『RPA時代の事務を考える (1)』 Author:宮崎 敬

2020年3月18日|カテゴリー「『ビジネストレンド』コラム
こんにちは、株式会社オフィスソリューションの宮崎です。
これから「RPA時代の事務を考える」というテーマで、3回にわたりお付き合いいただきますのでよろしくお願いします。

コロナウイルス感染の影響は、これまで体験したことない規模とスピードで世界中に広がっています。
みなさんも仕事や家庭生活で大きな制約を受けていることと思います。
このような状況の中で、急遽テレワークを体験された方も多いと思います。
クラウドやチャットを活用すれば場所が離れていても仕事ができ、また移動時間の節約等により生産性も上がると実感された方もいると思います。
しかし、生産性向上に本気で取り組むためには、業務改善や機械化を通じて仕事の中身を効率化していくことが不可欠です。
そして、機械化に関しては、近年日本でもRPA(Robotic Process Automation)の導入が進んでいます。
もうご存知の方も多いと思いますが、これはいわゆる「ロボット」ではなく、自動的に処理を進めるパソコンソフトです。

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RPAは夜中でも文句ひとつ言わずに延々と働いてくれますが、
「これはちょっといつもと違う処理のようだから、念のためにリーダーに確認してみよう」
などと気の利いたことはやってくれません。
機械化をするためには、その仕事をできるだけ定型化する必要があります。


ホワイトカラー業務の生産性が低いと指摘されてきた大きな原因のひとつに、オフィス業務の定型化、標準化が難しいということがあげられます。
まず、仕事の手順が担当する人の頭の中だけにしまってある状態だと、外側からは見えません。
ベテランの人が人事異動や退職で不在になった際に後任の人が苦労することがありますが、この状態では機械に代わってやってもらうことは不可能です。

さらに、多くの企業が差別化戦略としてお客さまごとの個別ニーズにきめ細かく対応する努力をしています。
その結果、個々の特殊処理が積み重なると仕事が「少量多品種」となり、大量生産のモノづくりのようには機械化を進めることができません。

また、金融機関など業務量の多い業種では、これまでにかなりの部分が基幹システムやサブシステムにより機械化されており、そこからはみ出たものが人間の作業として残っているとう面もあります。
機械化の選択肢としては基幹システムからエクセルマクロまであり、RPAもそのひとつです。
今後、生産性向上、業務効率化のためにはRPAやエクセルマクロのような小回りの利くツールをもっと活用したいですね。
そのポイントについて、次回お話したいと思います。

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株式会社オフィスソリューション 
代表取締役 宮崎 敬(みやざき たかし)

早稲田大学法学部卒業後、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社し、証券代行、外国証券管理等の事務サービス業務領域で現場マネジメントを経験。
その後、同社グループ内関連会社4社において常務取締役を歴任するとともに、研修開発・講師を5年間担当し好評を得る。
事務マネジメントに関する経験と研究成果を「事務学」として体系化し、社内外での講演、セミナー、業務改善プロジェクト指導の実績多数あり。
早稲田大学理工学術院創造理工学研究科修士課程(経営工学)2011年修了
公益社団法人 日本経営工学会 
一般社団法人 日本品質管理学会 
特定非営利活動法人 リスクセンス研究会(理事) 
特定非営利活動法人 失敗学会 

主な著書:「現場からはじめる働き方改革」「事務ミスを防ぐ知恵と技術」「事務のプロはこうして育てる」
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