば、オープンに接続できるアクセスポイントを利用するのは情報漏洩の危険があります
また、機密に係る事項を事務所の外で話すのは、情報漏洩の危険が高まります。
よく大きな声で、公共のカフェスペースなどで商談をおこなっている営業パーソンを見かけますが、こういった行為は、自社の服務規程や情報セキュリティにかかわる規程などに反する行為となる可能性が高いです
十分に注意しましょう。

そのためにも、情報セキュリティにかかわる規程のなかに、社員が遵守するべきことを盛り込んだうえで、事前に社内研修などを通して、周知徹底をおこなうことも重要です。


今回は、オンラインで商談を進める準備について5つのポイントを紹介いたしました。

オンラインに限ったことではありませんが、何事においても準備が肝心です。
特にセールスにおいては、準備で商談の結果の8割~9割が決まる、というくらいに大切なことが多く、最初はある程度準備に時間をかける必要があるでしょう。
商談相手が、オンラインの商談に抵抗感をもっている、あるいは、不慣れだから時間をかけたくないということであれば、営業側がしっかりとした準備をしておかなければ、二度と商談の機会をいただけないかもしれません。

準備については、人によってどのようなことをすればいいのか、いろいろと意見の分かれるところです。
オンラインでの商談を進めるための準備についてはどのようなことをすればいいのか?今回のようなポイントを踏まえてオンラインの商談準備の「台本」を用意するというと大げさかもしれませんが、事前に準備内容をチーム内で決めておくといいでしょう。
「台本」に基づいて、お互いにチーム内で声を掛け合い、あるいは、チャットなどを使ってお互いに確認しながら準備を進めましょう。

私は、オンラインでのセールスやコミュニケーションの研修やセミナーなどでよく伝えているのは、何事も、今までのセールスやコミュニケーションよりも丁寧に取り組むことを心がける必要がある、ということです。
ちょっと細かいと思うくらいに丁寧に準備しましょう。
丁寧な準備によって商談相手の不安感を取り除き、しっかりと商談相手の信頼をつかむくらいの気持ちで臨みましょう。

とにかく丁寧に!準備を丁寧におこなって、商談でのぞましい成果を出せるようにしましょう。

オンラインでのコミュニケーション力・営業力強化

オンラインで留意すべきコミュニケーションスキル強化を通して、生産性の向上や成果創出につなげるための研修はこちらです。

【テーマ】:プレゼン力強化
【対象者】:若手社員~中堅社員
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンラインでの言葉の伝え方


【テーマ】:傾聴力強化
【対象者】:若手社員~管理職
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンライン上の傾聴の方法 


【テーマ】:ファシリテーション
【対象者】:中堅社員~管理職
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンラインで必要なファシリテーションスキル


【テーマ】:1on1ミーティング
【対象者】:中堅社員~管理職
【主な内容】:コミュニケーション上のポイント、オンラインでの1on1ミーティングのポイント・実習


【テーマ】:営業力強化 ~ヒアリング力強化~
【対象者】:営業担当者
【主な内容】:相手とのコミュニケーション上のポイント、オンライン商談の留意事項・実習

『インサイドセールス』導入支援サービス
非対面効率よくアポ数成約数最大化

Withコロナ時代に欠かせない『インサイドセールス』のテクニックからシステム導入・サポートまですべてトータルサポート!

増田 和芳講師
増田 和芳(ますだ かずよし)講師

<経歴>
三菱UFJニコス株式会社,株式会社日本マンパワー,ソフトブレーン・サービス株式会社
合同会社富士みらいクリエイション代表

<資格>
国家資格キャリアコンサルタント
(公財)21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント
(一社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
(一財)生涯学習開発財団ワークショップデザイナー

1976静岡県富士市生まれ。大学卒業後、大手信販会社で営業及び債権管理業務を経験。28歳の時に大手教育研修サービス会社へ転職し、約10年間法人営業職として勤務。キャリアデザイン研修やヒューマンアセスメント研修等の企画、営業に携わり、トップセールスとして表彰も受けた経験あり。33歳で営業課長に昇格。通算部下6名の育成に携わる。営業現場の業務改善や営業人材育成に取り組み、営業マニュアル作成や全社教育体系作成プロジェクトでは中心的な存在を担った。また、全社員対象ハラスメント防止研修等の社内研修講師としても活躍。一時は自律神経失調症で苦しむ経験をしたが克服し、2015年3月に営業コンサルティング会社へ転職。ソリューション営業スキル向上、マネジメント、組織内コミュニケーション向上等をテーマに、コンサルタントとして活動し約420回研修講師として登壇。オンライン型及び対面型どちらでもワーク主体の研修を中心に実施し、それぞれの特徴を活かして学びや気づきを促進する研修手法は、受講者から「わかりやすい内容で、現場ですぐに使えることが多い」と評判。

2020年10月12日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのコラムは「これからのパフォーマンスマネジメント」をテーマに全6回の連載でお届けいたします。今回は最終回の6回目です。
※パフォーマンスマネジメント…目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのこと

1on1の導入を目的にしてはならない
1on1を導入しようとすると、現場のマネジャーから次のような声が上げられることがよくあります。
1on1なんてやる意味があるのか?
自分は部下と十分にコミュニケーションを取っているので1on1の必要はない

推進側の人事担当者が1on1の必要性を説明しても、なかなか理解してもらえません。
もちろん、現場のマネジャーのすべてがそうではないので、1on1に消極的な人は後回しにして、積極的なマネジャーに手を挙げてもらって始める方法が取られることもよくあります。
そのようなアプローチが間違っているわけではありませんが、そもそもマネジャーに理解してもらうべきことを取り違えているのです。

1on1の必要性を理解させようとするから、理解されないのです。

1on1は手段であって目的ではない

1on1の導入を目的にしてはならない
別の例をご紹介しましょう。先日、マネジャー向けのワークショップであげられた質問に対する私とのやり取りです。

相手:「部下に目標を考えさせるよりも、上から命じた方が早いのではないか?」
:「確かに短期的にはそうでしょうね。でも、それを続けていると、部下の方々はますます受け身になりますよね。もし、あなたがけがで入院でもしたら、部下の方々は何をしたらよいか途方に暮れるのではないですか?」

相手:「そうかもしれないが……」
:「理想的には、あなたが何も命じなくても、部下が自分で考えて成果をあげられるようになるのが、いちばん早いのではないでしょうか?」

相手:「それは理想だが、すぐには無理だ」
:「もちろん、すぐにはできません。けれども、やり始めないとあなたの部下はますます待ちの姿勢を強めてしまいます。一度にすべて変えることはできなくても、この仕事はあなたに判断を任せますと、少しずつ自分で考えさせる範囲を広げていく必要があるのではないですか?」

相手:(うなずく)
:「私たちは、部下が自律的に成果をあげる状態を目指すという、壮大なチャレンジをしているのです」

このケースにおける目指す姿は、「部下が自律的に行動する状態」を実現することです。
それによって、これまで以上に「成果をあげる=パフォーマンスを向上する」ことが目的です。
1on1はあくまでもそれに至る手段なのです。
非常に重要な手段ではありますが、目的ではありません。

多くの企業において、「上司と部下のコミュニケーション不足」が問題になっています。
しかし、コミュニケーション不足を解消するために1on1を導入しようとすると、「コミュニケーションを増やすこと=1on1の実施」が目的になってしまいがちです。
1on1の導入を目的にしてしまうと、推進担当者の視点は「どうすれば1on1をうまく実施できるか」に向きがちです。
そうなると、次のような目先のハウツーが関心事となってしまいます。

・1on1の実施をルール化すべきか?
・1on1で何を話題にしたらよいか?
・どのような研修を準備したらよいか?

もちろん、これらのことを検討することも必要ですが、それ以前に上司と部下のコミュニケーションを増やすことによって何を実現したいのかが明確にされていることが必要です。
さもなければ、現場のマネジャーには「何のために1on1を導入するのか」が理解できません。

先ほどの例を用いると、「部下が自律的に行動する状態を実現すること」が目的です。
多くのマネジャーにとっては、このような大目的の方が賛同しやすいことでしょう。
そのうえで、そこに至る個別具体論として1on1を導入することを示すシナリオが必要なのです。

個人と組織の目指す状態を描く

1on1の導入を目的にしてはならない
最終的な目的は組織のパフォーマンスを向上することにありますが、それは最終結果なので、どのような状態を実現すれば組織のパフォーマンスが向上するかという実現イメージを示すことが重要です。

組織のパフォーマンス向上というと大上段すぎる。
従業員の離職を減らすために1on1を導入したいのだという企業もあるでしょう。
そのような場合でも、どのような状態を実現すれば従業員が喜んで働き続けるのかを考えることが必要です。

そうした状態は、「個人の状態」と「組織の状態」の2つの視点で表現することができます。
目指す状態は企業によって異なりますが、そのシナリオを考える視点を以下に例示します。

1on1の導入を目的にしてはならない
働く人の動機と組織のパフォーマンスの関係性に基づくトータルモチベーション(ToMo)の研究結果によると、成果をあげる動機には以下の3つがあげられています。

・仕事を通じた実験や学習に「楽しさ」が感じられること
・その仕事の結果が自分の価値観に一致した「意義」を感じられること
・その仕事に携わることが自分の将来の「可能性」につながると感じられること

つまり、個々人が仕事を通じた「楽しさ」「意義」「可能性」を感じられれば、組織のパフォーマンスは向上するのです。

したがって、従業員がそうした動機を満たしながら働けることを目指して1on1を実施するといったシナリオを描くことができます。

あるいは、コミュニケーションの課題でしばしば用いられるダニエル・キム氏の成功循環モデル(関係の質⇒思考の質⇒行動の質⇒結果の質)に基づいて、個々人が最終的に結果の質を高められるように1on1で支援するといった人材開発重視のシナリオを描くこともできるでしょう。

ただし、この場合、「関係の質」を高めれば自動的に「結果の質」が高められる訳ではないということに注意が必要です。
結果の質」をどのように変えるために、思考や行動をどう変えることが必要で、その方向を目指して1on1で何を支援するか、という順番でのシナリオが必要です。

いずれのフレームワークを用いるにせよ、個々人にどうなってほしいのかというゴールを明示することが重要です。

1on1の導入を目的にしてはならない
1on1を通じて個人の働く動機や思考・行動の質の変化を促そうとしても、個々人を取り巻く組織のカルチャーがそれを阻むケースも少なくありません。

そのため、1on1を単に上司と部下の関係にとどめず、組織カルチャーの変革を目指すための取り組みと位置付けることも重要です。

たとえば、一人ひとりが思ったことを気兼ねなく言い合える「心理的安全性」の高い組織を創ることを目的とすることもできます。
あるいは、多様な個人の違いを尊重するカルチャーを創ることや、失敗を非難せずにトライアンドエラーを重んじる学習するカルチャーを創ることが目的とされる場合もあるでしょう。

これらの組織カルチャーは企業として何を重視するかといった価値観(バリュー)に依存するため、経営者がそのバリューの浸透にコミットしていることが不可欠です。
逆に言うと、経営者のコミットメントなしに1on1だけ導入して成果をあげることは難しいのです。


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◆1on1navi

株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年10月6日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのコラムは「これからのパフォーマンスマネジメント」をテーマに全6回の連載でお届けいたします。今回は5回目です。
※パフォーマンスマネジメント…目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのこと

<前回の記事>第31回 『OKRと1on1 は車の両輪~ちぐはぐなマネジメントを解消せよ(その4)』
1on1で上司に求められるもっとも大切なこと
社会人の学習の70%は仕事の経験を通じてなされると言われています。
そのため、1on1の目的が部下の成長を支援することにあるならば、1on1とは部下の経験学習がより効果的なものになるように上司が支援する場であるとも言い換えることができます。  

では、部下の経験学習を効果的に支援するために上司に求められることは何でしょうか? 
その問いに答えるためには、経験学習とはどのようなものかを理解する必要があります。

心のセンサーの感度を上げる

1on1で上司に求められるもっとも大切なこと
経験からの学びを豊かなものにするには、2つの重要なポイントを意識する必要があります。

1つ目は、そもそも学びの可能性が豊富な「良質な経験」をすることです。

ただし、どれだけ良質な経験をしても、そのままにしていては学びが得られません。
そのため、個々の経験からいかに「効果的な学習」を行うかが、2つ目のポイントになります。  

有名な「コルブの経験学習モデル」に従って、もう少し具体的に見ていきましょう。
経験学習モデルでは次の4つのステップが定義されています。
  
1. 具体的な経験
2. 内省的な観察
3. 抽象的な概念化
4. 積極的な実験
  
経験学習ですから、「1. 具体的な経験」が学習 のスタートです。
経験からの学びとは、何かの理論や知識を誰かに教えてもらうことでなく、自分自身で「気づく」ことです。
気づく」というのは、その経験にどのような意味や価値があるかを認識することです。
それが「3. 抽象的な概念化」に当たります。
  
そのため、「1. 具体的な経験」と「3. 抽象的な概念化」の間にある「2. 内省的な観察」のステップが重要です。
内省」は英語では「リフレクション」、日本語では「振り返り」と呼ばれます。  
振り返り」はただ単に、何が起こったのか、なぜ起こったのかを思い出すだけではありません。
より重要なことは、その出来事が自分の内面にどのようなインパクトを与えたかを思い起こすことです。
内面へ のインパクトは「感情」として現れます。
したがって、自分の感情に向き合うことが「気づき」の出発点になるのです。 

その感情には「楽しかった」「うれしかった」といったポジティブなものもあれば、「悲しかった」「腹が立った」といったネガティブなものや、「何となくモヤモヤする」といったどっちつかずのものもあるでしょう。

自分の心をセンサーとして、なぜそのセンサーが反応したのだろうかと、自分にとっての意味を考えるのが「3. 抽象的な概念化」といえます。  

この 1~3 のステップをしっかりと行うことが、「効果的な学習」につながるのです。

1on1で上司に求められるもっとも大切なこと
ではもう 1つのポイントである「良質な経験」をするためには何が必要でしょうか? そのためのステ ップが「4. 積極的な実験」なのです。
経験からの学びを次の経験に生かすには、積極的に実験しようとする行動が重要です。

これまでと 同じような行動をただ繰り返していてもそこからの学びは少ないでしょう。
見知らぬ景色を見るために旅に出るような行動が求められるのです。それは「チャレンジ」と言い換えられます。  
しかし、ただチャレンジするのではなく、何らかの仮説を持って実験的にチャレンジすることが重要です。
それによって、行動した後に仮説の検証が可能になるからです。  

チャレンジする課題を設定する際に、そもそも何 にチャレンジをすればよいのかが分からないこともあるでしょう。
その原因は多くの場合、経験を振り返って学んでいないことにあります。
経験からの「効果的な学習」ができていれば、「次は~にチャレンジしてみよう」という道筋が見えるはずです。

チャレンジに関するもう1つの重大なテーマは、チャレンジを阻害する心理的な抵抗の存在です。
「うまくできるかどうか自信がない」「現状を変えることが怖い」「周囲にどう思われるか不安だ」といったネガティブな心理が、チャレンジの阻害要因になります。  
チャレンジができない理由としては、心理的な抵抗の方が大きいことが通常です。
そのため、「4. 積極的な実験」を行うためには自分のネガティブな感情を乗り越えることが求められるのです。

上司の「姿勢」と「実践」にかかっている

1on1で上司に求められるもっとも大切なこと
以上でお分かりのように、経験学習では「感情」 がきわめて重要な要素になります。
そのため、1on1においては部下が自分の感情に向き合い、自己開示して話せる場を作れるかどうかがその効果を大きく左右すると言っても過言ではありません。
  
では、そのために上司に求められることは何でしょうか? 
それはコーチングやフィードバックのスキル以前に、上司の「姿勢」と上司自身の「実践」に かかっています。
反対に、上司の姿勢と実践が欠けていたなら、どれだけスキルを学んでも効果がな いばかりか逆効果にもなりかねません。  
「上司が受け止めてくれる」「自分のことを応援してくれている」と安心できるからこそ、部下は身構えることなく自分の内面に向き合い、言葉にすることができるのです。
「部下のことを支援したい」「応援したい」という上司の姿勢は部下に必ず伝わります。 

言い方を換えれば、上司が「部下に関心」を持っているのか、「自分自身に関心」を持っているのかという、関心の焦点のありかの問題ともいえます。
上司が上司自身に関心を持った状態で1on1に臨んでも、部下はけっして自分の気持ちを率直に語ることがないでしょう。  

上司に求められるもう1つのことは、上司自身が経験学習を「実践」しているかどうかです。
葛藤を乗り越えてチャレンジをしたり、経験を深く見つめて学んだりすることのない上司から、部下は支援を受けたいと思えるはずがありません。  
1on1は部下にとっての経験学習の場ですが、その前提として上司自身が日々、経験学習を実践していることが不可欠なのです。

第27回 『上から目標を与えてはいけない理由~OKRのコンセプト(その1)』 Author:松丘 啓司

第28回 『個人目標を公開することによる効果~OKRコンセプト(その2)』 Author:松丘 啓司

第29回 『組織が先か、目標が先か~OKRのコンセプト(その3)』 Author:松丘 啓司

第31回 『OKRと1on1 は車の両輪~ちぐはぐなマネジメントを解消せよ(その4)』 Author:松丘 啓司

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◆1on1navi

株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年10月5日|カテゴリー「さまざまな分野
ブログ_Yuki Nose
みなさん、こんにちは。日系アメリカ人・元外交官のYuki Noseです。

このブログでは、経営者・管理職・人事の立場からみたテレワーク・マネージメントについて、お伝えしています。
今回は、シリーズの4回目、前回に引き続き「ジョブ型雇用」についてお伝えいたします。

テレワークの問題解決のために、急遽、脚光を浴びてきた、「ジョブ型雇用」。
ジョブ型雇用」って何でしょう?

-前回の記事を読む-
テレワーク・マネージメントとジョブ型雇用~ジョブ型雇用って何?~part1
「1.日本の雇用制度」~「7.昇進・異動」

8.到達点

メンバーシップ型雇用では、いろいろな職種を広く浅く経験するので、いろいろなことが学べますが、少しずつしか学べません。
しかも、異動がいつになるかがわからないので、夜間MBAに通う、など、長期的な「学びの計画」が立てにくくなります。

それに対して、ジョブ型雇用は、専門家となるので、到達点が高くなり、多くのアイデアが社員から生まれます。
GAFAの躍進は、このようなジョブ型雇用による専門家によるものです。

ジョブ型雇用とは


ジョブ型雇用とは

9.モチベーション

メンバーシップ型雇用では、職務が明確にされていないため、仕事内容が不明瞭で、従って、時間で管理されることになります。
効率が悪くても給料が同じなので、効率を上げようというインセンティブは低下します。
また、仕事内容が明確にされないので、モチベーションが下がり、労働生産性は低くなります(日本の労働生産性は先進国の中で最低です)。

それに対してジョブ型雇用では、職務が明確なので、モチベーションが高くなります。
効率良い仕事をした方が有利なので、労働生産性は高くなります。モチベーションと労働生産性が高くなると、充実感・達成感・やりがいが大きくなります。

ジョブ型雇用とは

10.ビジョン

メンバーシップ型雇用では、いつどこに異動になるかわからないので、1年以上の計画が立てにくくなります。

それに対して、ジョブ型の場合は、異動時期が自分で決められるので、長期的視野に立ち、数年にわたる計画を立てることができます。

大きな事業は1年で行うことが難しいため、大事業を成し遂げようとすると、数年の視野が持てる職員が必要となります。
アマゾンの成功は、ジョブ型雇用による長期的視野によります。1年では採算が合わなくても数年で黒字になる計画により、アマゾンは大成功をおさめました。

ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは

11.人生の質

メンバーシップ型雇用では、異動のタイミングと異動先が自分で決められないので、配偶者や子供の学校などの関係で単身赴任が増えます。当然のことながら、単身赴任は少子化と大きく関係しています。日本は他の先進国と比べて、単身赴任者の割合が非常に多いです。

ジョブ型雇用は、異動のタイミング、異動先を自分で決められるので、ワークライフバランスが保ちやすいです。例えば、子供の卒業に合わせて異動をすることが可能です。

ジョブ型雇用とは

12.まとめ

メンバーシップ型雇用では、職務が不明瞭なので時間で管理することとなり、テレワークでは弊害が起こります。また、モチベーションや労働生産性が低くなりがちで、ワークライフバランスが保ちにくいです。

ジョブ型雇用では、職務・成果で管理するため、テレワークに向き、モチベーション・労働生産性が高くなります。また、ワークライフバランスも容易に保てます。
それだけでなく、アイデアが多く出、長期プランを要する大事業にも効果的です。ジョブ型は国際競争に有利に働きます。

ジョブ型雇用とは
テレワークの解決法がジョブ型雇用ということに気づいている人は多く、そのため、ジョブ型が新聞に毎日載っています。
けれども、日本は労働基準法のため、欧米式のジョブ型をそのまま取り入れることができません。「日本式ジョブ型雇用」を作る必要があります。

では、もし、ジョブ型雇用を導入したければ、具体的にはどうすれば良いでしょうか?

そこから先の質問は、研修でお答えします。
何かご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。


 

※ お電話の場合は「06-6356-8522」までお問い合わせください

欧米でのテレワーク・マネージメントの実際

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・失敗例は?成功例は?
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Yuki Nose 
国際ビジネス 代表、大阪市立大学非常勤講師 兼務
日系アメリカ人、元外交官
海外勤務25年(世界50カ国)

大阪生まれ。ハーバード大学修士卒(国際政策専攻)
ハーバード大学のマネージメント教授のアシスタントを務め、ハーバード式講義術を学ぶ。
国際連合で10年勤務し、企画顧問、最高技術顧問、事務所長などを歴任し、この間「ハーバード式講義+欧米式参加型ワークショップ」により、各国でリーダーシップ・マネージメント研修を行う。
その後、アメリカ国籍となり、ホワイトハウスやアメリカ外務省の委託事業経営を10年行い、アメリカ連邦政府評議会理事も務める。
現在、大学講師を務めながら、リーダーシップ・マネージメント研修を行う。
大胆な「ハーバード式+欧米式参加型ワークショップ」が好評。


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2020年9月29日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのコラムは「これからのパフォーマンスマネジメント」をテーマに全6回の連載でお届けいたします。今回は4回目です。
※パフォーマンスマネジメント…目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのこと

<前回の記事>第29回 『組織が先か、目標が先か~OKRのコンセプト(その3)』
OKRのコンセプト_12
OKRは簡単には到達できない野心的な目標です。
そのため、部下に実行を丸投げしても、うまくいくはずがありません。

目標が高いからこそ、上司は部下とともに、ゴールに向けて階段を上って行く過程を1on1で支援し続ける必要があります。

目標設定とマネジメントのタイプ分類

1on1
昨今、上司と部下の頻繁な対話(1on1:ワン オン ワン)を導入する会社が増えています。

期初と中間と期末の3回だけの面談では部下の成長とパフォーマンス向上につながらないことから、より頻繁に1on1の面談を行って、部下を継続的に支援していく必要があるからです。

しかし、従来の目標管理制度(MBO)をそのままにして1on1を導入しても、思ったような効果を出すのが容易ではありません。
そもそも、MBOのベースとなる思想と1on1の思想が大きく異なるからです。

目標によるマネジメントのパターンは、目標設定のタイプとマネジメントのタイプによって以下のように分類されます。
【目標設定のタイプ】

(1)主体的目標
本人が主体的に「目指したい」と願うゴール。OKRはこのタイプです。

(2)受動的目標
本人の意志よりも、「やるべき」と上から下りてくるゴール。
従来の目標管理制度における目標設定はほとんどがこのタイプです。


【マネジメントのタイプ】

(1)内発的動機付け
仕事を通じた働きがいや成長実感が継続的に得られるように、個々人に応じて直接的に働きかけるマネジメントです。
1on1はこのタイプであるべきです。

(2)外発的動機付け
会社が決めた評価基準に基づいて成績を付けたり、金銭的報酬や昇進などの外形的なインセンティブによって動機付けるマネジメントです。
これまでの目標管理制度は、大部分がこの考え方に基づいています。
上記の組み合わせは理論上では2×2の4パターンがありますが、ちぐはぐな組み合わせだと十分な効果が得られません。

効果を生み出すシナリオを描く

仕事
目標設定OKRのように「(1)主体的目標」(しかも高い目標)で、マネジメントが「(2)外発的動機付け」の場合をイメージしてみてください。

外発的動機付け重視のマネジメントでは、個々人に対する上司からの個別支援が少なく、働きがいや成長実感は自分で見いだしていかなければならないため孤独です。

その結果、高い目標を追い続けることへの意欲を持続できず、力尽きてしまう人が数多く現れるでしょう。

結局、OKRなど無駄だという声が高まって、元の目標管理制度に戻ってしまうことは容易に想像できます。
上司と部下
逆に目標設定が「(2)受動的目標」で、マネジメントが「(1)内発的動機付け」の場合はどうでしょうか。
これは言ってみれば、「上から与えられた目標であっても、その中で仕事の楽しみや意義を見いだしていこう」とする状況を表しています。

この組み合わせの方が、「(1)主体的目標」×「(2)外発的動機付け」のパターンよりも、まだ何とかなりそうです。

けれども、「上から目標を与えて、そこに意味を見いださせる」マネジメントは容易でないため、成果を出すためには従来のような外発的動機付けの方が手っ取り早いと考える上司が出てきても不思議ではありません。


現在、1on1の導入を進めている企業の中で、この「(2)受動的目標」×「(1)内発的動機付け」のパターンにチャレンジしている会社も少なくありません。
その努力が無駄であるとは言いませんが、研修などに投入するコストの割に効果を出しにくいため、けっして効率がよいとはいえません。

目標設定のタイプとマネジメントのタイプを同時に変更するのは変革プロジェクトの難易度が高いので、まず1on1の導入から始めるというアプローチも十分にあり得るでしょう。
ただ、その場合には、次の段階として目標設定の見直しに取り組むことを視野に入れたシナリオを描き、経営層の理解を得ておくことが重要です。

第27回 『上から目標を与えてはいけない理由~OKRのコンセプト(その1)』 Author:松丘 啓司

第28回 『個人目標を公開することによる効果~OKRコンセプト(その2)』 Author:松丘 啓司

第29回 『組織が先か、目標が先か~OKRのコンセプト(その3)』 Author:松丘 啓司


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◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年9月28日|カテゴリー「さまざまな分野
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みなさん、こんにちは。日系アメリカ人・元外交官のYuki Noseです。

このブログでは、経営者・管理職・人事の立場からみたテレワーク・マネージメントについて、お伝えしています。
今回は、シリーズの3回目、「ジョブ型雇用」について、2回に分けてお伝えいたします。

テレワークの問題解決のために、急遽、脚光を浴びてきた、「ジョブ型雇用」。
ジョブ型雇用」って何でしょう?
ジョブ型雇用とは


1.日本の雇用制度

日本の雇用形態は、「メンバーシップ型雇用」と言われています。
新卒者が就職により、「会社メンバー」の一員となります。そして、定年退職するまで会社のメンバーであり続け、会社の枠の中で異動がおこります。

例えば、同じ会社内で、営業から総務に、そして企画に、という感じで、異動します。

日本の多くのサラリーマンが、いろいろな異動を通じて、「ジェネラリスト」になっていきます。
いろいろな職種を経験するため、日本のキャリア組は「総合職」と呼ばれます。

異動先やタイミングを自分で決めることはできませんが、生涯の終身雇用が約束され、身分が保証されます。
急に仕事がなくなる、ということは、ほぼありません。

2.欧米の雇用制度=ジョブ型雇用

それに比べて、欧米はジョブ型雇用を行っています。
ジョブ型雇用」とは何か、というと、1つ1つの仕事に対する職務が明らかにされ、その職務に対する雇用が行われる、というものです。
基本的に終身雇用の概念はなく、自分でキャリアを作っていくことになります。

ジョブ型では、少しずつキャリアアップしていき、最終的には専門家、その道のプロとなります。
専門家となれば、より多くのアイデアが出せるようになり、会社への貢献度も高くなります。

3.なぜジョブ型?

ジョブ型雇用とは
なぜ今、ジョブ型が話題になっているのでしょうか?

日本の現在のシステムがテレワーク下でいろいろな問題に直面しているからです。
日本はメンバーシップ型で雇用しているので、1人1人の職員の職務の記載がありません。結局、時間で管理することになってしまいます。

テレワークでは、労働者を継続的に監視することができないので、「時間で管理」することは実質的に無理です。そこで、テレワークのマネージメント法として、「ジョブ型」が脚光を浴びてきているのです。

4.最も大きな違い―異動の仕組み

ジョブ型雇用とは
メンバーシップ型では、会社の異動を通じて、多くの人がいろいろな職種を経験します。
そのため、日本のキャリア組は総合職と呼ばれます。

それに対して、ジョブ型では、異動先や異動のタイミングは自分で決め、キャリアを積み上げていきます。
メンバーシップ型のゴールがジェネラリストであるのに対して、ジョブ型雇用のゴールはスペシャリストです。

5.就職・雇用

ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは
日本のメンバーシップ型雇用では、出身大学が、メンバーへの「入会条件」を大きく決めています。
18歳のときの記憶力によって大学が決まり、大学がメンバーシップの入会条件を大きく左右します。

ジョブ型では、1つ1つの職務で自分のキャリアを積み上げていけるので、一生涯挽回(ばんかい)チャンスがあります。18歳の時の出来が悪ければ、30代、40代で挽回(ばんかい)すれば良いのです。

メンバーシップ型の日本では、新卒の一括採用、という形をとっていますが、ジョブ型では、それはありません。
欧米では、会社訪問の「解禁日」はありません。
大学一回生から就職の情報収集を始めることが可能です。
最後の2年で情報を集めるより、4年間で集めるほうが、広く深い情報を集めることができます。

アメリカは、そもそも、単位さえとれば、3年半で卒業しても良いし、仕事をしながら4年3ヶ月で卒業しても、全くOKなのです。卒業がバラバラなので、「解禁日」はありません。

マクロレベルでは、メンバーシップ型は18歳の記憶力で人生が決まるので、受験戦争が激化します。
ジョブ型では、一生が勉強です。アメリカ人が、一旦会社をやめて、大学院に入り直して社会人になってから勉強したりするのも、ジョブ型社会ならではでしょう。

6.離職・退職

メンバーシップ型では、一旦メンバーから離れると、再びメンバーになることは不可能です。
万一可能となっても、一般職となり、「キャリア組」に戻ることはできません。

ジョブ型では、一旦キャリア組を離れても、実力で復帰可能で、しかも、以前よりも高い職務につくことが可能です。

ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは

7.昇進・異動

メンバーシップ型の昇進は究極のところ、上司の評価が大きく関係します。
ジョブ型の場合は、昇進の機会は、自分でつかんでいくことになります。
自分の希望するポストに応募し、ポストの応募に合格すれば昇進となり、落ちれば次のチャンスを待つことになります。

ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは

今回はここまで。

次回のpart2では、メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の「モチベーション」や「ビジョン」の違いなどについてお伝えいたします。
お楽しみに。

欧米でのテレワーク・マネージメントの実際

テレワーク・マネージメントとジョブ型雇用~テレワークの長所と短所~

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ハーバード大学のマネージメント教授のアシスタントを務め、ハーバード式講義術を学ぶ。
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その後、アメリカ国籍となり、ホワイトハウスやアメリカ外務省の委託事業経営を10年行い、アメリカ連邦政府評議会理事も務める。
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2020年9月23日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのコラムは「これからのパフォーマンスマネジメント」をテーマに全6回の連載で3回目です。
※パフォーマンスマネジメント…目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのこと

<前回の記事>第28回 『『個人目標を公開することによる効果~OKRコンセプト(その2)』 
目標
大多数の企業における目標設定のプロセスは、全社目標を各部門目標にブレークダウンし、部門目標を個人目標に落とし込むというのが一般的です。
しかし、基本的な考え方がそうであったとしても、実態はそれぞれの部門目標の積み上げによって全社目標が設定されているケースも少なくありません。

各部門にはそれぞれのミッションが存在するため、各部門では自分たちのミッションを達成するための目標が設定されます。
そのため、全社目標が部分最適の目標を寄せ集めただけのものになってしまいがちです。
それでは大きなブレークスルーがなかなか起こりません。

たとえば、海外事業を拡大するためには国内部門からの製品供給が不可欠であったり、新規事業を拡大するためには既存事業の顧客ベースを生かすことが効果的であったりしながらも、連携がスムーズに進まないことがよくあります。
多くの企業ではそのような問題を解決するために、部門横断的なプロジェクトが編成されます。
しかし、各部門の目標達成が優先してしまう結果、プロジェクトへの十分な協力が得られず、中途半端な結果に終わることが少なくありません。

既存の組織を所与のものとして目標を設定するという考え方にとらわれていると、いつまで経ってもこのような事態から根本的に抜け出すことはできないでしょう。

既存の組織を前提にしない

OKRのコンセプト_2
本連載においてこれまで、「目標は上から与えずに本人の主体性を重視する」「個人の目標は広く公開する」というOKRの基本コンセプトについて解説しました。

しかし、個人の目標が既存組織の枠内に限定されている状態では、OKRの効果も不十分なものになってしまいます。

各人が所属する部門の目標達成に貢献する目標を立てようとしても、当の部門目標が毎年、代わりばえしないものの繰り返しであったとしたら、個人の目標も代わりばえしないものにならざるを得ないでしょう。

各部門の責任者が、自部門の業績に貢献する人材を囲い込もうとするのもよく聞く話です。

そのようないわゆる「優秀な人材」が、上から評価されることを重視した、忖度した目標を「主体的に」設定したならば、結局は上から目標を与えるのと変わらなくなってしまいます。

また、目標を広く公開する方針を定め、仮に個人目標を全社的に公開したとしても、各人が自分の所属部門と自分自身の目標達成にしか関心を持っていなかったとしたら、目標を公開するメリットがありません。

もちろん、企業内の各部門が部門の目標達成を優先することは当然のことです。
問題は、組織の維持が第一なのか、全社の目標達成が第一なのかという点にあります。

部門の縄張りを壊すリーダーシップの必要性

OKRのコンセプト_13
各部門の存続のために目標があるのではなく、全社目標を達成するために組織があると発想を変えることが重要です。

全社目標が海外事業や新規事業を飛躍的に拡大することにあるのであれば、その目標達成のために必要な経験や専門性を持った人材が集結するのが合理的なことは言うまでもありません。

組織→人→目標」(組織に属する人が目標を立てる)のではなく、「目標→人→組織」(目標達成のために最適な人々がチームを作る)という考え方です。

それを実現するためには、各部門の縄張りよりも、全社目標の達成が優先することを徹底するトップのリーダーシップが不可欠です。
各部門の積み上げによる目標設定は、結果が読みやすいためリスクも限定的です。

しかし、リスクを取ってもより大きな成果を目指すというトップの決意がなければOKRは機能しないのです。
野心的(アンビシャス)な全社目標を達成するためには、おのずとクロスファンクションでの横の連携が不可欠になります。
そのため、個人の目標設定においても、一人ひとりが狭い範囲に閉じこもって自分だけの目標を考えるのではいけません。

コラボレーションによってより大きな成果を生み出せる可能性がある人々と、組織を超えてコミュニケーションを図ることが重要です。
OKRはそのような創造的なコミュニケーションを促進するツールであるともいえるのです。

第27回 『上から目標を与えてはいけない理由~OKRのコンセプト(その1)』 Author:松丘 啓司

第28回 『個人目標を公開することによる効果~OKRコンセプト(その2)』 Author:松丘 啓司


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松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
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1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

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2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

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こちらのコラムは「これからのパフォーマンスマネジメント」をテーマに全6回の連載で2回目です。
※パフォーマンスマネジメント…目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのこと

<前回の記事>第27回 『上から目標を与えてはいけない理由~OKRのコンセプト(その1)』 
OKRのコンセプト_9
目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのことをパフォーマンスマネジメントと呼びます。パフォーマンスマネジメントは企業内のマネジメントプロセスの根幹であるにもかかわらず、ほとんどの日本企業においてうまく機能していないのが現実です。

ほとんどの企業では期ごとに個人目標が設定されています。
けれども、それらの個人目標を周囲に(あるいは全社的に)公開している企業はごくわずかです。
さらに目標の進捗状況までオープンにしている企業に至っては、皆無に近いのが実情です。

ある調査研究によると、個人の目標と進捗状況を公開することによって目標の達成度が向上するという結果が分かっています。
後述するように、目標を公開することによって様々なプラスの影響が生まれるからです。それにもかかわらず、個人目標が公開されないのはなぜなのでしょうか?
個人の目標の進捗度は人事考課に密接に関連するため、公開すべき性格のものではないといった認識があるのかもしれません。
あるいは、上司と部下との間で目標を個別に握っているため、オープンになると不都合が生じるケースも想定されます。

しかし、個人目標を非公開にすることによるデメリットは、けっして無視できるものではないのです。
まず、そのことについて説明しましょう。

目標の非公開は生産性を下げる

OKRのコンセプト_11
個人目標がオープンにされないことの第1のデメリットは、他の誰がどこに向かって仕事をしているか分からない職場環境を作ってしまうことです。
実際に多くの会社で、「隣のチームですら何が行われているのか分からない」という声を聞くことが少なくありません。

おそらく他部署の業務内容を全く理解していないわけではないはずですが、目標が公開されていないと「今、重点的に何に取り組まれているのか」が分からないのです。

誰が何をやっているのかが分からない状況では、連携のしようがありません。
他の人に相談したり、逆にアドバイスをもらったりするような機会が生まれにくくなってしまいます。

つまり、コラボレーションが促進されないのです。
また、周囲の人たちの目標が分からないと、仕事の全体が理解できないなかで自分の目標を追うことなり、まさに「木を見て森を見ず」の状況に陥ってしまいます。
その結果、高い視点で自分の仕事を捉えることができなくなって、視野が狭まってしまいます。

個人目標がオープンにされないことの第2のデメリットは、仕事の楽しさが削がれることです。
一人ひとりが自分の目標だけを見て仕事をする結果、仕事の範囲は狭い領域に閉じ込められてしまうことになります。
組織の中で上下のコミュニケーションはあっても、横との関わりが希薄になるため、みんなで一緒に仕事に取り組んでいるという感覚が持てなくなってしまうのです。

職場とは本来、仲間とともに過ごす場であるはずですが、極端なケースでは「朝に会社に来て、夕方に帰るまで誰とも一言も話さなかった」といった事例を耳にすることもあります。
その結果、職場に楽しさを求めるのはもともと無理なので、収入を得るために割り切って働こうといった意識が強化されてしまいます。

このように目標を非公開にしていると、コラボレーションが起こらず、視野が狭まり、仕事の楽しさも希薄化してしまうため、生産性の向上やイノベーションを抑圧してしまいかねないのです。 

縦の動機付けから横の動機付けへ

OKRのコンセプト_7
OKR(Objectives and Key Results)のコンセプトでは、目標をオープンにすることが原則です。
それによって、生産性の向上やイノベーションの促進が図られるからです。

本人の目標を上司(およびその上司)しか知らないという状況では、おのずと縦の関係が強化されます。
上から目標が与えられて、その達成度で評価されるという環境においては、どうしても上を見て仕事をしてしまいます。
上司の意向を強く気にする結果、待ちの姿勢、すなわち受け身の姿勢が強化されることになります。
裏を返すと、自分で考えて行動するという主体性が弱められてしまうのです。

また、上司による自分の評価がどうしても気になるので、周囲に気を配るよりも自分の成果を優先して考えるようになりがちです。
そのことによって、他のメンバーや他のチームとの間に壁が作られ、いわゆる個人主義や組織のサイロが出来上がってしまうのです。

組織の中において縦の動機付けが不要だというわけではありませんが、横の動機付けも必要です。
個人目標の公開は、横の動機付けを強めるための打ち手といってもよいでしょう。
目標と進捗状況がオープンになると、周囲から常に見られている環境に置かれるため、目標に対する個人の責任感やコミットメントが高められるという効果があります。
また、本人も他のメンバーの状況を見ながら、「仲間もがんばっているから自分もがんばろう」という気持ちを持つことができます。
チームの各メンバーがチーム全体の目標に向けて仕事をしている状況が目に見えるようになるため、チームに貢献することが重視される価値観が強化されるようになります。それが横の動機付けです。それによって、自分だけが成果を上げればよいのではなく、チームに貢献するために他者を支援するという行動が促されます。つまり、コラボレーションする職場が育まれていくのです。

個人目標の公開は、やろうと思えばすぐにでもできる施策です。
小さな打ち手ではありますが、その効果は絶大といえるでしょう。

第27回 『上から目標を与えてはいけない理由~OKRのコンセプト(その1)』 Author:松丘 啓司


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株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年9月15日|カテゴリー「さまざまな分野
こちらのコラムは「これからのパフォーマンスマネジメント」をテーマに全6回の連載です。
※パフォーマンスマネジメント…目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのこと
OKRのコンセプト_8


目標管理制度や評価制度に基づいて、個人と組織のパフォーマンス向上を促進するマネジメントのことをパフォーマンスマネジメントと呼びます。パフォーマンスマネジメントは企業内のマネジメントプロセスの根幹であるにもかかわらず、ほとんどの日本企業においてうまく機能していないのが現実です。
つまり、パフォーマンスマネジメントがパフォーマンスの向上に役立っていないのです。
現在のパフォーマンスマネジメントの仕組みは、約 20 年前の成果主義導入のタイミングで一斉に構築されました。どの企業も似たような仕組みであるため、抱えている問題点も類似しています。20 年前とは企業を取り巻く環境も大きく変化しており、今やイノベーションを生み出すマネジメントが求められていますが、現在の仕組みはむしろイノベーションの阻害要因となってしまっています。

企業はパフォーマンスマネジメントのあり方を真剣に考えるべき時期に来ています。本連載ではこれからのパフォーマンスマネジメントがいかにあるべきかについて、順を追って考えていきたいと思います。

上意下達でイノベーションは起こらない

企業における年間を通じたパフォーマンスマネジメントのプロセスは目標設定から始まります。その際、大半の企業では、全社の目標⇒部門の目標⇒チームの目標⇒個人の目標と、上から下に目標が配分されていきます。
期末には、期初に立てた目標の達成度によって評価が行われます。

このような方法によるパフォーマンスマネジメントは、むしろ「業績管理」と呼んだ方が正確かもしれません。
企業である以上、必然的に行われるべきことという認識が染みついているようです。個人別の業績管理を徹底しなければ、会社全体の業績が低下してしまうという強迫観念が存在するようにも感じられます。
けれども、イノベーションが企業の業績を左右する時代になると、こうしたやり方では効果が出ません。
その理由を4つ挙げてみましょう。

●安全志向になる
OKRのコンセプト_1
例えば営業担当者に与えられた目標が「100」であったとしましょう。多くの担当者はまず見込める数字を積み上げます。
その結果、「80」までは何とかなると予想される場合、残り「20」をどうやって埋めようかと考えるでしょう。
その際には、少しでも確実に結果を上げられる方法を考えるに違いありません。けれども、そのようなアプローチからは常識的なアイデアしか出てきません。

不確実性の高い環境では、やってみなければ結果が分からないようなチャレンジを繰り返して学習することが重要なはずですが、目標の達成度で評価されることによって、むしろリスク回避的な行動が強化されてしまうのです。

その結果、仮に与えられた目標が達成できたとしても、それを大幅に上回ることはほとんど期待できません。


●主体性が欠如する
OKRのコンセプト_5
上から目標を与え続けると、メンバーは「目標とは与えられるものだ」という受け身の意識を強めてしまいます。
それによって、自分で考えてゴールを設定するという経験が不足し、言われないことはやらなかったり、いつも判断を上に仰いだりすることが常態化してしまう恐れがあります。

変化の激しい環境においては、現場で自律的な判断や行動ができなければ、変化のスピードに取り残されてしまいます。

もはや上司が答えを知っている時代ではないため、主体性の欠如は企業の生存を左右する大問題といっても過言ではないでしょう。


●個人主義になる
OKRのコンセプト_3
目標の達成度で個人を評価することによって、自分の目標達成が最優先の課題になります。
その結果、他者あるいは他部門の仕事に対する関心が低下し、相互の協力関係が希薄化してしまいます。

実に多くの企業において、隣のチームが何をやっているのか分からないといった状況が日常化してしまっているのです。

イノベーションを生み出すために、個人や組織を越えたコラボレーションが不可欠ですが、個人の目標達成が優先される結果、コラボレーションに価値が見いだされなくなってしまっています。
そのことによって、仕事の面白さや楽しさも損なわれてしまうのです。


●ネガティブ思考になる
OKRのコンセプト_4
目標の達成度を管理する際、上司からのフィードバックは目標と実績のギャップに目が行きがちです。

つまり、できていないことや改善点の指摘が多くを占めるため、フィードバックがいわば「ダメ出し」のオンパレードになってしまう恐れがあります。
改善点を克服することが成長することといった認識を上司が持っていると、ますますダメ出しを続けてしまいます。

その結果、部下のマインドは「頑張ってもできない」というネガティブ思考に支配されてしまいます。
「どうせダメだから、ほどほどに頑張ろう」という意識が強化されてしまったらパフォーマンスが向上するわけがありません。


OKR によって個人の主体性を取り戻す

目標とは上から与えるものという考え方を維持したままで、さらなるパフォーマンス向上は期待できないため、これからのパフォーマンスマネジメントでは目標設定の考え方が見直される必要があります。

その際にヒントとなるのが、OKR(Objectives andKey Results)のコンセプトです。
OKR は古くからインテルで活用され、グーグルで初期の頃から採用されている目標設定のフレームワークとして有名です。
OKR そのものを用いるかどうかは別として、OKR のコンセプトはこれからの目標設定の参考になるでしょう。
OKR にはいくつかの特徴がありますが、その一つが「ボトムアップ」です。

会社という組織に属している以上、個人の目標はチームや会社全体の目標に貢献するものでなければならないことは言うまでもありません。
けれども、そのためには目標を上から下に渡さなければならないわけではありません。
一人ひとりが、「チームの目標達成に貢献するために、自分ならばこれをゴールにしたい」と、下から上の目標に突き刺すようなアプローチを取ることによって主体性が維持されるのです。

ボトムアップの目標設定は、自分が「これをやりたい」という主体的な意志から出発します。
さらにその目標が安全志向ではなく、「アンビシャス(野心的)」なものであれば、上から目標を与えるよりもはるかに大きな成果が期待されます。
個人に目標を設定させたら、簡単に達成できそうな目標しか立てないのではないか、という懸念を抱く方も少なくないに違いありません。
そのようなことを回避するために、OKR には以下の3つの要件が含まれています


●オープンに公開する
OKRのコンセプト_2
OKRでは個人の目標を周囲や全社に公開することが原則です。
それによって、もし安易な目標を立てていたなら周囲にはすぐに分かってしまいます。
そのことによって、互いに高い目標にチャレンジしようとする動機付けがなされるのです。



●トップ自身がチャレンジする
OKRのコンセプト_6
トップ自身が高い目標にチャレンジする姿を見せることによって、組織全体にその影響が波及します。
上司が意欲的な目標設定を行うことが、部下の高い目標を設定するための前提条件であることは言うまでもありません。


●達成度で評価しない
OKRのコンセプト_7
目標が野心的であればあるほど、その達成は容易ではありません。簡単には達成できない目標を立てることを促すためには、達成度で評価を行うことは止めなければなりません。



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松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

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2020年9月7日|カテゴリー「さまざまな分野
ブログ_Yuki Nose
みなさん、こんにちは。日系アメリカ人・元外交官のYuki Noseです。

コロナ第2波の到来で、テレワークの長期導入を検討する会社が増えてきています。このブログは、そんな経営者・管理職、そして、人事の方のためのシリーズです。本日は、その2回目になります。

テレワークを導入するか否かを考えるとき、経営者、管理職は、そのメリットとデメリットを考える必要があるでしょう。今回は、テレワークの長所と短所を考えてみましょう。

メリット

テレワークを導入すれば、どのようなメリットがあるのでしょうか?
3つのレベルから見ていきましょう。個人レベル、法人レベル、社会レベル、です。

(1)個人レベル

最も頻繁にあげられるメリットが時間の節約です。都市圏では、平均通勤時間が1.5時間といわれます。毎日3時間・・・ということは、人生の1/3を通勤に費やしていることになります。在宅勤務により、有意義な時間を取り戻すことができます。


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しかも、毎日3時間の通勤は「通勤地獄」と言われる、ストレスと疲労の時間であることが多いです。在宅勤務により、時間が有効に使えるだけではなく、通勤地獄のストレスや疲労からも開放されます。

次に、ワークライフバランスのメリットが、頻繁にあげられます。通勤時間に使っていた時間を家族との時間や自分の時間にあてることができます。また、テレワークでは、子育て、介護との両立も可能になります。

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ワークライフバランスが可能となり、人生が充実した、と答える人が増えてきています。「テレワーク前の生活に戻りたくない」という人の声が続々と新聞やテレビに寄せられています。職住接近により、人生の充実を感じている人が増えてきています。

また、費用軽減もバカになりません。「仕事後のつきあい」など、交際費、外食費が大きく節約されます。スーツ代、交通費も節約できます。また、住居が大都市近郊に限らなくてもよくなると、住宅費も軽減されます。


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一方、欧米で第1にあげられる在宅勤務のメリットが、仕事の自由度です。管理職が管理に慣れれば、テレワークは、職員の仕事の自由度を格段に上げ、モチベーションを上げることができます。


(2)法人レベル

法人レベルでは、まず第1に、経費の大幅削減があります。

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テレワークにより、社員の出社を週1回にすれば、オフィススペースは20%ですみます。現に、日本の企業で、コロナ禍を機会に、オフィススペースを縮小し、経費を大幅に削減した会社が続出しています。

また、在宅勤務を基本にすると、オフィスを都心に構える必要もなくなります。高い家賃を払って、丸の内や新宿にオフィスを構える必要がなくなります。現に、アメリカの大企業は、地方に本社を構え、経費を削減する会社が続出しています。

次に、離職率の軽減があげられます。子育て・介護の離職が減る以外に、仕事の充実度アップやワークライフバランスの充実により、離職率が大幅に減ることが知られています。雇用に関わる経費は大きいですから、離職軽減は大きな経費削減になります。

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同時に、介護・子育て世代が動員できれば、おのずと人手不足の解消ともなります。


(3)社会レベル

今、CSR (Corporate Social Responsibility :企業の社会的責任)が注目される中、自社のテレワークがもたらす社会への影響は、経営者・管理職が考えなければならない大切な因子です。

社会レベルでは、まず、通勤地獄の軽減があげられます。もし、すべての人が週一回の勤務となれば、通勤の混雑は20%になります。

そして、企業や人が地域に移動すれば、地域の活性化が生まれます。ワークライフバランスが可能になれば、少子化が解消します。もちろん、人手不足も解消します。

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良いことづくめに聞こえますが、もちろん、デメリットもあります。では、次は、デメリットをみていきましょう。

デメリット

まず、大きなデメリットが情報漏洩のリスクです。在宅のインターネット環境ではセキュリティが脆弱なため、それを狙った犯罪が多発し始めました。

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次に、管理職の管理問題が、日本では、最も大きな問題としてとりあげられています。人事評価がしにくい、「リモハラ(リモートハラスメント)」がおこる、などの問題が、新聞を賑わせています。管理職がリモート管理に慣れないため、マイクロマネージメントになりやすい、という相談がよく寄せられています。

ブログ_Yuki Nose_14

コミュニケーションの問題も大きな問題です。対面での話と比べて、誤解が発生しやすくなります。
テレワークにより、孤独感を感じる人がいたり、在宅の仕事には邪魔が入ったりしやすい、と答える人もいます。

問題解決法

では、欧米では、これらの短所をどのように解決してきたのでしょうか?

情報漏洩に関しては、これを機会に、IT予算を増やすことをお勧めします。クラウドを使った企業内情報共有を導入したり、ハッキング対策を強固にしたりする必要があります。日本企業のIT予算は、アメリカ企業のIT予算と比べて、極端に小さいです。そして、日本のITレベルは欧米に比べて極端に遅れています。この際、脆弱なITシステムを一気に強化する機会と思い、IT化・デジタル化を進めましょう。

次に管理職の管理問題。日本は「時間で支払う」労働形態をとるため、管理職がマイクロマネージメントになりがちです。人事システムを大きく変える必要があるため、日本では、これが1番の難関と言えます。次回お話する「ジョブ型雇用」がキーとなり、就業規則・人事評価制度の変更、マニュアルを作り、などで対処することができます。

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コミュニケーション問題は、「慣れ」の問題がかなり大きいです。リモートワークに慣れれば、さほど不自由さは感じなくなるものです。

孤独感や家での邪魔などは、コワーキングスペースの活用、サテライトオフィスの設置などで、かなり解消できます。これも「慣れ」により、かなり改善することができます。


≈≈≈≈≈≈≈≈
長所と短所をまとめることにより、テレワークの全体像が見えてこられたと思います。
次回は、いよいよ、管理の問題を一気に解決できる「ジョブ型雇用」につき、深堀りしていきたいと思っています。
≈≈≈≈≈≈≈≈

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Yuki Nose 
国際ビジネス 代表、大阪市立大学非常勤講師 兼務
日系アメリカ人、元外交官
海外勤務25年(世界50カ国)

大阪生まれ。ハーバード大学修士卒(国際政策専攻)
ハーバード大学のマネージメント教授のアシスタントを務め、ハーバード式講義術を学ぶ。
国際連合で10年勤務し、企画顧問、最高技術顧問、事務所長などを歴任し、この間「ハーバード式講義+欧米式参加型ワークショップ」により、各国でリーダーシップ・マネージメント研修を行う。
その後、アメリカ国籍となり、ホワイトハウスやアメリカ外務省の委託事業経営を10年行い、アメリカ連邦政府評議会理事も務める。
現在、大学講師を務めながら、リーダーシップ・マネージメント研修を行う。
大胆な「ハーバード式+欧米式参加型ワークショップ」が好評。


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2020年9月4日|カテゴリー「さまざまな分野
9月になってもまだまだ暑い日が続いています。季節が移っていく過程で、いろいろと想いを巡らすことはありますが、今年はコロナ禍でいわゆる家で過ごす時間が多く、仕事はリモートワーク主体の形態。季節が移っていく過程で、何か感傷的になって想いを巡らすことはそう多くはないのかもしれません。言い方を換えれば、コロナ対策をしながらあまり変化のない日々を送ってきたともいえるでしょう。

これまでと時間の使い方が異なり、様々な行動に対して耐えることが求められるコロナ禍では、人の気持ちにストレスがかかりやすくなっています。そうなると、感情の制御がうまくいかずに爆発してしまうなどということもあるかもしれません。そのようなことは出来るだけ避けたいものです。

ハラスメント_01
もし、感情の制御がきかず、たとえば怒りの感情を爆発させてしてしまうと、ハラスメント行為に発展することが十分にありえます。ここ数年、職場では話題になっているパワーハラスメント(パワハラ)に代表されるように、ハラスメント行為の発生によって、従業員が精神疾患などを罹患することもしばしば起こってしまっています。厚生労働省の統計では、都道府県労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーに寄せられる民事上の個別労働紛争にかかわるもので、最も多くなっているのは「いじめ・嫌がらせ」に関する内容だそうです。令和元年度においては年間8万7000件を超えていて、昨年よりも増加しています。職場でのいじめや嫌がらせを防ぐことを本腰を入れて取り組まないといけない、ということになるでしょう。

また、今年の6月には、改正労働施策推進法が施行され、大企業においては、パワハラへの対策を講じることが義務化されました。中小企業においても段階的に措置を定めることが義務化されます。こうした背景もあって、パワハラに対しての認知度が更に高まり、パワハラに関する問題に対して企業側も本腰を入れて取り組み始めています。ただ、法律が改正されたからといって、なかなか職場への影響が見えない場合、部下へのかかわり方を全く変えようとしない上司も多くみられます。むしろ、どうすればパワハラにならないか、ばかりに意識が働いてしまい、ハラスメント行為を職場から完全になくすまでの意識がまだまだ向けられていないように感じます。

ということで、今回は、ハラスメントのない職場にするために、どのような点に留意していけばいいのか、その取り組みポイントについて解説いたします。

社内コミュニケーション
これはマネジメントにおいては基本的なことでもありますが、チームメンバーとの接点を毎日もてるように心がけましょう。どこかで接点をもつようにすれば、相手の状況が徐々にわかってくるのではないでしょうか。

特に、表情をみる、声を聞くというのは有効です。表情をみれば、チームのメンバーが元気かそうでないかが想像できます。また、声を聞くと、いわゆる声色によって、そのときの調子が想像できます。

最近はコロナ禍で、同じ空間でチームのメンバーと毎日会えなくなってきています。リモートでチームのメンバーとつながったときには、「最近どう?」「今日の調子はどう?」などと、まず本題に入る前に、お互いに声をかけあってお互いの状況を簡単に確認するようにしましょう。そうすれば、ハラスメント等の行為につながるのを防げるのではないでしょうか。

相手の表情をみて、相手の声をきく。そのためには、チームのメンバーに気軽な気持ちで声がけをするようにしましょう。特にこの声がけは、経営者や管理職等の職位の上位者が積極的にやると、部下も気にかけてもらっていると思って、仕事へのやる気も高まるのではないでしょうか。職位の上位に当たる人から積極的に声がけをするのがお薦めです。

ハラスメント_02
最近、アンガーマネジメントが人材教育のテーマとしてとりあげられるようになっています。これは、怒りの感情に任せて相手に言葉を思い切りぶつけることで職場の空気が悪くなっている様子が見られるので、怒りが生じたらそれを抑えるために感情をコントロールしよう、というものだそうです。

よくアンガーマネジメントにおいて、怒りの感情が生じたときには6秒間待とうなどといわれます。
6秒間待つかどうかはともかく、心がける必要があるのは、「感情に任せて思いきり相手に声を発さない」ということです。怒りが生じて「バカヤロー!」、「ふざけるな!」などの大声を出す人がいますが、こうした行為がハラスメントを引き起こす原因になりえます。まずは冷静になりましょう。

特に長年厳しい上司とともに仕事をして成果を出してきた人のなかには、「上司からいつも怒鳴られて成長できた。それが良かった」という方がいます。ただ、こうした過去の上司自身の体験を部下に話したとしても、部下に同じように通じるとは限りません。なぜならば、そのような状況をイメージできないからです。そのため、上司が部下に怒鳴りつけると、それだけで「パワハラを受けた」と感じてしまうことがあるのです。とにかく、怒りの感情に任せて相手に声を発するのは避けましょう。

上司と部下
最近は、「1on1ミーティング」が多くの職場で行われるようになってきました。

上司と部下が1対1でミーティングを行うことで、お互いに考えていることを一人一人見るようになっています。このように、1対1で話し合いをする場面をとることは有効です。

ただ、目的を決めておこなうようにしないと、このミーティングがハラスメントの原因になってしまうことも考えられます。1対1でのミーティングは、仕事の進捗の確認や、営業上の案件の攻略に関することばかりでなく、お互いのことを分かり合うテーマで話し合いをしましょう。仕事に対する想い、何のために仕事をするのかなど、なかなか1対1でなければ話ができないことを話し合うことが必要です。1on1ミーティングがうまく機能すれば、ハラスメント行為を防ぐことにもつながるのではないでしょうか。

目的を決めてミーティングを行うようにして、ハラスメントがないような職場づくりについて話し合ってもいいかもしれません。

部下の話を聞く上司
ハラスメントをなくすための一つの取り組みとして、細かなことかもしれませんが、相手の話をしっかりと聴くこと、すなわち傾聴の実践です。傾聴といえば、相手の話に心を傾けて丁寧に聴くということですが、傾聴の実践のためには、以下の基本な行動を実践することが必要になります。

【1】相手の話を受容する。相手と考えが違ってもいったんは受け止める。受け止めていることを示すためには、相手に向かって頷きながら、あいづちをうつ。

【2】相手の話に共感する。相手の立場になったときにはどんな気持ちなのかを想像して聴く。そのためには、相手の気持ちが現れている言葉を捉えてその言葉を伝え返す。

【3】相手の言葉を繰り返す。言葉を繰り返してもらえることによって、相手は話を聴いてくれていると思える。

【4】相手から言葉が出てこなかったら、相手が発しそうな言葉をぶつけてみる。

【5】相手が長く話を続けていたときには、代わりにいったん整理してまとめる。

【6】相手から沈黙してしまったときには、黙って待つ。どうしても沈黙に耐えられなくなったら、一言だけ言葉を発することで(例:「それから?」)相手に発言を促す。

このような傾聴の基本スキルを実践することで、相手が話を聴いてくれていると感じれば険悪な関係にはならないでしょう。険悪な関係にならなければ、相手を恫喝するような声をあげることもなくなりますよね。相手が安心して話をしてくれるためには、とにかく一生懸命「聴く」こと。そのためにも傾聴の基本スキルの実践は欠かせません。

社会人
ハラスメントに対して社会的に関心が高まっていることは、総務や人事部門などの経営管理部門のみならず、現場の社員も一般常識的なものとして理解する必要があります。そのときに、事実を正しく理解することが求められます。

特に職位の上位者の方からよくご相談をいただくことですが、「『部下にきつく言ってしまうとパワハラとして訴えられるのでは』、と思って厳しく叱れない」ということです。なにかを部下にきつく言うことが全てパワハラになるかといえば、そうではありません。どんな言い方をすればパワハラになるのかならないのかを知るよりも、より大きな視点で、社会情勢を正しく理解することが大切です。

たとえば、近年は、パワハラなどによって被害を受けた従業員が、ケースによっては労災と認定されることが報道されています。労災の認定は、単にパワハラを匂わすような言動があったからという理由だけでおこなわれたものとは限りません。一つの言葉、一つの行動だけで認定をされるのではなく、その言葉、行動に至るまでに起こった事実や職場の環境などを総合的に見て判断されることが多いです。

ですので、そもそもパワハラを匂わすような言動や行動が発生しないような環境を整えることが重要なのです。
最近は、職場内でパワハラになるような事象として、無視や人間関係からの切り離しなどもあげられます。精神的に追い詰めるようなことも、パワハラの一つのパターンとして多く見られます。
これは、職場内でお互いにコミュニケーションをとって仕事をしていない、あるいは、何もルールがなく無法地帯のような職場環境の下で仕事をしているから起こるのではないでしょうか。

職場のメンバーが、お互いに安心して話せる環境を、職場のメンバーの一人一人がつくるつもりで取り組む必要があります。こうした行動の積み重ねが、パワハラをなくすことになります。そのためにも、社会情勢を正しく知ることが必要なのです。

ミーティング
先ほど、上司や部下との1on1ミーティングを行うことがお薦めというのは述べましたが、1対1だけでなく、職場のチームメンバー全員との対話をする時間も確保しましょう。
こちらも、1on1ミーティング同様に、なにか目的を決めて話をしてみるといいでしょう。

新型コロナウイルスの感染が拡大して、オンラインでのやりとりが増え始めた頃に「オンライン飲み会」が話題になりました。飲み会をやるかどうかはともかく、同じチームのメンバーが一つの場所に集まって話をする機会をつくることは、リモートによるものであっても、ハラスメント行為をなくすための一つの取り組みといえます。

もちろん、こうした場を円滑に進行できるようにすることが必要ですが、まずは、同じチームのメンバーが同じ場所に集まり、なにか目的を決めて話をすることが大切です。チームメンバーの悩みや不安な気持ちをほぐすためにも、同じチームのメンバーが全員集まって対話をする機会を設けましょう。
そのときには、お互いの発言を否定しないなどのルールをメンバー全員で決めて進めることです。お互いに安心して対話できる環境をつくり、実際に対話の機会を設けるようにしましょう。

上司と部下
職場でハラスメント行為をなくすためには、言葉の使い方に気をつければそれでいいというものではありません。
職場で言葉の乱れが表面化しないようにするためには、お互いに職場のメンバー間でコミュニケーションをとりあう、ハラスメントについての情勢を理解するなどの地道な取り組みが必要なのです。
職場のメンバー間でお互いに励ましあえるような環境づくりを、経営者や管理職などの職位の上位者が先頭に立って進めていくことが、ハラスメント行為をなくすことにつながります。
もちろん、職位の上位者だけが取り組めばいいというものではありません。最近は、部下によるハラスメント行為も発生しているようです。
職位に関係なく、働きやすい職場環境づくりを、コミュニケーションを大切にしながら進めていきましょう。そして、業績の向上のためにも、ハラスメントのない職場環境づくりは有効です。ハラスメント行為の発生に怯えて、社員が力を発揮できないということも防げるのではないでしょうか。

コロナ禍だからこそ必要な取り組み。それがハラスメントを防ぐための取組みです。もうパワハラに怯えるのはやめましょう!

ハラスメント防止研修

ハラスメントが起こる背景を理解し、防ぐためのコミュニケーションスキルについて理解し、実践できるようにするための研修です

◇【管理職・リーダー向け】ハラスメント防止研修(1時間半)

◇【管理職・リーダー向け】ハラスメント防止研修(3時間)

◇【管理職・リーダー向け】ハラスメント防止研修(4時間)※2時間でも可

【若手社員向け】ハラスメント防止研修(1時間半)

◇【若手社員向け】ハラスメント防止研修(3時間)

◇【若手社員向け】ハラスメント防止研修(4時間)※2時間でも可


JBMコンサルタントでは、上記以外にも様々なハラスメント対策に関する研修を行っております。
すべてオンラインでも実施可能ですので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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ゲストプロフィール

増田 和芳講師
増田 和芳(ますだ かずよし)講師

<経歴>
三菱UFJニコス株式会社,株式会社日本マンパワー,ソフトブレーン・サービス株式会社
合同会社富士みらいクリエイション代表

<資格>
国家資格キャリアコンサルタント
(公財)21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント
(一社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
(一財)生涯学習開発財団ワークショップデザイナー

1976静岡県富士市生まれ。大学卒業後、大手信販会社で営業及び債権管理業務を経験。28歳の時に大手教育研修サービス会社へ転職し、約10年間法人営業職として勤務。キャリアデザイン研修やヒューマンアセスメント研修等の企画、営業に携わり、トップセールスとして表彰も受けた経験あり。33歳で営業課長に昇格。通算部下6名の育成に携わる。営業現場の業務改善や営業人材育成に取り組み、営業マニュアル作成や全社教育体系作成プロジェクトでは中心的な存在を担った。また、全社員対象ハラスメント防止研修等の社内研修講師としても活躍。一時は自律神経失調症で苦しむ経験をしたが克服し、2015年3月に営業コンサルティング会社へ転職。ソリューション営業スキル向上、マネジメント、組織内コミュニケーション向上等をテーマに、コンサルタントとして活動し約420回研修講師として登壇。オンライン型及び対面型どちらでもワーク主体の研修を中心に実施し、それぞれの特徴を活かして学びや気づきを促進する研修手法は、受講者から「わかりやすい内容で、現場ですぐに使えることが多い」と評判。

2020年9月1日|カテゴリー「さまざまな分野
ブログ_Yuki Nose
みなさん、こんにちは。日系アメリカ人・元外交官のYuki Noseです。

テレワークと在宅勤務――。コロナ禍で、ホットな話題です。

今、日本で、ジワジワと始まっているテレワーク。
実は、欧米では50年前に始まりました。
私が海外勤務を始めた1990年代には、既にテレワークのシステムが完成していました。

本場欧米でテレワーク・マネージメントを20年以上行ってきた経験を元に、マネージメントと人事の立場から、テレワークとジョブ型雇用の実態・実例をお伝えしていきたいと思います。

まず、では、欧米ではテレワークは、コロナ前、どこまで浸透していたのでしょうか?

1. マイクロソフト社の実例
ブログ_Yuki Nose
アメリカでマイクロソフト社のカスタマーサービスに電話すると、電話がインドやフィリピンに繋がります。英語の話せるインド人やフィリピン人が、マイクロソフトのカスタマーサービスを安価な賃金で支えているのです。しかも、24時間対応。

世界中の国からのカスタマーサービスを、開発途上国のIT専門家が対応しています。インド人を雇う方が、アメリカ人を雇うより、ずっと割安です。そうやって、マイクロソフトは24時間対応のきめ細かなカスタマーサービスを行っています。マイクロソフト社のカスタマーサービスは質が高くて有名です。


2. CEOのリモートワーク 実例
ブログ_Yuki Nose
私は1990年代にハーバードの大学院で学びながら、マネージメントの教授のアシスタントをしていました。ハーバードは、大企業や大財団との仕事が多く、トップレベルのCEOがハーバードによく訪れていました。それらのCEOから私が学んだのが「リモートワークのすごさ」です。

アメリカのCEOの多くは1週間に1回ほど出社して、他は、いろいろなところで人脈構築していたり、戦略を練っていたり、プライベートライフをエンジョイしたり、しています。

「マネージメントが良ければ、僕が会社へ行かなくても仕事は回るんだよ。」ロックフェラー財団の重役が、当時、まだ学生だった私に言ってくれました。


3. 国際機関のリモートワーク 実例

ブログ_Yuki Nose
ハーバードの大学院を卒業した後、私は国際連合で10年間勤め、リモートワークを自身で経験するようになりました。

私はジュネーブを拠点して働き、世界中を飛び回っている上司と、電話とメールで仕事をしていました。世界中のいろいろなところから国際電話が毎日かかってきました。国際電話をかけてくる上司の指示に従い、各国に電話をかけ、電話・メール・ビデオ会議(ZOOMと同様のもの)で仕事をしていました。

いろいろな国の政府官僚と協議する必要があったので、毎週、各国とのビデオ会議が開かれていました。1990年代のことです。

私もその後管理職となり、人事も担当しました。ジョブ型雇用の人事評価や部下のジョブ・ディスクリプションを作るようになりました。また、私自身もいろいろな国を飛び回り、部下と電話やメールで仕事をするようになりました。


4. アメリカの営業マンの実例

国連で10年間国際外交官を務めた後、私はアメリカ国籍を取得し、ホワイトハウスやアメリカ外務省の委託事業経営を10年行いました。会社の代表取締役をし、アメリカの営業マンと毎日仕事をしていました。マイクロソフト社、グーグル社、アップル社、アマゾン社、などと、アメリカの大手企業と仕事を行っていたのも、この時期です。

さて、アメリカの営業マンはどのようにして営業を行っているのでしょうか?アメリカの面積は日本の面積の26倍です。1人の営業マンが日本の面積の5倍ほどの面積の営業エリアを担当することが多いです。営業エリアを回るのに3ヶ月ほどかかります。

「僕のオフィスは車なんだよ。」
そう言って笑って答えるジャックは、アメリカ東海岸担当の営業マン。ほとんどの営業マンは、ジャックのように、車にパソコン、プリンター、その他必要機材を積み込んで、営業エリアを回っています。

HP,PPC,FB広告などのリモート・マーケティング・ツールがアメリカで開発されたのも、その必要があったからです。国が大きすぎて、「Door-to-Door」の営業に限界があるからです。

アメリカの営業マンの多くは、オフィスに行くのは、2週間に1回ほどで、後は、営業エリアを回っています。上司や他の社員との会話も電話とメールが多いです。顧客とも対面は年1回ほどで、他はすべて電話とメール。ビデオチャット機能は、アメリカでは20年前から普通に使われていました。これも必要に応じて開発されたのです。


5. 日本での応用

マイクロソフト社の例は、貴社でも使ってもらえると思います。

貴社の電話カスタマーサービスも、出社してもらって電話対応しなくても良いのです。例えば、地方の人材と契約し、大都市よりも安価な賃金で、毎日のカスタマーサービスを行うことができるのです。

≈≈≈≈≈≈≈≈
このシリーズでは、いろいろなテレワーク活用例とジョブ型雇用の実際を、実例をあげて紹介します。
次回は、テレワークの長所と短所についての話です。
≈≈≈≈≈≈≈≈

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ブログ_Yuki Nose
Yuki Nose 
国際ビジネス 代表、大阪市立大学非常勤講師 兼務
日系アメリカ人、元外交官
海外勤務25年(世界50カ国)

大阪生まれ。ハーバード大学修士卒(国際政策専攻)
ハーバード大学のマネージメント教授のアシスタントを務め、ハーバード式講義術を学ぶ。
国際連合で10年勤務し、企画顧問、最高技術顧問、事務所長などを歴任し、この間「ハーバード式講義+欧米式参加型ワークショップ」により、各国でリーダーシップ・マネージメント研修を行う。
その後、アメリカ国籍となり、ホワイトハウスやアメリカ外務省の委託事業経営を10年行い、アメリカ連邦政府評議会理事も務める。
現在、大学講師を務めながら、リーダーシップ・マネージメント研修を行う。
大胆な「ハーバード式+欧米式参加型ワークショップ」が好評。



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2020年8月25日|カテゴリー「さまざまな分野
1on1navi_ブログ
 CRM(顧客管理)、SFA(営業支援)、MA(マーケティングオートメーション)など、多くの企業では営業力強化に向けて、これまでにもさまざまなプロセス改革やIT化に取り組まれてきました。しかし、それらの取り組みと比べて、営業における組織マネジメントのあり方は、10年前、20年前から大きくは変わっていません。

 
営業における組織マネジメントの現状

 ここで組織マネジメントと呼んでいるのは、KPIや営業活動の管理のことではなく、営業組織に属する「人のマネジメント」を指しています。営業担当者に年次や半期で目標を与え、その進捗状況を管理して、達成度で評価することを中心とした組織マネジメントのあり方は、長い間、大きく進歩していないのです。

 ところが、これまでの組織マネジメントは時代に合わなくなってきています。しばしば、VUCAと呼ばれるように、変化が激しく、不確実性の高い現在の環境では、もっと機敏なマネジメントが必要とされるからです(注:VUCAはVolatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguityの略)。さらに今回の新型コロナウィルス問題は、VUCAの経営環境をますます進展させたと言えるでしょう。

 営業手法が変化しても、やるのは「人」であることに変わりはありません。その「人」に関する課題をマネジメント層に聞いてみると、以下のような不満がしばしば述べられます。

「もっと提案力を高めることが必要だが、自分で考えられる営業担当者が少ない」
「『やりたい』という意欲に欠け、新しいことにチャレンジしようとしない」
「各人がバラバラに動いていて、情報共有や連携が不足している」
「困難があっても最後までやり抜く気概が足りない」
 
これらの不満は、そもそもマネジメントが十分に機能していないことの表れです。

 上から目標を与えて、やらせてばかりしてきたから自分で考える訓練ができていません。何かをやりたいと営業担当者が提案しても、上司に否定されたら新しいことに取り組む意欲も失せてしまいます。個人目標の達成が第一とされる状況では、他人に対して無関心になるのは当然です。また、上司の支えがなければ、困難を乗り越えてやり抜く気力を維持することも難しいことでしょう。

 ますます進展するVUCAの環境で業績を高めるには、1人ひとりの営業担当者が「考え」「チャレンジし」「連携して」「やり抜く」営業組織を創ることが必要です。そのために、組織マネジメントのあり方を刷新することが不可欠となります。

1on1navi 目指す組織の状態

OKR+1on1マネジメントとは

 OKRと1on1(ワンオンワン)を組み合わせた営業マネジメント方法によって、営業組織力の飛躍的な向上が可能になります。OKRと1on1はどちらも変化が激しいビジネス環境に適したマネジメント手法で、OKRで環境変化に応じて目標を見直しながら、1on1で上司と部下が頻繁に対話を繰り返してマネジメントサイクルを回します。


①OKRによる目標設定

 OKRはObjectives and Key Resultsの略です。40年以上前にインテルで開発され、グーグルが初期の頃から採用している目標管理手法で、短サイクルで目標を見直すこと以外に次のような特徴があります。


■構造化

 OKRでは、目標をObjective(O:到達したいゴール)とKey Result(KR:ゴール到達を測定するための指標)に構造化して設定します。KRはOを実現するための成功要因ともいえるため、このように構造化することによって、目標を達成するための戦略やシナリオを同時に考えることが必要になります。また、VUCAの環境では頭で考えた戦略やシナリオどおりになるとは限らないので、実行して軌道修正を繰り返す「トライ&エラー」が不可欠となります。


■主体性重視

 OKRでは目標を組織の上から下に与えるのではなく、1人ひとりが「自分は何によって貢献したいのか」と考える主体的な意志を重視します。どの上位OKRの達成に貢献するために、自分は何をOKRとしたいかを考えるため、OKR設定のプロセスは「トップダウンとボトムアップの融合」といわれます。OKRはトップの目標を達成するために、上から落とすのではなく、個々人の主体性を引き出しながら組織全体を方向づけるマネジメント手法なのです。

1on1navi OKRツリーのイメージ

■チャレンジの奨励

 OKRでは簡単には達成できない高い目標を設定することが奨励されます。その代わりに、目標の達成度を人事評価に用いないことが原則です。従来の予算管理のように確実に読める数字だけを積み上げるのでは、これまでと同様の行動が繰り返されるだけになってしまいます。OKRには、失敗を恐れず未知の領域に踏み出したり、他者と連携してより大きなターゲットに挑んだりすることを促進するねらいがあります。


■オープン化

 各人のOKRとその進捗状況は広く公開することが原則です。誰が何を目標に仕事をしているかがオープンになることによって、自分と類似の目標を設定している人や、自分の目標達成に影響する人がわかるため、組織を越えた連携がしやすくなります。OKRを用いたマネジメントでは、自部署だけの部分最適に陥るのではなく、組織横断的なコラボレーションを生み出すことが奨励されます。

1on1navi OKRの基本思想と主な効果

②1on1を通じたマネジメント
 
1on1は従来の目標管理面談のように、上司と部下が半年に1度面談するのではなく、より頻繁に(最低でも月に1度)、対話を繰り返すマネジメント方法です。面談の目的は、メンバー1人ひとりの「働きがい」を高めることによって、本人の成長と業績の向上を「支援」することにあります。具体的には、1on1を通じて次の4つの支援を行います。
 

■部下理解・承認

 1on1の場では、上司の意見を一方的に伝えるのではなく、上司の方に部下を理解することが求められます。「自分のことを理解してもらっている」「自分の存在が認められている」と感じられることは、「自己肯定感」を高めるために必須の要件です。自己肯定感が持てるからこそ、「やればできる」とあきらめずに努力を継続することが可能になります。


■目標設定支援

 目標(OKR)は本人が主体的に設定するものですが、「自分のOKRは組織の期待に応えているだろうか」「どれくらいストレッチしたレベルを目指すことが適切か」といったことを確認するため、上司と相談しながらOKRを決めていくことが効果的です。また、環境が変わったり、やってみたら当初の想定と違ったりした場合に、OKRを見直した方がよいかどうか悩む場合にも上司が相談相手になります(ただし、あくまでも決めるのは本人です)。


■経験学習支援

 仕事の経験から多くを学び、成長実感を持てることによって働きがいは高まります。しかし、多忙な日々の中で自分の経験を振り返って何を学んだかを考えることは容易ではありません。そのため、上司が対話における質問やフィードバックを通じて、部下の振り返りを手伝うことが効果的です。また、部下がさらに良質な経験ができるように、機会提供などの支援を行います。


■キャリア開発支援

 今の仕事を通じて自分の将来の可能性が広がると感じられることは、働きがいを高めるために重要な要素です。そのため1on1の場では、目の前の仕事に関することだけでなく、将来、どうなっていたいか、何をやっていたいかについて話し合うことが必要です。上司にとっても部下のキャリアビジョンを理解することによって、その実現のために何を支援すればよいかがクリアになります。


1on1による支援内容とねらい

OKR+1on1マネジメントの導入に向けて

 OKR+1on1マネジメントによる営業組織力の革新は一朝一夕にはできません。組織マネジメントを変革するというトップの強い決意のもと、入念な導入準備と定着化に向けた取り組みが不可欠です。また、新たなマネジメントが軌道に乗るまでの最初の1年間は、辛抱強く運用を継続しなければなりません。導入準備と定着化のためには、以下の3つのステップが必要になります。
 

①デザイン

■運用ガイドライン

 OKRと1on1を用いたマネジメントの運用プロセスを設計します。年次、4半期、月次等での運営サイクルの設計、トップからメンバーまでのOKRツリー階層の深さ、1人当たりのOKR設定数、組織を越えたOKR設定に関する考え方など、運用に必要なガイドラインを策定します。


■トップレベルのOKR

 最初にトップレベルのOKRを設定します。従業員のOKRはトップのOKRの実現に向けて方向づけられることから、どこを目指すかが明確にされていなければなりません。トップレベルのOKR策定に当たっては、従来の予算管理の固定観念を取り払ってトップ層において十分に議論を繰り返すことが必要です。

 
②トレーニング

■OKRワークショップ

OKRを最初に始める際には、当然のことながら既存のOKRツリーは存在しません。そのため初回のOKR設定は、従業員全員でOKRツリーを作り上げる作業になります。この段階でOKR設定を個人に任せてしまっては、品質がバラバラになってしまうため、一定人数ごとにOKRワークショップを開催して、参加者どうしで相談しながら実地でOKRを設定していくことが必要になります。


■1on1研修

 1on1によるマネジメントは従来の目標管理とは異なるため、特に上司に対するトレーニングが必要とされます。研修を1度行っただけでマネジメントはなかなか上達しないため、1on1研修はできれば期間を空けて繰り返し実施することが望まれます。また、メンバーに対しても1on1の目的や1on1の場の活用方法について、理解を深める機会を提供することが必要です。


③IT導入

OKR+1on1マネジメントを組織に定着させるために、ITツールを活用することが効果的です。特に大きな組織になればなるほど、OKRの運用にはITツールが不可欠になります。このITツールはクラウドサービスで簡単に利用できるものでなければなりません。

ITツールの選定に当たっては、システム部門の専門家の参画が望まれます。なぜなら、OKRや1on1に対応するとうたわれていながら、実際は求める要件を満たしていないシステムが少なくないからです。そのため、単に表面的な機能の有無を判定するのではなく、設計思想やデータ構造まで掘り下げて確認できる専門家の視点が不可欠です。

OKR+1on1マネジメントの導入ステップ

「1on1navi」は、上述したようなOKRと1on1の運用に特化した支援システムです。
OKRシステム 1on1navi
1on1を組織に浸透させるツールを、今なら無料でご利用いただけます。
是非この機会にお試しください。

◆1on1navi

株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

アジャイルHRの関連書籍
2020年8月18日|カテゴリー「さまざまな分野
再び全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大しています。それにより、ビジネスシーンでも、人が集まるような場所でのイベントや会議などの開催が回避されています。また、在宅勤務やテレワークなどによる働き方の変化は、今年の春に緊急事態宣言が発出された以降継続しています。新しい生活様式の下で、こうした働き方の変化が、今後標準的なものとして定着しつつあります。

コロナ禍で働き方が変わることにより、ビジネスパーソンに求められるのは、状況に応じて、様々なものの考え方を根本的に変えていかなければならないということです。たとえば、テレワークの普及によって、オンラインでのコミュニケーションをとることが要求されるようになります。当然、オンラインでのコミュニケーションに慣れていくことが求められます。しかし、今までの対面でのコミュニケーションと同じように、オンラインでのコミュニケーションが問題なくおこなうことができるのでしょうか?おそらくそれは難しくなるでしょう。同じ空間で顔を突き合わせて話をすればすぐに解決する、というわけにはいかなくなります。

オンライン会議
特に、オンラインでのコミュニケーションは、仕事をすすめていくうえで、より丁寧なコミュニケーションのとり方が要求されます。「伝える」「聴く」を主体にしたコミュニケーションのとり方です。パソコンなどの機器を通してコミュニケーションをとることになるため、同じ場所で顔を突き合わせてコミュニケーションをとるよりも、難しく感じるかもしれません。また、働く環境が違うのはもちろんですが、機器類の扱いに慣れている人とそうでない人もいます。ですので、オンラインでのコミュニケーションについては、より丁寧さが求められるでしょう。オンラインでのコミュニケーションがうまくいかないとなると、仕事の生産性が低下し、成果も思うようにあがらなくなる可能性が高くなります。


ビジネスの場面においては、同じ職場の上司と部下、他部署の社員、組織外部の顧客、グループ会社や協力会社の方々など、様々な人たちとかかわります。オンラインでのコミュニケーションで仕事を進めていくとしても、これまでと同じように成果をあげていくとなれば、オンラインでの相手とのコミュニケーションのとり方が重要になってきます。ただ、オンラインだからといって、特別なコミュニケーションのとり方が要求されるわけではありません。

では、オンラインでのコミュニケーションのとり方には、具体的にどのようなことが求められるのでしょうか?今回は、コロナ禍で欠かせないオンラインでのコミュニケーションのとり方について、特に気をつけるべきポイントを5つの観点から整理します。


1.安心感を与える表情で相手と接する

オンラインでのコミュニケーションにおいては、パソコンやスマートフォンなどの機器に相手の顔がはっきりと表示されます。微妙な表情の変化も、画面を見て話をしているとわかるものです。オンラインツールによっては、相手の表情をアップにできるので、注意しなければなりません。

相手に安心感を与える表情の基本は笑顔です。口角を上げて目元を緩める。毎日数分でも意識して笑顔の表情を確認すれば、自然に相手に安心感を与えられる表情になります。相手が本音でコミュニケーションをとるポイントとなるのは笑顔です。オンラインでのコミュニケーションでは特に心がけていきましょう。

オンラインでの打ち合わせの前に、最初に一人だけで打ち合わせルームにログインして、表情チェックをやってみるといいですね。そのくらい入念に表情チェックをしてから、打ち合わせなどに臨むといいでしょう。


2.相手にはっきりと言葉を伝える

オンラインでのコミュニケーションにおいては、相手がわかるように、はっきりと言葉を伝えようとしなければ、相手に正しく言葉が伝わりません。また、口を開いてはっきりと語尾まで伝えないと、オンラインでのコミュニケーションでは相手が聴き取れないなどの問題がよく起こります。口を開いてはっきりと伝えようとすれば、相手は、何を言いたいのかがはっきりとわかってくれるものなのです。伝えたい内容は最後までしっかりと言い切るようにしましょう。

私は、研修やセミナーなどで長時間話をする際には、物事を伝える役割を担うため、最初に早口言葉の練習をしてから臨むようにしています。早口言葉の練習によって、はっきりと物事を伝えるための準備をします。早口言葉の練習をすると、顔の筋肉がほぐれてくるのです。たとえば、「赤巻紙、青巻紙、黄巻紙(あかまきがみ、あおまきがみ、きまきがみ)」「生麦、生米、生卵(なまむぎ、なまごめ、なまたまご)」「東京特許許可局(とうきょうとっきょきょかきょく)」などの早口言葉をいくつか任意で選んで、それぞれ3回ずつ言ってみると、表情の筋肉がほぐれてきます。仮にうまく言えなくてもあきらめずにやりきりましょう(マスクの下なら外からは見えないので、恥ずかしがらずに試してみて下さい)。オンラインでのコミュニケーションで物事をはっきりと伝えるためにも、こうした準備を採り入れてみるのをおすすめします。


3.話を聴いていることを相手にはっきりと示す

オンラインでのコミュニケーション場面では、相手の表情や動作がよく見えますので、相手の反応がよくない場合や、相手が話を聴いていない場合というのはよくわかります。パソコンの画面を見ていると、相手が画面の端でなにか違うことをしているような動きが見える場合があります。おそらく、画面の外側でスマートフォンを操作しているのかもしれません。なかには、突然カメラをオフにして(オンのままの方もいますが・・・)、いきなり画面の外に消えてしまうような方もいます。これでは、話をする側にとっては、話を聴いてもらっていないのがはっきりとわかるので、大きなショックを受けてしまいます。

オンラインでのコミュニケーションの場面でなくてもそうですが、相手の話を聴くときには、「相手をみる」「うなずく」など、話を聴いているという動作を、相手にわかるように示しましょう。また、カメラの方に体を向けることによって、しっかりと相手と向き合うように位置取りすることも必要です。

また、オンラインでのコミュニケーションをとる場合、言葉に関しても注意をする必要があります。聴いている側が相手の発した言葉を伝え返さなければ、伝える側にとっては、自分の話が相手に伝わっているのか不安になります。「へー、そうなんですね」「なるほど」など、あいづちをうつ場合に相手に伝え返す言葉はたくさんあります。オンラインでのコミュニケーションでは、相手に安心感を与えるような表情、笑顔とともに、あいづちの言葉を有効に使いましょう。


4.重要な言葉はゆっくりと繰り返し伝える

オンラインでのコミュニケーションの場面でも、対面でのコミュニケーションの場面と変わることなく、早口で話をして用件だけを伝えて終わらせようとする人がいます。なにか事情があるのかもしれませんが、オンラインでのコミュニケーションにおいては、早口で話をしてもなかなか相手には伝わりません。ましてや、オンラインでのコミュニケーションをとる場合には、ただでさえ相手の言葉が聴き取りにくいときもありますので、聴いている側にとってはストレスが溜まります。伝える側は、特に重要な言葉や記憶してもらいたい言葉に関しては、何度も繰り返すことで、相手の記憶に留めるようにしましょう。また、伝える言葉のスピードにも工夫します。伝えたい言葉をあえてゆっくりと話して、相手の記憶に残るようにするといいでしょう。ある方は、自分の名前を覚えてもらいたいために、名前の部分だけをゆっくりと伝えるそうです。

また、間違いやすい言葉や覚えにくい言葉については、お互いに繰り返し確認しながら伝えることで、相互に理解を深める工夫をするのが大切です。このように、オンラインでのコミュニケーションにおいては、伝えるときに気をつけなければならないことがありますし、時には対面で伝える以上に時間をかけることも必要です。もしお互いに時間がないときは、せめて重要な言葉でも繰り返し伝えるようにしましょう。


5.威圧的な姿勢をとらないようにする

オンラインでのコミュニケーションの場面では、相手の様子がはっきりとわかります。そのときに、相手に対して威圧的な姿勢をとらないように注意しましょう。たとえば、上司と部下がオンラインでコミュニケーションをとる場面もこれから増えてくるでしょう。上司と部下が面談する場合も、オンラインで行うことも増えてきます。そのときに、とくに管理職や指導役、または先輩にあたる社員の方々には、部下や後輩の話を聴く姿勢について振り返ってほしいのです。部下や後輩に対して威圧的な姿勢や表情で接すると、部下や後輩に敬遠されてしまい、彼らが本音をいうことなく、面談が終わってしまうかもしれません。

特に、上司と部下が1対1で行う「1on1ミーティング」のときにも十分に気をつけましょう。今後、オンラインでの1on1ミーティングも増えてくるでしょう。オンラインでのコミュニケーション場面では、相手の様子がはっきりと見えますし、相手が一人で画面の向こう側にいる場合もありますから、相手に不安感を与えるような、威圧的な姿勢は慎みましょう。こうした姿勢をとりながら部下に厳しい言葉を浴びせると、部下から「パワハラを受けた」と指摘されるリスクが高まります。また、それがエスカレートすると、オンラインでのコミュニケーションがうまくとれなかった影響で、部下が精神疾患を患って休職する事態にもなりかねません。部下の話を聴くときに、ついつい無意識のうちに腕組みをするなどして、相手を威圧するような態度をとってしまったと感じたときには、まず自分で意識して改善しましょう。まずは自分で気づかなければ改善されませんので、部下や後輩だと「上から目線」でみてコミュニケーションをとるのではなく、大切な人の話を聴く、という意識をもつくらいのつもりで聴くようにしましょう。


オンライン個別面談
コミュニケーションのとり方を見直して、職場の人間関係を改善しよう! 

おそらく、多くのビジネスパーソンにとっては、階層別の研修やコミュニケーションをテーマにした過去の集合研修で繰り返し聴いてきたことを、様々な考え方を変えていかざるをえない今だからこそ実践するチャンスです。ここまでお伝えしてきたようなことに気をつけて、オンラインでのコミュニケーションの場面で実践すると、新型コロナウイルスの影響が小さくなってきて、対面でコミュニケーションをする時間がとれるようになったときには、お互いに気持ちよくコミュニケーションをとって仕事ができるようになるでしょう。

オンラインでのコミュニケーションのとり方というのは、決して特別なものではなく、今までコミュニケーションのとり方の基本として学んできたことを地道に実践するということなのです。オンラインでのコミュニケーションをとる前に、今一度、ビジネスパーソンが求められるコミュニケーションのスキルの全体像を、改めて振り返っておきましょう。 そして、オンラインでのコミュニケーションをとろうとするときに、今まであまり意識してやっていなかったことを少しずつ意識してやってみることで、物理的に同じ空間にいなくても、お互いに意思疎通が図れるようになり、仕事の生産性の向上につながるのではないでしょうか。 

また、オンラインでのコミュニケーションが円滑になれば、職場のチーム内の報連相も円滑になるでしょう。部下が上司に報連相するときには、お互いに漏れなくできるようにするためにも、5つのポイントを確認しておきましょう。相手を見て、相手の声を聴いて、正確かつ丁寧にコミュニケーションをとるように心がけましょう。 

オンラインでのコミュニケーションが主流になりつつある今、意識してコミュニケーションのとり方を見直したうえで実践していけば、上司部下の関係の改善にも役立つでしょう。上司も部下も、お互いに働く楽しさや面白さを実感できるようにするためにも、コミュニケーションのとり方を見直して関係を改善していけば、離職者を防ぐことにもつながります。 オンラインでのコミュニケーションのとり方は、誰か一人が気をつけて実践すればいいというものではありません。社員一人一人の取り組みが重要です。誰かがリーダーシップを発揮して、オンラインでのコミュニケーションをとる練習をやってみると、職場の人間関係もよくなるでしょう。オンラインでの打ち合わせや社内会議、お客様との商談などの前にお互いに確認しましょう。みんなで笑顔の練習や、早口言葉の練習などをやると、その場に笑いが出るくらいに盛り上がって面白いかもしれませんよ!


オンラインで留意すべきコミュニケーションスキル強化を通して、生産性の向上や成果創出につなげるための研修はこちらです。

【テーマ】:プレゼン力強化
【対象者】:若手社員~中堅社員
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンラインでの言葉の伝え方


【テーマ】:傾聴力強化
【対象者】:若手社員~管理職
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンライン上の傾聴の方法 


【テーマ】:ファシリテーション
【対象者】:中堅社員~管理職
【主な内容】:非言語コミュニケーションのポイント、オンラインで必要なファシリテーションスキル


【テーマ】:1on1ミーティング
【対象者】:中堅社員~管理職
【主な内容】:コミュニケーション上のポイント、オンラインでの1on1ミーティングのポイント・実習


【テーマ】:営業力強化 ~ヒアリング力強化~
【対象者】:営業担当者
【主な内容】:相手とのコミュニケーション上のポイント、オンライン商談の留意事項・実習

増田 和芳講師
増田 和芳(ますだ かずよし)講師

<経歴>
三菱UFJニコス株式会社,株式会社日本マンパワー,ソフトブレーン・サービス株式会社
合同会社富士みらいクリエイション代表

<資格>
国家資格キャリアコンサルタント
(公財)21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント
(一社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
(一財)生涯学習開発財団ワークショップデザイナー

1976静岡県富士市生まれ。大学卒業後、大手信販会社で営業及び債権管理業務を経験。28歳の時に大手教育研修サービス会社へ転職し、約10年間法人営業職として勤務。キャリアデザイン研修やヒューマンアセスメント研修等の企画、営業に携わり、トップセールスとして表彰も受けた経験あり。33歳で営業課長に昇格。通算部下6名の育成に携わる。営業現場の業務改善や営業人材育成に取り組み、営業マニュアル作成や全社教育体系作成プロジェクトでは中心的な存在を担った。また、全社員対象ハラスメント防止研修等の社内研修講師としても活躍。一時は自律神経失調症で苦しむ経験をしたが克服し、2015年3月に営業コンサルティング会社へ転職。ソリューション営業スキル向上、マネジメント、組織内コミュニケーション向上等をテーマに、コンサルタントとして活動し約420回研修講師として登壇。オンライン型及び対面型どちらでもワーク主体の研修を中心に実施し、それぞれの特徴を活かして学びや気づきを促進する研修手法は、受講者から「わかりやすい内容で、現場ですぐに使えることが多い」と評判。

2020年4月1日|カテゴリー「さまざまな分野
コロナウイルス対策は先の見えない長期戦に入ってきました。
時差出勤やテレワークも、さらに定着と活用が求められます。
私たちの働き方を変える機会ととらえ、前向きに取り組みたいところです。

さて、前回は「オフィス業務効率化に大きな効果を発揮するRPA(Robotic Process Automation)やエクセルマクロを導入するためのポイント」についてお話しました。
最終回は、今後機械化が進展した場合の仕事の変革について考えてみたいと思います。

まず、RPAやエクセルマクロがオフィスの中で増えていくと、それらをしっかり管理する仕事が必要になります。
それぞれがどのような機能を持ち、どのような仕組み(仕様)で造られているのかを記録・保存し、必要な時に参照できる状態が必要です。
これができていないと、制度改正やサービス仕様変更などがあった場合に適切に対応することができず、いつの間にか使えない道具があちらこちらに置き去りになり、いわゆる「野良ロボット」が増殖するリスクがあります。
また、RPAは人事情報などの重要なデータベースにアクセスすることもありますので、どのRPAがどの情報を扱って良いかの権限管理も欠かせません。まさに「RPA人事部が必要」と言われる所以です。

そして、機械化が進むにつれ、人間は転記や照合などの単純作業から解放されることになります。
一方で、私たちの仕事にはより高い付加価値が求められます。

例えば、業務プロセス全体の中での機械の配置や活用を考える「プロセスマネージャー」のような仕事です。
仕事の手順をフローチャート形式で書き出してメンバーと共有する効果を前回お話しましたが、ここではさらに視野を広げて考えます。
お客さまからの申込書の受付から、照合、確認、審査、記録、取引報告書の送付までの一連の業務であれば、その全体プロセスを見渡した上で、作業負荷の大きさや要求される品質(正確性)などから、機械化の優先順位を決めます。

また、「このRPAは類似の○○業務でも使えるのでは?」といったアイディアを出せれば、効率化がより促進されます。
さらに、従来事務作業に費やしていた時間や人員を、業務効率化やサービス向上に活用することが可能となります。
機械化で処理時間が短縮されればそれだけでも顧客サービス向上に寄与することになりますが、捻出した時間を活用して、これまで「クレーム」として処理してきたお客さまの「声」にもう一度耳を傾けてはいかがでしょうか。
そこにはサービス向上のヒントがたくさんあることに気付くはずです。

3月24日付の日本経済新聞には「次は『働きがい改革』 満足度など測り改善、生産性向上」の見出しで、「エンゲージメント(従業員の貢献意欲)が経済界の合言葉になっている」と紹介されています。
エンゲージメントは会社と個人が「新しい価値」に向かって共に努力する環境が必要です。
RPAやエクセルマクロを活用して負荷の大きい単純な事務作業から解放されることを契機に、より次元の高い事務マネジメントとサービス向上への取り組みに軸足をシフトできれば、その具体的な一歩となるでしょう。
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書籍




好評発売中「現場からはじめる働き方改革」

プロフィール写真
株式会社オフィスソリューション 
代表取締役 宮崎 敬(みやざき たかし)

早稲田大学法学部卒業後、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社し、証券代行、外国証券管理等の事務サービス業務領域で現場マネジメントを経験。
その後、同社グループ内関連会社4社において常務取締役を歴任するとともに、研修開発・講師を5年間担当し好評を得る。
事務マネジメントに関する経験と研究成果を「事務学」として体系化し、社内外での講演、セミナー、業務改善プロジェクト指導の実績多数あり。
早稲田大学理工学術院創造理工学研究科修士課程(経営工学)2011年修了
公益社団法人 日本経営工学会 
一般社団法人 日本品質管理学会 
特定非営利活動法人 リスクセンス研究会(理事) 
特定非営利活動法人 失敗学会 

主な著書:「現場からはじめる働き方改革」「事務ミスを防ぐ知恵と技術」「事務のプロはこうして育てる」
2020年3月25日|カテゴリー「さまざまな分野
コロナウイルス対策に伴い、時差通勤や在宅勤務など未体験の環境で戸惑う方もいらっしゃると思いますが、何か一つでも「メリット」と感じる点があればそれを大事にしましょう。

さて、前回のブログでは、「RPA(Robotic Process Automation)やエクセルマクロは業務効率化に大いに活用したいツールですが、これまで導入が進んでこなかったのにはそれなりに理由がある」ということをお話しました。
今回は、導入や活用に向けてどのように取り組めば良いのかを考えてみたいと思います。

そのためには、機械化を難しくしている「少量多品種」や「ベテランの技」の問題に取り組む必要があります。
まず目につくのは、「普通はこうやるのだけれど、A社については扱いが異なる」などの、個別ニーズ対応です。
サービス競争の中での産物ですが、過去に示された先方のニーズや状況がその後変わっているにも関わらずに特殊扱いが踏襲されている、といったことはないでしょうか?
このような無駄を避けるために、営業と事務の密接な連携で定期的に棚卸をしたいものです。

もうひとつは、「ベテランの技」をチームの共有財産とする努力です。
長年その仕事をやっていた人は、手順が体内にインストールされているため、それを他の人に説明するのが容易ではないケースが多いものです。
ですから、「さあ、仕事の手順を書き出しましょう!」と掛け声をかけた時に、ベテランの方ほど苦労が多いものです。
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そこでおススメしたいのが、まず付箋などを活用して仕事の手順を書き出し、漏れがないかをチェックする方法です。
その上で、手順ごとに詳しい処理内容を箇条書きします。
扱っている帳票などがあれば、記入例も添えると分かりやすくなります。

RPAやエクセルマクロなどのツールに代わって仕事をしてもらうためには、このような取り組みを経る必要があります。
そして、ここまでできると、上司やほかのメンバーと共有できます。
まず、休暇取得等の際に代わりにやってもらえる人の育成が進めやすくなります。
さらに、複数の目で見ていくと、「このチェック作業は省略できるのでは?」とか「営業の人にお客さまのニーズをしっかり確認してもらえば、この処理はもっとスムースにできるのでは?」など、仕事を改善するポイントが見えてくることもしばしばあります。

機械化は私たちの仕事を正確で効率的なものにしてくれますが、導入には相応のコスト(RPAでも百万円単位)がかかります。
「コスパ」は飲み会だけの問題ではありません!
仕事を整理して機械に置き換えることができれば大成功ですが、万一そこまでの効果が見込めない場合でも、今回ご紹介したような観点からの仕事の見直し、効率化ができればそれだけでも大きな成果と言えます。
コロナ対策で通常業務が制約を受けている状況を、このような仕事を見直すチャンスとして活用してはいかがでしょうか?

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株式会社オフィスソリューション 
代表取締役 宮崎 敬(みやざき たかし)

早稲田大学法学部卒業後、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社し、証券代行、外国証券管理等の事務サービス業務領域で現場マネジメントを経験。
その後、同社グループ内関連会社4社において常務取締役を歴任するとともに、研修開発・講師を5年間担当し好評を得る。
事務マネジメントに関する経験と研究成果を「事務学」として体系化し、社内外での講演、セミナー、業務改善プロジェクト指導の実績多数あり。
早稲田大学理工学術院創造理工学研究科修士課程(経営工学)2011年修了
公益社団法人 日本経営工学会 
一般社団法人 日本品質管理学会 
特定非営利活動法人 リスクセンス研究会(理事) 
特定非営利活動法人 失敗学会 

主な著書:「現場からはじめる働き方改革」「事務ミスを防ぐ知恵と技術」「事務のプロはこうして育てる」
2020年3月18日|カテゴリー「さまざまな分野
こんにちは、株式会社オフィスソリューションの宮崎です。
これから「RPA時代の事務を考える」というテーマで、3回にわたりお付き合いいただきますのでよろしくお願いします。

コロナウイルス感染の影響は、これまで体験したことない規模とスピードで世界中に広がっています。
みなさんも仕事や家庭生活で大きな制約を受けていることと思います。
このような状況の中で、急遽テレワークを体験された方も多いと思います。
クラウドやチャットを活用すれば場所が離れていても仕事ができ、また移動時間の節約等により生産性も上がると実感された方もいると思います。
しかし、生産性向上に本気で取り組むためには、業務改善や機械化を通じて仕事の中身を効率化していくことが不可欠です。
そして、機械化に関しては、近年日本でもRPA(Robotic Process Automation)の導入が進んでいます。
もうご存知の方も多いと思いますが、これはいわゆる「ロボット」ではなく、自動的に処理を進めるパソコンソフトです。

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RPAは夜中でも文句ひとつ言わずに延々と働いてくれますが、
「これはちょっといつもと違う処理のようだから、念のためにリーダーに確認してみよう」
などと気の利いたことはやってくれません。
機械化をするためには、その仕事をできるだけ定型化する必要があります。


ホワイトカラー業務の生産性が低いと指摘されてきた大きな原因のひとつに、オフィス業務の定型化、標準化が難しいということがあげられます。
まず、仕事の手順が担当する人の頭の中だけにしまってある状態だと、外側からは見えません。
ベテランの人が人事異動や退職で不在になった際に後任の人が苦労することがありますが、この状態では機械に代わってやってもらうことは不可能です。

さらに、多くの企業が差別化戦略としてお客さまごとの個別ニーズにきめ細かく対応する努力をしています。
その結果、個々の特殊処理が積み重なると仕事が「少量多品種」となり、大量生産のモノづくりのようには機械化を進めることができません。

また、金融機関など業務量の多い業種では、これまでにかなりの部分が基幹システムやサブシステムにより機械化されており、そこからはみ出たものが人間の作業として残っているとう面もあります。
機械化の選択肢としては基幹システムからエクセルマクロまであり、RPAもそのひとつです。
今後、生産性向上、業務効率化のためにはRPAやエクセルマクロのような小回りの利くツールをもっと活用したいですね。
そのポイントについて、次回お話したいと思います。

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代表取締役 宮崎 敬(みやざき たかし)

早稲田大学法学部卒業後、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社し、証券代行、外国証券管理等の事務サービス業務領域で現場マネジメントを経験。
その後、同社グループ内関連会社4社において常務取締役を歴任するとともに、研修開発・講師を5年間担当し好評を得る。
事務マネジメントに関する経験と研究成果を「事務学」として体系化し、社内外での講演、セミナー、業務改善プロジェクト指導の実績多数あり。
早稲田大学理工学術院創造理工学研究科修士課程(経営工学)2011年修了
公益社団法人 日本経営工学会 
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主な著書:「現場からはじめる働き方改革」「事務ミスを防ぐ知恵と技術」「事務のプロはこうして育てる」
2020年3月11日|カテゴリー「さまざまな分野
新型コロナウイルスとの戦い。
経済活動にも影響が出てきましたね。株価の下落や円高へのブレ。我々は、落ち着いて行動していきましょう。

マネジメントについての5回目です。今回は組織におけるコミュニケーションについてお伝えします。
コミュニケーション
コミュニケーションについての解説・著書はもう世の中におびただしいくらいに出ていますね。
皆さんの組織内外でのコミュニケーションがうまくいっていることを願っています。
ここで、皆さんにお尋ねしますが‘ではコミュニケーションって何ですか’と聞かれるとどう答えるでしょうか?
たいていの人は‘話すこと’や‘意思疎通’と答えます。正解だと思います。
が、ちょっと考えてみてください。
コミュニケーションが‘話すこと’であれば、アイコンタクトはどうなのでしょう、また文書はどうなのでしょうか?
どちらも‘話すこと’を実践しているわけではありません。
もう一つの意思疎通であると考えてみましょう。意思を疎通する。
意思とは‘考え’のことだと思います。考えを疎通する。素晴らしいことです。
では知識はどうなのか。
知識を疎通するのはコミュニケーションとは言わないのか。何か藪が見えてきました。・・・意地悪が過ぎたかもしれません。

私が習い見聞きしたうえではコミュニケーションとは‘情報の共有’のことです。
情報を共有することがコミュケーションだということです。
そのために話をしたり(発表等)、書いたり(議事録や報告書等)、見つめあったり(アイコンタクト等)するわけです。
では情報とは何か、ということになります。
とある作家が言うには、情報とは「知識に価値が付いたもの」です。
この価値が人によって違うからなかなか情報共有が進みません。
また情報共有する手段の好みが人によって異なります。世代間でも違います。
仕事終了後にお酒の力を借りながら、という人もいれば、就業時間外は全くお断り、という人もいます。
どちらも間違ってはいません。
間違ってはいませんが両者には齟齬が生じていますね。
この齟齬を解決することがマネジメントの役割かもしれません。


ただ、情報は人が出すことが多いので(本や新聞他にも情報は満載です)、人が気分良く情報を出す環境があれば、より多く情報が発信される可能性は高いです。
気分よく情報を人が発信する。
そのために、マネジャーは組織メンバー相互の信頼感を醸成することやメンバーが組織に属する喜び、ワクワク感等をメンバーに提供することが必要だと考えられます。


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有限会社P.Sコンサルティング
大元 相(おおもと つとむ)

早稲田大学政治経済学部卒。大学卒業後、大手広告代理店入社。
クリエイターとして10年以上にわたり企業の広告等を担当。
2004年(有)P.S.コンサルティング設立し、中小企業診断士取得。
専門は経営戦略、経営改善、売上拡大、マーケティング戦略、広告展開指導、営業強化、など。
現在数多くの企業のコンサルティングと同時に企業研修の講師としても活動。
2020年3月4日|カテゴリー「さまざまな分野
新型コロナウイルスとの戦い。自己防衛の必要性がますます高まってきました。
手洗いとうがいをさらに励行していきましょう。

マネジメントについての四回目です。
今回はマネジメントにおける部下のモチベーションについてお伝えします。
マズローの欲求5段愛


モチベーション理論は「動機付け理論」と呼ばれています。
動機付け理論はアブラハム・H・マズローの欲求5段階説が有名です。
マズローは人間の欲求を生理的・安全・所属・自尊・自己実現の5段階に分けました。
シンプルに言うと、生活が保障され(生理的)雇用が安定されて(安定)、人間関係がよくなり(所属)、他人から認められて(自尊)、自分の希望をかなえたい(自己実現)というものです。
皆さんの部下はそれぞれどの段階にいるか、そしてそれに組織として、上長としてどのように対応するかがポイントとなります。
ハーツバーグ理論
次にフレデリック・ハーツバーグという人がいます。
彼は動機づけを二つのカテゴリーに分けました。不満足要因と満足要因です。
不満足要因というのは、その要因がなければ不平を言うもの、満足要因は、その要因があれば満足するというものです。
不満足要因には賃金、労働条件、労働環境、福利厚生、コミュニケーションが挙げられます。
満足要因に参画、没入、責任と権限、職務充実拡大、承認が挙げられます。
ここで確認しなければならないのは、不満足要因はなければ不平を言うもので、満足をもたらすものではないということです。
不満足要因を満たしても不平がなくなるだけで、満足をもたらせるものではないのです。
満足要因は、例えば新プロジェクトに参画させる、仕事に没入させる、責任と権限を与える、職務の専門性(充実)と範囲を広げる、そして承認をするということです。

昨今では‘褒める’ことが注視されています。
褒めることは素晴らしいです。褒められると誰もがうれしいです。
これが実践できる方はぜひこれを励行してください。
ですが、私がここで皆さんに勧めたいのは承認するということです。
きっと褒めることよりも容易に承認ができると思います。
承認は「よく頑張っているな」とか「よくできたな」とか・・・。普段の観察からできるものです。
私は会社員時代、決して多いとは言えなかった‘褒められる’ことより、承認されるほうがどこか嬉しかったことを覚えています。
皆さんはいかがでしょうか?
褒めると承認する。どちらも素晴らしいことです。
部下の状況に応じてうまく使い分けていくことが求められます。




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大元 相(おおもと つとむ)

早稲田大学政治経済学部卒。大学卒業後、大手広告代理店入社。
クリエイターとして10年以上にわたり企業の広告等を担当。
2004年(有)P.S.コンサルティング設立し、中小企業診断士取得。
専門は経営戦略、経営改善、売上拡大、マーケティング戦略、広告展開指導、営業強化、など。
現在数多くの企業のコンサルティングと同時に企業研修の講師としても活動。
2020年2月26日|カテゴリー「さまざまな分野
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新型コロナウイルス拡大してきましたね。
自己防衛の必要性がますます高まってきました。
手洗いとうがいをさらに励行していきましょう。
マネジメントについての三回目です。
今回はマネジメントにおけるリーダーシップです。マネジャーのリーダーシップは下記が求められます。

 「マネジメントにおけるリーダーシップ」

① 仕事や業績の達成に強い関心を持つと同時に人間関係や部下のモラール(やる気)についても強い関心を持つことが必要
② 自らの集団を指導し、動機づけ、目標に向かわせるマネジメント力(統率力)を持つことが必要
③ 部下一人ひとりの個性やその場の状況に応じて、民主的にもなり、専制的にもなり、
 時には放任的になるような使い分けの能力を持つことが必要
④ 部下一人ひとりの仕事が「できる」という実践的能力を引き出し、集団全体が環境変化によって
 革新を起こすような能力を持つことが必要
(松田憲二)

「強い関心」は、強い干渉のことではありません。
やたらと部下の行動に対して口を出すものではないのです。
チェックはもちろん必要ですが、のべつまくなしのチェックは、部下のやる気をそぐことになります。

「動機付け」は部下が仕事に対して、やってやろうという自発心です。
それには仕事の意義、自分の価値、組織ビジョンへの自己達成意識他をうまく刺激してあげること、実感させてあげることが求められます。

「部下の状況に応じた対応」は当然に、部下の能力はそれぞれ異なり、成長のスピードや段階も違います。
今日入社してきた部下と10年以上も経験のある部下との対応も違います。
相対の状況によって対応を変えます。
「集団全体の革新」は環境の変化に対応するものです。
外部及び内部の環境が劇的に変化している際に、従来のままのやり方を踏襲しているのでは、組織(集団全体)の存続は危ぶまれ、競争に勝ち残れなくなります。

上記四つの要素をマネジャーは念頭に置きながら組織、部下へのマネジメントを実践することが必要です。


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有限会社P.Sコンサルティング
大元 相(おおもと つとむ)

早稲田大学政治経済学部卒。大学卒業後、大手広告代理店入社。
クリエイターとして10年以上にわたり企業の広告等を担当。
2004年(有)P.S.コンサルティング設立し、中小企業診断士取得。
専門は経営戦略、経営改善、売上拡大、マーケティング戦略、広告展開指導、営業強化、など。
現在数多くの企業のコンサルティングと同時に企業研修の講師としても活動。
2020年2月19日|カテゴリー「さまざまな分野
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ここ数日は春のような陽気でしたね。
南極では20度を超えたとか。
このまま春というのも良いですが、
寒の戻りがあるそうです。
寒さ対策及び手洗いとうがいを
皆さましっかり励行して行きましょう。

前回はマネジメントに関しての大まかな定義をお伝えしました。
マネジメントは目標の達成ということでしたね。
目標の達成のために経営資源を効果的に活用する事でした。
別の側面として目標達成のフレームワークとしてPDCAサイクルがあります。

P:プラン(計画)、D:ドウ(実践)、C:チェック(確認)、A:アクション(修正)と訳されます。

このフレームワークは絶対的な効果があると考えられますが、殆どのケースで実行されていません。
残念ですね。

企業でのマネジメント研修ではこのPDCAの項目はほぼ外せないのですが、
参加された方の多くは、このフレームワークを知ってはいるのですが、把握できていません。

目標には日単位の計画、週単位の計画、月単位の計画、年単位の計画が多くのジョブに対してあるはずですが、
その目標が設定されていないことが本当に多いです。
あまりに多い業務に忙殺されているのが原因かもしれません。
一つ一つの作業に対する目標の設定が面倒で煩わしいのかもしれません。理由は数多くあるでしょうが・・・。

PDCAは、目標に対しての行動及び結果評価としてのチェック、補修修正としてのアクションがあるべきです。
また目標を設定する際に「残業時間が多くて削減する必要がある」と言う状態であれば、ただ単に多いと言うのではなく、
「残業時間が何時間多くて、何時間削減するのか」という具体的なレベルにしないとどこまでやればいいのか、実践者は分りません。

また「在庫が多い」という状態であれば、在庫を削減する際に
「何個までに少なくしないといけない」とうい具体的な数字にしなければ、どれぐらい実践してよいのか、検討がつかないのです。

このように計画目標がキチンと設定されていないと、PDCAサイクルが途切れてしまうことになります。
マネジメントを実行するには、サイクルが途切れないように、それこそチェックする必要があります。
PDCAサイクルを設定する際には、部下をどのように成長させるか、どのレベルまで成長させるか、
といったマネジャー自身の狙いを設定計画数字に入れ込むとよいです。

計画目標の達成を通して、部下の育成を図り、同時に成長を実現させるのが効果的です。


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現在数多くの企業のコンサルティングと同時に企業研修の講師としても活動。
2020年2月12日|カテゴリー「さまざまな分野
新型ウイルスの話題が世間を席巻しています。
皆さん、体調管理は如何でしょうか?

最も効果があるのは、手洗いとうがいだそうです。
これは私も幼稚園や小学生の頃から何度も何度も言われてきました。
いまでも頭の中でリフレインしているようです。
新型ウイルス、怖いです。
面倒くさがらずに手洗いとうがいを励行しましょう。

今回、皆さんにお伝えしたいのは、「マネジメント」についてです。
今回は初回なので、「マネジメント」とは何か、を私なりにお伝えします。
端的に言えば、マネジメントとは「目標を達成する事」です。
研修で多くの人に“「マネジメント」とは何ですか”と聞くと、
コミュニケーションを取るとか、部下を育成するとか、応える人が本当に多いです。

これはまあ、間違ってはいないのですが、正解ではないです。
理由は、コミュニケ―ションをとったけれど目標を達成していないとか、
部下を育成したのだが目標を達成できなかったでは、マネジメントをしていることには厳しい言い方ですが、ならないのです。

マネジメントとは“目標を達成すること”です。部下の目標、あなたの目標、そして組織の目標を達成することです。
目標を達成するためにどのようにして行けばよいのか、があなたを悩ませていることですね。


「管理(マネジメント)」とは
  ●組織や職場の目標を達成するために
  ●ヒト・モノ・カネ・時間・情報などの経営資源を
  ●効果的に、効率的に活用して
  ●生産、製造、サービスなどの提供を行う


目標を達成するためには道具と言うか、武器が必要ですね。
最大の武器は、あなた自身ですが、残念ながらあなたは一人しかいません。
一人ではなかなか組織の目標を達成することはできません。
理由は、あなた一人では達成できない目標が組織(会社)から与えられるからです。
そこでどうするか、周りの人を活用します。
ヒトという経営資源を活用します。
あなたの部下や上司です。ヒトは最大の経営資源です。

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クリエイターとして10年以上にわたり企業の広告等を担当。
2004年(有)P.S.コンサルティング設立し、中小企業診断士取得。
専門は経営戦略、経営改善、売上拡大、マーケティング戦略、広告展開指導、営業強化、など。
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2019年9月4日|カテゴリー「さまざまな分野
『幸せですか?』 
この質問に対しては、世界200近い国で、文化や習慣や環境が違っても、ほとんどの場合、下記の5つのことで判断することが多いみたいです。

① 健康
② 人間関係(6つの人間関係)
③ 経済状況
④ 仕事(家事や育児、学校なども)
⑤ 時間


5つの項目を各10点満点で自己採点して、幸せと感じることができるのは、7点以上です。1つの項目で7点以上はあっても、5つ全て7点満点の人は、世界70億人超える人口のうち、2%ほどのようです。
仮に、4つが10点満点でも、残り1つが1点や2点の場合、一番低いところに意識が向いて、『自分は幸せではない・・・』と感じてしまうようです。
パレート図



EQの高い人の特徴は、『幸せ』を感じる能力が高いことがポイントです。
20対80の法則で有名な『パレートの法則』では、

『生産性の高い人 →  
20%の行動で80%の成果を出す人

生産性の低い人 → 
80%の行動で20%の成果しかでない人

生産性の高い人は、これだけのことで、これだけの報酬が手にできて期待以上で満足できる。
更に、状況を向上させてより高い目標や目的に向かって確実性をベースに行動します。
反対に、生産性の低い人は、これだけしているのに、こんなに少ない報酬で、期待を大きく下回る報酬で、不平や不満が増えます。
いくら努力しても頑張っても報われないと思い込む傾向が強くなり、非常に不健全な行動になってしまいます。
 

この2つの極端な傾向は、時間とともに更に格差が拡大します。
実際に、EQの高い人は、健康への意識や行動も健全で健康な人が多く、ストレス対処力も非常に高い状態です。
不健全なライフスタイルは、ストレス対処力も低下して、少しのストレスも大きな負担や重圧となり、血行が悪化して脳内の細胞同士の結合が劣化して、酸素レベルも低くなります。

EQが高くなると未来型思考となり、将来における夢や希望や目標にフォーカスします。そして、いろんなチャンスをつかもうとすることで、積極的になります。
EQが低くなると、夢や希望が持てなくなりリスクばかりにフォーカスしてしまうので、何事にも消極的になりがちです。

 
EQのいくつかある項目に、『セルフエフィカシー』があります。
『自己効力感』と訳されますが、自分のことが好きになり自信が持てる状況です。
セルフエフィカシーである自己効力感が低下すると、自分のことが好きになれず自信が持てません。
『きっと上手く行く』という思考と、『また失敗したらどうしょう・・・』という思考です。


EQを学ぶことは、自分自身をより理解して、特にまだ自分自身でも気づいていない能力や才能を伸ばすことがポイントになります。
そして、相手のことを理解して、自分と相手の状況を常に良好な状態に維持することがポイントです。
今、世界で起きていることは『価値観の違い』による衝突です。
価値観が違っていても、自分がなぜそう感じるのか、相手がなぜそう感じるのか、そして、自分と相手の価値観が違う場合でも、衝突や対立するのではなく気持ちよく、気分良く、楽しく、面白く、心を込めて、丁寧に取り組むことが理想だと思います。
『ゆっくり』ということは、『遅い』ということではありません。
特に、『時間』にストレスを大きく感じる人が多い中で、『ゆっくり』ということは、『丁寧に』対応することだと思います。
『急がば回れ』恐らく、このことは、とてもEQの高い人が残した言葉ではないかと思ってしまいます。

プロフィール
一般社団法人EQR&D協会 特別認定講師
アクティブブレイン協会 認定講師
一般社団法人CCS 代表理事
株式会社ザイム 代表取締役社長

1963年大阪生まれ。関西大学法学部卒。10年間の会社勤務を経て33歳から個人事業をスタート。35歳で法人化。現在4つの会社を経営。
20歳より200回近く50ヵ国ほどに海外旅行。海外で過ごした時間は7年間。日本国内も多数旅行。健康は20年以上取り組むライフワーク。現在年齢は56歳ですが、体脂肪率は9%
肉体実年齢は20代を維持。特に、記憶力のトレーニングとEQ研修を通じて人生と仕事だけではなく、健康と人間関係、経済面に至るまでEQの必要性の理解を深める活動を全国で展開中。ストレスとストレス対処力も数値化して専門分野の医学博士とコラボしたビジネスモデルも新規事業として取り組んでいる。
2019年8月28日|カテゴリー「さまざまな分野
とても簡略化して簡単にいうと、
IQは考える力。
EQは感じる力です。
この2つはとても重要です。IQとEQの2つの要素の組み合わせは4つあります。
EQとIQのイラスト
①IQ低EQ低タイプ
IQとEQの両方ともに低いために、『とても残念な人』になります。例えば、仕事では、長続きすることなく、すぐに辞めてしまいます。また、学ぶことが苦手か嫌いで、物事を深く真剣に考えるという習慣が少ない傾向です。感情のコントロールに対しても特に何も対処することなく、ストレスは常に発散型で、ストレス発散による別の新たなストレスを生み出します。
 
②IQ高EQ低タイプ
IQは高いため頭はいいと評価されます。わかりやすい例は、高学歴の政治家です。EQが低いために、相手の感情を逆なでする問題発言が目立ちます。また、普段から命令口調と威圧的で、偉そうという印象を相手に与えるために『嫌われる人』になることが多いようです。

③IQ低EQ高タイプ
EQが高いために自分の感情や相手の状態が把握できるのですが、考えることに重点を置いていないため、思ったことをそのまま口にします。口は災いの元になる人です。時には、『愛想がいい人』だけで終わってしまうことも多々あります。好きなことや得意なことに取り組む時と、嫌いなことや苦手なことに取り組む時は、別人のように変貌してしまいます。
 

④IQ高EQ高タイプ
IQとEQの両方か高い理想のゾーンです。相手に対する思いがあり、知的で知性があり、人間関係では信用も高くなり人脈も広くなります。常に、態度や姿勢も意識して、多方面に気配りもできるので、視野も広くなります。考える能力、感じる能力が高く、予期せぬ突発的なことにも、冷静に対応ができます。ストレス対処力も非常に高いので途中であきらめることがほとんどありません。

【同じことに3つの行動パターン】

例えば、100メートルを15秒で走れるかどうか質問してみます。

EQの低い人は、『無理です』即答です。行動せずにあきらめます。

EQの平均的なレベルの人は、走ってみないとわからないので、走ってみます。
結果は、16秒。密かに15秒以内で走れると思っていましたが・・。
そして、結果に対して、落ち込みます。15秒で走れなかったことに対してショックを受けます。

EQの高い人の場合、同じように走ってみて、結果は16秒。
15秒以内で走れませんでしたが、落ち込むことなく、どうすれば、あと1秒短縮して15秒で走れるか考えて対策を取ります。
あるいは、実際に、15秒以内で走れる人にアドバイスを受けます。落ち込むという行動はありません。


同じことに対しても、EQの低い人と、平均的な人、高い人の対応が違うところが興味深いです。

付け加えるなら、EQの高い人は、頭の中でハッキリして明確化されています
100メートル9秒は、できないゾーン。
20秒はできるゾーン。
15秒は走ってみないとわからないゾーン。
そして、14秒で走りたいという願望。
①できること、②できないこと、③どちらか試してみないとわからないこと、④将来的な願望や目標。
この4つが整理されてハッキリしています。

EQの低い状態では、このようなことが頭の中で整理されないまま、複雑に入り混じっています。
なので、選択や決定にとても時間がかかり、結果に対して一喜一憂しすぎてしまいます。

プロフィール
一般社団法人EQR&D協会 特別認定講師
アクティブブレイン協会 認定講師
一般社団法人CCS 代表理事
株式会社ザイム 代表取締役社長

1963年大阪生まれ。関西大学法学部卒。10年間の会社勤務を経て33歳から個人事業をスタート。35歳で法人化。現在4つの会社を経営。
20歳より200回近く50ヵ国ほどに海外旅行。海外で過ごした時間は7年間。日本国内も多数旅行。健康は20年以上取り組むライフワーク。現在年齢は56歳ですが、体脂肪率は9%
肉体実年齢は20代を維持。特に、記憶力のトレーニングとEQ研修を通じて人生と仕事だけではなく、健康と人間関係、経済面に至るまでEQの必要性の理解を深める活動を全国で展開中。ストレスとストレス対処力も数値化して専門分野の医学博士とコラボしたビジネスモデルも新規事業として取り組んでいる。
2019年8月21日|カテゴリー「さまざまな分野
EQとは、『感情』であるエモーション(emotion)の指数です。
知能指数であるIQは、漢字や数字、歴史や科学などの多くの学問を通じて、知能の状態を数値化して、頭の能力を判断するデータとして使われます。感情や心の状態は目に見えにくく数値化しにくいものです。
簡単には、EQとは、自分の感情の状態や状況を認識すること。そして、相手のことも理解ができるかどうか。
最終的には、自分自身のこと自分と相手、自分と組織や社会との対応をどう対処対応するかという能力。

『ストレス対処力』と『目標達成力』
  Aタイプ/高い:高い
  Bタイプ/高い:低い
  Cタイプ/低い:高い
  Dタイプ/低い:低い
イラスト



Dタイプの人は、『ストレス対処力』と『目標達成力』両方低い人です。
このタイプの人は、できるだけのことにしか取り組みません。少し難しいと思うことや、苦手意識のあることは避けてしまいます。仮に、取り組んだとしてもすぐに途中で止めてしまいます。


Cタイプの人は、『ストレス対処力』が低く『目標達成力』は高い人です。
得意な分野や好きなことには積極的に取り組みますが予期せぬことが起きたときや、上手く行かないときは、その状況を自力で解決することが難しくなります。

Bタイプの人は、『ストレス対処力』は高く『目標達成力』が低い人です。
ストレス対処力が高いので何事にも粘り強く取り組みますがその状況にあった適切な解決方法や行動が思いつきにくく、自分に自信がなかなか持てません。

 
Aタイプの人は、『ストレス対処力』と『目標達成力』の両方が高い人です。
このタイプの人は、初めて取り組むことや苦手なこと思いがけないことに対しても、冷静に取り組んで、解決するための最善の方法を模索します。責任感も高く最後まで取り組みます。
プロフィール
一般社団法人EQR&D協会 特別認定講師
アクティブブレイン協会 認定講師
一般社団法人CCS 代表理事
株式会社ザイム 代表取締役社長

1963年大阪生まれ。関西大学法学部卒。10年間の会社勤務を経て33歳から個人事業をスタート。35歳で法人化。現在4つの会社を経営。
20歳より200回近く50ヵ国ほどに海外旅行。海外で過ごした時間は7年間。日本国内も多数旅行。健康は20年以上取り組むライフワーク。現在年齢は56歳ですが、体脂肪率は9%
肉体実年齢は20代を維持。特に、記憶力のトレーニングとEQ研修を通じて人生と仕事だけではなく、健康と人間関係、経済面に至るまでEQの必要性の理解を深める活動を全国で展開中。ストレスとストレス対処力も数値化して専門分野の医学博士とコラボしたビジネスモデルも新規事業として取り組んでいる。
2019年7月17日|カテゴリー「さまざまな分野
こんにちは、組織開発ファシリテーターの嶋田至です。
前回は、「心理的に安全な場づくり」について伝えしました。
    
人々の知恵を集めるためには、まずはどんなことでも発言できる場をつくることが必須です。
でも、それだけでは不十分です。
知恵や力を成果につなげていくためには、全員のベクトルを合わせることが求められるからです。
   
今回は、「目標に向かって真剣に関わる場づくり」についてご説明します。
   
会議やミーティングには、かならず目的(議題)や目標(成果目標)があります。
でも、話しあっている途中で目的や目標が見失われたり、そもそも目的や目標が明確でなかったような経験はありませんか?
   
「ここで、何を発言すればいいのだろう?」
「今日の会議では、どこまで決めたらいいのだろう?」
     
また、なぜ自分がここに集められたのかが、わからない場合があるかもしれません。
そんなときは、斜に構えたり、会議が終わるのを黙って待っていたりしがちです。
   
私たちが力を合わせるためには、目的や目標が明確であることが必要です。
不明確であったり、あるいは人によって理解が異なっていると、力が合わせられなくてバラバラな状態になります。
     
「この話しあいの目的をあらためて確認しませんか?」
「この会議ではどこまで決めたらいいのでしょう?」
   
話しあいの冒頭、そんな確認があれば、みんなの参加意欲は高まるのではないでしょうか。
「この議題をあつかうことは、私たちにとってどんな意味がありますか?」と問いかけると、一人ひとりがこの場にいる意味が、あらためて明らかになるかもしれません。
    
目的や目標が共有されたら、話しあいをすすめていきましょう。
話しあいの時間は限られていますから、まず進め方を決めるのがいいと思います。
  
「最初の5分で課題を共有して、次の10分でアイデア出しをしましょう。そのあとは...」など、時間配分とともに決めていくのがいいと思います。
   
ここで大切なことは、一人で決めないことです。
「私はこんなすすめ方がいいと思う」と提案して、みんなの合意を得ることが大切です。
「目標に向かって真剣に関わる場」は、小さな合意の積み重ねによってつくられます
   
「この人に任せておけばいい」と思われると、知恵も力も出にくくなります。
一人が引っ張るのではなく、全員が話しあい合意しながらすすめていく雰囲気をつくっていくことが大切です。 

合意の画像

以上、3回にわたってファシリテーションの基本的な考え方をお伝えしました。
   
みんなの知恵と力を合わせられる場をつくるために、できることから試してみてください。
ちょっとした発言や行動が、「場づくり」につながります。
できれば、話しあいの後、「試してどうだったか」を話しあうのがいいでしょう。
それは、ファシリテーションの学習の機会になるはずです。

【お知らせ】
8月24日(土)大阪産業創造館で「『関係の質』を高めるファシリテーション講座」を開催します。ファシリテーションに興味をもたれたら、ぜひご参加ください。




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合同会社 チーム経営(LCCチーム経営)
代表:嶋田 至 氏

大手造船会社グループでITに関するプロジェクトマネジメントや事業開発を担当したり、企業の設立や経営に参画するなか、チーム運営や人材育成のスキルを経験的に身につけた。
その後、組織開発やファシリテーションを学び、いま、自分の経験を活かして、さまざまな組織に向けた研修やコンサルティングをおこなっている。
チームづくりを促す支援的リーダーシップや、自律的な成長を促す内省(リフレクション)支援、会議やミーティングの生産性をあげるファシリテーション、組織内の双方向のコミュニケーションの活性化、リーダーのレジリエンス向上のための研修など、おもにリーダー層を対象とした研修をおこなっている。
受講者が自らの体験を内省することで主体的に学んでいく研修(ラボラトリー方式の体験学習法)を得意としている。
2019年7月10日|カテゴリー「さまざまな分野
こんにちは、組織開発ファシリテーターの嶋田至です。
前回は、ファシリテーションとは「場づくり」であることを伝えしました。
         
今回と次回は、「場づくり」について、もうすこしくわしくご説明しようと思います。
今回は、「心理的に安全な場づくり」について。
   
心理的に安全な場とは、「こんなことを言ったらバカにされないか」、「こんな発言をしたら怒られないか」といった不安が払拭されていて、率直に意見や思いなどを発言できる場のことです。

米国のグーグル社で高業績をあげるチームの特徴を調べたところ、どのチームも心理的な安全が確保されていたことから、最近この言葉が注目されるようになりました。
    
人は誰でも、他者と一緒になにかに取り組むとき、不安な気持ちが生じると言われています。
      
たとえば、「私はここにいていいのだろうか」、「メンバーとして認めてくれるだろうか」という不安です。
また、「どこまで本音を聞いてもらえるだろう」、「上司と異なる意見を言うと叱られないだろうか」、
「知らないといったらバカにされるのではないか」など、率直なコミュニケーションにブレーキをかける不安があります。
「なんのために集められたのか」、「ここで私は何を期待されているのか」といった、目的や目標に関する不安もあります。
   
不安な気持ちが強いと、黙ってしまったり、本音を隠してまわりの話題に合わせてみたり、あるいは自分を守るために誰かを攻撃したりすることもあります。