「QWL(Quality of Working Life)」は1970年ごろに一般的なものになっていった概念と言われています。
それまでの欧米は、経済成長下の大量生産方式による労働の機械化や標準化が進んでおり、労働者はその仕事に適応することが求められている状況でした。
しかし、その労働環境に過剰に適応しようとした結果、労働者の精神へ悪影響を及ぼし、人間性の喪失にまで至るといった状況を生んでいたとされています。
そこで、労働者が人間性を回復し、充実感ややりがいを持って働けるよう、労働生活の質の向上をめざすための取り組みとして、「QWL」が提唱されました。
現代では、働くことに対する価値観の多様化のもと、「QWL」よりも「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」や「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」といった考え方が「働くこと」のテーマの中心となることが多いようです。
しかし、労働によって肉体だけでなく精神への悪影響や人間性の喪失に至るリスクが全く無くなったわけではありません。
これからの働き方を考えるとき、この「QWL」の視点も忘れずに頭に入れておきたいものです。