新型コロナ禍において、生活様式や働き方が、今までとは比べ物にならないくらい新しい形に変化してきています。
コロナ禍が落ち着いた後も、一度経験した新しい形から、完全に元の形に戻ることはないでしょう。今後も製造、介護、接客業をはじめ、オフィスワーカーなど、職場の衛生対応は継続され、在宅勤務の奨励も継続されていくと考えられます。

このような状況の中、2019~2020年の人材派遣業界の業界規模は4兆4,897億円、平成6年以降から現在まで緩やかに増加を続けています。
慢性定期な人材不足と、コロナによる不況によって解雇が進み、新規派遣登録者は伸びる傾向にあります。
人材派遣業界は、今が登録スタッフを増やすチャンスと考えることもできます。新たに人材派遣業を検討される企業様もいらっしゃるかと思います。

今回は、派遣会社を始めるには何をすればよいのか、まずは労働者派遣事業許可の取り方についてポイントをご紹介いたします。

目次 

労働者派遣事業許可を取るための確認事項
一般派遣事業許可要件の欠格事由と許可基準
欠格事由
許可基準
イ・この派遣事業が特定の企業にのみ派遣を行う目的でないこと
ロ・適切な雇用管理がなされていること
ハ・個人情報の管理を徹底していること
二・派遣事業を適正に遂行できる能力があること
資産要件
事業所要件
派遣元責任者の選任について
労働者派遣事業許可の申請準備
労働者派遣事業許可の申請に何が必要か
▼申請手数料
▼申請書類
信頼性のある派遣会社として取っておくとよい認定制度
・優良派遣事業者認定制度
・プライバシーマーク
派遣元会社にお勧めサービス
労働者派遣事業許可を取るための確認事項
まず、派遣業を行うにあたって、一般派遣事業許可要件、つまり派遣業を行う資格があるかどうかをチェックする必要があります。
法的には、許可を受けるためには、欠格事由(法第6条)に該当せず、許可基準(法第7条第1項)を満たす必要があるとされていますので見ていきましょう。

一般派遣事業許可要件の欠格事由と許可基準
欠格事由
労働者派遣事業の欠格事由(法第6条)
・事業者が刑事罰などの法に触れていない

刑法はもとより、労働基準法や職業安定法、最低賃金法などなど、事業者が法を犯していないかどうかなので、法人だけではなく役員も含まれますが、ここはそこまで気にしなくてもほとんどの企業様は大丈夫かと思います。

許可基準
労働者派遣事業の許可基準(法第7条第1項)
イ・この派遣事業が特定の企業にのみ派遣を行う目的でないこと
ロ・適切な雇用管理がなされていること
ハ・個人情報の管理を徹底していること
二・派遣事業を適正に遂行できる能力があること

確認すべきは上記4つです。
順にみていきましょう。

イ・この派遣事業が特定の企業にのみ派遣を行う目的でないこと
こちらは、専ら派遣(もっぱらはけん)の禁止ということですので、複数の顧客企業に対して派遣社員を派遣する通常の派遣業を行うということであれば問題ないでしょう。

ロ・適切な雇用管理がなされていること
適切な雇用管理がなされているかについては、下記の確認が必要です。

a.キャリア形成支援制度を有していること
(キャリアアップ教育訓練、キャリアコンサルティング)
b.派遣労働者に対する適切な雇用管理能力があること
(派遣元責任者の選任、社会保険・労働保険の加入、職務代行者など)
c.キャリアアップ以外の教育訓練
(a以外の教育、安全衛生教育やその他の教育訓練)

キャリアアップ教育訓練については、きちんとした教育計画と毎年6月の事業報告書への記載が義務付けられています。令和3年1月からは、キャリアアップ教育訓練とキャリアコンサルティングについて、雇入れ時の説明義務も追加されました。派遣許可申請を行う前に準備しておくことが重要です。

ハ・個人情報の管理を徹底していること
個人情報の管理について、つまりは派遣登録者がいる派遣会社は、個人情報保護法に沿った情報の管理を行うことが求められるということになります。

二・派遣事業を適正に遂行できる能力があること
派遣事業を適正に遂行できる能力があること、こちらは許可基準の中でも特に重要な、資産要件と事務所要件が含まれます。

資産要件
「資産要件」の内容は下記の通りです。

直近決算書で、基準資産が2,000万円×事業所数以上である
直近決算書で、現金預金が1,500万円×事業所数以上であり、負債総額の7分の1以上ある
事業所が複数ある場合はその数だけ掛け算した分が必要です。
事業所が一つだけなら、確認すべきは直近決算で、預金残高1,500万円以上、純資産2,000万円があるかです。

事業所要件
「事業所要件」は、派遣事業所として使用できるかどうかのチェックです。
以下の要件をすべてクリアする必要があります。

事業で使用し得る面積が20平方メートル以上あること
使用目的が事務所であること(賃貸借契約書の目的とあっている)
事業所の独立性が保たれていること(別法人が同居していないか)
個人的秘密を保持し得る構造であること(鍵付きキャビネット等の設置)
風俗営業が密集する等事業の運営に好ましくない場所にないこと
申請時に労働局による事業所の実地調査が必ず行われます。
派遣元責任者・職務代行者の席があるか、個人情報を保護できる鍵付きキャビネット等が用意されているか、研修・面談スペースが確保されているか、社名表示されているかなど、事務所要件を確認されます。

派遣元責任者の選任について
会社として要件が確認出来たら、もう一つ重要なのが、派遣元責任者です。
事業所ごとに派遣元責任者を選任する必要があります。
また、派遣元労働者100人ごとに1人以上を選任しなければいけません。

派遣元責任者を選任する際には、まず欠格事由に該当せず、3つの条件に当てはまる人である必要があります。

まず派遣元責任者の欠格事由について、まとめると下記の通りです。

禁固刑又は労働基準法違反などにより懲役・罰金の刑に処され、その執行を受ける事ができなくなってから5年を経過しない者
成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
労働者派遣事業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
未成年者である者
外国人で一定の在留資格のない者
次に、派遣元責任者になるための条件は次の3つです。

派遣元責任者の業務に専任できること
3年以上の労務管理経験があること
3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること
1つ目の、派遣元責任者は、派遣先企業や派遣労働者からの苦情・相談があった場合、いつでも対応できる体制を整える必要があるため、派遣元責任者自身が、派遣労働者として労働することはできません。
また、他の会社の役員や従業員となっている場合も、派遣元責任者としては認められませんので注意しましょう。

2つ目の「成年到達後、3年以上の雇用管理経験」必要とされています。
雇用管理経験がない人は派遣元責任者になれませんので、派遣元責任者講習を受けても無駄になります。注意しましょう。

また、「雇用管理経験」は次のような経験のことを指します。

人事または労務の担当者(代表者や管理職など)
派遣事業で、派遣労働者や登録者の労務を担当していた者
その他、次のような経験がある者
a)成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
b)成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
c)成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
3つ目の「3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること」については、派遣元責任者講習を受けてから3年経過している人は、再度受講しなければいけません。また、新しく派遣事業を行うにあたっては、申請に先立って派遣元責任者講習を受けておく必要があります。予約制となっていますので、早いうちにスケジュールを確認しておきましょう。
講習の日程や予約については、厚労省サイトでご確認ください。

▼派遣元責任者講習の講習機関一覧

労働者派遣事業許可の申請準備
労働者派遣事業許可の申請に何が必要か
ここからは、労働者派遣事業許可の申請の準備として何が必要かについてご説明します。

▼申請手数料
登録免許税 90,000円
収入印紙代 120,000円(2事業所目以降は1事業所につき+55,000円)

複数の事業所がある場合も、まとめて会社単位で行います。
事業所が2つなら、120,000円+55,000円で175,000円の収入印紙代が必要です。

▼申請書類
労働者派遣事業許可申請書(様式第1号):3部(正本1通、写し2通)
労働者派遣事業計画書(様式第3号):3部(正本1通、写し2通)
(複数事業所を同時に申請する場合、事業所ごとに作成)
キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2):2部(正本1通、写し1通)
さらに上記申請書類に添付する書類が18種類あります。
それぞれ用意することはそこまで難しいものではありませんが、非常に多くの書類が必要になるため、準備には時間がかかることを想定しておきましょう。

定款または寄付行為
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
役員の住民票
役員の履歴書
派遣元責任者の住民票
※役員が兼務する場合は不要
派遣元責任者の履歴書
※役員が兼務する場合は不要
派遣元責任者講習の受講証明書
※許可申請日前3年以内に受講したもの
最近の事業年度における貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書
※会社設立後最初の決算期を終了していない法人は会社成立時の貸借対照表のみ
最近の事業年度における法人税の納税申告書
※会社設立後最初の決算期を終了していない法人の場合は不要
最近の事業年度における法人税の納税証明書
※会社設立後最初の決算期を終了していない法人の場合は不要
事業所施設に関する書類
※建物の登記事項証明書または建物の賃貸借契約書
個人情報適正管理規程
自己チェックシート(様式第15号)
就業規則又は労働契約の該当箇所(写し)
就業規則(労働基準監督署の受理印があるページの写し)
派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引、マニュアル等又はその概要の該当箇所の写し
キャリアアップに資する教育訓練(整理用シート)
企業パンフレット等事業内容が確認できるもの

派遣事業開始以後の6月の事業場報告や3年ごとの許可更新申請などの手続についても備えておくと良いでしょう。

信頼性のある派遣会社として取っておくとよい認定制度
その他、労働者派遣事業を行うにあたっては、優良派遣事業者認定制度とプライバシーマークを取得できると有利かと思います。信頼性のある派遣会社であるという証であり、派遣先や派遣登録者への信頼を得ることができるでしょう。

・優良派遣事業者認定制度
厚生労働省から委託された認定機関の審査を受け、基準を満たしたと判断された派遣会社が認定をもらうことができます。

法令を遵守しているだけでなく、派遣社員のキャリア形成支援やより良い労働環境の確保、派遣先でのトラブル予 防など、派遣社員と派遣先の双方に安心できるサービスを提供できているかどうかについて、一定の基準を満たし た派遣事業者を「優良派遣事業者」として認定する制度です。

・プライバシーマーク
1998年から一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営する制度で、個人情報保護の体制や運用の状況が適切であることを認定するものです。
日本産業規格「JIS Q 15001 個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」の基準に適合した事業者のみ「プライバシーマーク」の使用が認められます。
 
 

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