経験学習モデルとは|人材育成用語集

経験学習モデルとは、アメリカの組織行動学者デイヴィッド・コルブ氏によって提唱された経験を軸とした学習モデルです。経験した体験を振り返り、別のシーンにおいても応用して試してみるサイクルを行うことで、経験から業務の知識やスキルを得ることができます。

雇用方法が多様化し、人材の育成方法も見直されている近年において、経験学習モデルは新たな人材育成の手法として注目されています。

経験学習モデルのメリット

経験学習モデルを活用するメリットは、従業員のスキル・生産性の向上が年齢に関係なく期待できることです。仕事の現場で得られる日々の経験が、能力の開花につながっていきます。

生産性の向上

経験学習モデルのサイクルでは、「振り返ること」と「考えること」を必ず行います。日々行動し、反省して次に向けて応用方法を考えることで、着実に知識とスキルは蓄積していきます。同じ業務をするにしても生産性は上がりますし、別の業務に取りかかる際にも過去の経験から応用方法を蓄積しているため、何もしていない人よりも生産性は高いでしょう。

年齢問わず学びの機会を得られる

従業員の年齢を問わず、学びの機会を与えられることも経験学習モデルのメリットです。少子高齢化による人口減少によって働き手が不足している日本社会では、人材確保はもちろんですが入社後の従業員の生産性の向上・業務の効率化は、改善しなければならない問題です。個人でやるにしろ、集団でやるにしろ、自分の経験を省みることで現実の問題に対する気づきが生まれやすくなるでしょう。

経験学習モデルの4つの構成要素

経験学習モデルを提唱したデイヴィッド・コルブ氏は、以下の4つのプロセスを繰り返すことによって従業員の成長を促すことができるとしています。

1.経験(Concrete Experience)
2.省察(Reflective Observation)
3.概念化(Abstract Conceptualization) 
4.実践(Active Experimentation)

1.経験(Concrete Experience)

経験学習モデルの最初のステップとなる「経験」は、マニュアルに沿うのではなく、自ら考えて行動することが重要です。ビジネスでは思考行動に柔軟性が求められるシーンが多く、自ら考え臨機応変に対応できる人材が求められます。そのため、上司や先輩からの指示で動くのではなく、自分で考えて行動しその経験をもとに振り返りを行うのです。

2.省察(Reflective Observation)

具体的な経験を得たら、そのプロセスについて「省察」を行います。考えて行動しどうなったのか、結果ではなくプロセスに着目して反省します。自らの経験を振り返るときは、成功した時ではなく、失敗した時の省察を重点的にすることをおすすめします。時には、上司にも意見を聞き、結果に対してなるべく多角的に捉えるように心がけましょう。

3.概念化(Abstract Conceptualization)

省察での気づきをもとに他の業務でも活かせないかを考えるのが「概念化」です。自分の行動から得た経験を概念化することができれば、職場内の他の業務でも生産性を向上させることができるかもしれません。経験を概念化し情報を体系的に整えることができれば、業務未経験の従業員でも効率的に仕事をすることが期待できるようになります。

4.実践(Active Experimentation)

経験を概念化したら、本当に活用できるのかどうか「実践」します。実際に試すことで想定した通り期待した効果が出るのか実験するのです。試した結果、新たな課題や改善点が浮き彫りになり、それが次のサイクルにつながります。過去の経験に捉われるのではなく、素早く実行することで、プロセスのサイクル循環も早まり、より多くの経験を得ることができるようになるのです。

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