東ロボ君は国立情報学研究所が中心となり、2021年度までにAIの東ロボ君が東大合格を目指すプロジェクトです。
2016年度の直近の成績はセンター試験模試で5教科8科目の合計で525点(平均点は454.8点)ですので、全国の平均点はクリアしています。
ちなみに偏差値では57.1となっています。
この成績はMARCH(明治・青学・立教・中央・法政)といった難関私立大学のいくつかの学部・学科の合格可能性80%以上を示していると言われています。
しかし偏差値80以上を必要とする東大合格には、まだまだ難しいレベルだそうです。
囲碁や将棋の世界で世界有数の棋士を破るまでレベルを上げてきたAIですが、現時点では万能ではありません。
強みもあれば弱みもあります。
まず強みですが、圧倒的なデータ量・機会学習によって成長したAIにとって「一文一答」の問題は、ほぼ90%以上の確率で正解するそうです。
英語で言うと語句の並び替えや、語彙、文法などはほぼ100%に近い確率で正解になるそうです。
しかし、文と文のつながりの理解が必要な複数文問題になると、とたんに正解率を落としてしまいます。
会話文の途中・途中が空白になっている状況を前後の文章から推察する問題は正解率が低いそうです。
この事をコールセンター現場に置き換えると、お客様から一問一答形式の質問だけで解決する問題であれば、近い将来AIでも対応は可能だと思いますが、例えばパソコンサポートにおいて「何か黒い画面が出てきて、変な音がする」という場合に、様々な問題の切り分けとお客様との先読みしたヒアリングが必要になりますので、今のAIでこのテクニカルサポートを解決に導くまでの対応は難しいといわれています。
この問題のオペレーターの場合、画面が黒くなる前にどんな操作をしたのか、今回が初めてか、何度も発生しているのか、もしかしたらお客様が誤ってパソコンを落とした結果かもしれないが、それをお客様から告げられない場合、オペレーターはお客様との会話と会話の文脈を読み解きながら、解決に導いていきますので、会話の文脈に沿って判断をしていくプロセスはAIには苦手な領域になります。
多分近い将来、東ロボ君が東大に合格する日が来ると思いますし、コールセンター現場でも実際のAI活用事例が大手都市銀行で開始されていますので、今苦手と言われている領域も、私たちが想像している以上に早くAIが克服するかもしれません。
10年ひと昔と言われますが、5年後、10年後どんな世界が待っているのか、今から楽しみでもあり、脅威でもあるかもしれません。