『初対面の人の心をつかむ会話術』 Author:岩槻まなみ

2018年5月23日|カテゴリー「『ビジネスコミュニケーション』コラム
こんにちは。ビジネスメンタリストの岩槻まなみと申します。

ビジネスでは、初対面同士がお互いを認知し合うために名刺交換からスタートします。
その際、恐らくあなたもそうだと思いますが、私たちは名刺交換後すぐに本題に入らず雑談をします。それは何のためでしょうか。そう、その場の雰囲気を和ませるため。そして、それ以上に得たいのが「相手に好感をもってもらい、信頼関係を築く」ためです。

こんな実験結果があります。初対面の人との雑談において、天気やニュース等の当たり障りのない話しをいくらしても、心の距離は縮まらない、というものです。
では、「あなたともっと話したい!」、「この人は信頼できそうだ!」と心の距離を縮め、相手の心をつかむためにはどのような会話をすればいいのでしょうか。
そのためには、目的を持ちます。相手と自分との共通点を探すという目的です。実験でも、自然に雑談してもらったグループと、目的を持って共通点を探してもらったグループでは、共通点を探したグループの方が、親密になり信頼度が高まりました。

共通点を探す方法は、次の3ステップです。

ステップ1.仕事に関係のない自分を現す言葉を3つ決める。
例えば、私の場合は、子どもが二人、犬好き、温泉好き。これらを簡単に雑談の中で話すことによって、相手にお子さんがいたら“子ども”、ペットを飼っていたら“犬”、旅行が好きな人なら“温泉”という言葉が心にひっかかります。そして、この人は初対面なのに、自分に個人的なことまで話してくれたという事実によって、「この人は信用してもよさそうだ」という心理状態が引き出されるのです。

ステップ2.自己開示の返報性によって、相手との距離感が一気に近づく。
「私、犬が大好きで」と聞くと、「え!私もそうです」、「うちにはプードルがいます」等と無意識に自分の情報を出してしまうこと、ありませんか?
人は、相手の自己開示に対して「相手がそこまで話してくれたなら、自分もちょっと話さないと何だか悪いな」と思うのです。これを「自己開示の返報性」と言います。
人は自分と同じような体験をしていたり、自分と似ている人に心を許します。だからこそ、自己開示によってお互いの共通点が見つかると、相手との距離感が一気に近くなるのです。

ステップ3.オウム返しをしながら質問する。
相手が自分の話を話し始めたらオウム返しをしながら質問していきます。
私:「私は温泉巡りが趣味なのですが、ご趣味は何ですか?」(※自己開示をして質問します)
相手:「ゴルフです」
私:「ゴルフなんですね」(※オウム返し)
私:「私はやったことないのですが、とても興味があります!」(※例えゴルフをしたことがなくても話しを切らないように。そして質問します)
私:「ゴルフは月に何回くらいコースを回られるのですか?」

オウム返し

話を聴いて、その言葉を繰り返すというのはとても大切です。相手は興味をもって自分の話しを聴いてくれていると感じるからです。そこから「ドライバーを買いかえたばかり」や「今週末にコースに行く」という情報があったらメモをしておきます。次回会ったときの話題に困りませんし「そんなことも覚えてくれていたの?」とさらに好感度があがります。
実は、相手の心をつかむのは仕事の話ではなく、こういったプライベートの話しなのです。

ここで大事なことは、こちらの自己開示は呼び水なので、相手が話し始めたら後は聞き役に徹することを心掛けることです。相手の言葉に注意深く耳を傾けていれば、必ず共通点が見つかります。相手と同じ価値観や経験、知識を見つけることで、いい人間関係が作れます。
よりよい人間関係はよりよい仕事をする土台となります。よろしければ実践してみてください。


岩槻まなみ講師
コンピュータ専門学校 講師
企業研修講師
ビジネスメンタリスト

大学卒業後ITソフト開発会社に入社。SE、PCインストラクターとして従事。
その後フリーとなり、専門学校、職業訓練校、企業研修にてIT講師を勤める。受講生が成長する姿を間近で応援できる講師業に幸せを感じている。

仕事だけではなく主婦のマルチタスク経験を存分に活かした実践的な研修内容と、あふれる熱意と母なる優しさをミックスした絶妙な指導力は受講生からの高い評判を得ている。

プライベートで家族の心の病があったことをきっかけに、仕事だけではなく仕事と心と体のバランスについて考える機会を得る。経験をからにコミュニケーション、心理学、メンタリズムを徹底的に学ぶ。現在では、心理的コミュニケーションの専門家として、また経験から自分と同じように自立を目指す女性支援のためのセミナーを実施して好評を得ている。
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