2006年 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作です。
当社でも数名、私が「推奨図書」だとご紹介し、本書を読んでくれた人がいます。
この本は、第二次世界大戦における、日米戦争の中で最も歴史に残る戦いと言われた
硫黄島の戦いを将軍として率いた、栗林忠道さんについて描かれた本です。
栗林さんの、陸軍中将として戦いを率いたリーダーとしての顔と、
妻子を持つ一家の良き旦那、父親としての顔が、随時クロスされながら、
様々な関係者の証言、史実、文書を交えつつ、ストーリーが進んでいきます。
硫黄島には滑走路があり、サイパン陥落後、本土防衛の要とされました。
ここを占領されれば、そこから米軍が飛行機をバンバン飛ばして
本土に空襲をしまくれるようになってしまう、ということで非常に大事な戦いの地となってました。
17年前に読んだ時には、たとえもう勝ち目が無くなってしまっていることが分かったとしても、
他の戦地で日本人が当時定番としてやっていたバンザイ突撃は決して許さない、自決も決して許さない、
最後の最後まで、ゲリラ戦に徹し、ギリギリのギリギリまで米軍を苦しめ、
本土攻撃の日をできるだけ遅らせる、あわよくば米国の倦戦ムードを醸成し和解交渉に持っていく、
そのために、血の一滴まで部下たちに戦わせる、水涸れ、弾尽きている過酷極まる戦地においても…
無駄死には絶対させない、必ず部下たちに意味のある死なせ方をさせる、大切なひとを守るために命を限界まで使い尽くさせる
そのことを厳格なまでに貫き、最後は自らも部下たちと一緒になってゲリラ作戦を決行し生涯を閉じる…
そんな栗林さんのヒューマニズムに、慟哭したものでした。声を上げて涙してしまうレベルの本でした。
アマゾンの口コミを見てみてください。
コメント数 168個 ★4.4 out of 5 驚異的な本です。
電車の中など、公衆の面前で読む時はご注意を。
17年後の今、改めて読んでも感動するものでした。
しかし、当時とは違った見方も色々とできて、戦略論やリーダーシップの観点からも学ぶべきところが多くありました。
また何年後か先に読んでみたいと思います。
こんな感じの良い夏休みでした。