シングルループ学習とは|人材育成用語集

シングルループ学習とは

シングルループ学習とは、過去の成功体験に基づいて問題解決を図ろうとする考え方のこと。「物事の結果を受け行動を改善し、再度その結果を確認する」といったループを繰り返し、問題の解決を行う手法をとる。

ダブルループ学習との違い

シングルループと対になる学習方法とされる「ダブルループ学習」。
ダブルループ学習とは、今まで学習してきた物事や思考の枠組みを意識的に棄却(アンラーニング)し、新しい考え方や思考の枠組みを取り込みながら問題解決を図ろうとする考え方のこと。

ビジネス環境が短期間で急激に変化する現代においては、新たな行動や既存の社会にはない選択肢を生み出す考え方として、社内研修に取り入れる企業も多く注目されている。

これまでの考え方による解決方法や既存の枠組み内で選択肢を模索していくシングルループ学習に対し、ダブルループ学習では過去の成功体験にとらわれず、物事の前提条件を見直すことで新たな解決策を生み出す。シングルループ学習は「改善」、ダブルループ学習は「改革」とも言い換えることもできる。

シングルループ学習とダブルループ学習の具体例

コールセンターにおけるアポイントの売上向上を目的とした解決策を模索すると仮定した場合、それぞれの学習方法では次のような解決方法が想定されます。

シングルループ学習

・電話をかける回数を増やす
・訪問回数を増やす
・成約率を上げるため、郵送や訪問時に使うパンフレットを刷新する
・成約率を上げるため、訪問時に役立つ営業トークスキルを磨く研修を実施する
・定期的に架電の回数を上司が確認する仕組みを作る

上記の解決策はいずれも過去の成功体験や従来の考え方、行動の枠組みを踏襲した解決策です。

ダブルループ学習

・従来の電話でアポイントを取るという手法ではなく、セミナーやSNS広告から無料相談につなげ成約を獲得する
・従来は営業マンが訪問先まで足を運んでいたが、オンライン上で販売できるECサイトを開設する
・顧客情報をデータで管理し、自動メール配信機能を設定することで、集客を図る
・これまで設定されていた売上目標数値が妥当なものか再検討し、場合によっては売上目標を適切な数値に修正する

ダブルループ学習は、既存の考えや枠組みにとらわれない考え方をするのが特徴です。新しい発想が生まれることで、シングルループと比較してより多くの選択肢から最適な解決策を選択することが可能になります。

シングルループ学習の弱点

現状の枠組みから解決策を導き出そうとするシングルループには、問題に取り組む前の前提条件を疑うプロセスが存在しません。そのため、下記のような問題が発生することが可能性として考えられます。

・学習者の成長スピードが遅い
・問題を解決できない場合がある

学習者の成長スピードが遅い

シングルループが「改善」、ダブルループが「改革」と表されるように、シングルグループだけで問題の根本解決を図るのは難しいといえます。今ある枠組みの中で解決策を考えるため、既存の解決策が持つ数値以上の成果を期待することができず、現状の考え方の範囲をループすることになるためです。

例えば、コールセンターの売上を上げる解決策として「架電回数の増加」を掲げた場合、1人の社員が電話をかけられる回数には限界があります。同様に「パンフレットの刷新」という施策が必ずしも成約率の上昇につながるとは限らないといえるでしょう。つまり、現状の考え方を脱しない限り、最終的な目標に近づくのは難しいのです。

問題を解決できない場合がある

シングルループ学習における前提条件に立ち返らないという特性は、問題の最適解を見つけにくいというデメリットを生み出します。例えば、売上目標の達成に向けて組織の改善を試みても、前提条件である目標数値が適正なものでなければ解決は困難です。既存のやり方が効率的でない限り、軌道修正をする機会が少なくなってしまうのはシングルループの弱点といえます。

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