第241回【温故知新~時代を超えて~】BY「hiroshi,fujioka」

2018年7月31日|カテゴリー「JBMスタッフブログ(社員ブログ)
最近電車で移動しているときに、スマホで漫画を読んでいる乗客をよく見かける。

以前であれば漫画雑誌を車中で読んでいる人はそれほど多く見かけなかったが、漫画を読みたいと思う人がデバイスの多様化、利便性向上によって顕在化したのかもしれない。

私は普段漫画はあまり読まないが、今回一つの作品を紹介したい。

タイトルは、江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)」。

本作品は江戸時代中期に流行した、山東京伝の黄表紙の代表作。
黄表紙は文芸ジャンルの一つで、絵と文章で構成される現代の漫画のようなものである。

この作品と出会ったのは本当にふとしたことがきっかけであったが、内容が興味深く、ユーモアに溢れていることが紹介する所以でもある。

あらすじを簡単に紹介すると、主人公の艶二郎(19歳)は大金持ちの一人息子でブサメンの非モテ男。
近所の道楽息子などと一緒に、金にモノを言わせてあの手この手でモテ男を目指す、という期待に胸弾ませる物語である。

金にものを言わせて・・・
この艶二郎がモテ男になるための、仲間からの入れ知恵含めた画策がなかなか手が込んでいる。

例えば、

画策①:架空の恋人の名を彫る

恋人がいないにもかかわらず、架空の恋人の名を両腕や指の間にまで痛みをこらえて彫る。
そして「他の女性の嫉妬により彫り物を消した痕があったほうがいいからお灸で消そう」という仲間の指南により、刺青を消してモテている感を演出。


画策②:近所の芸者を買収してファンを演出

役者などの家に熱狂的な女性ファンが思い余って駆け込むのに倣い、近所の芸者を50両で買収してファンと見せかけて自宅に駆けこませる。
そして駆け込ませた芸者に対して、「隣近所に聞こえるようにもっと大きな声で言ってくれ」とさらに10両積んでモテ男感を演出させる。

(しかし周囲の反応は「艶二郎に限ってそんなはずはない」と真に受けない)


画策③:読売を買収して記事にさせる

画策②の噂が広がらなかったため、世間の物事を刷り物にして売り歩く読売を1人1両で買収。
ゴシップを自ら刷り物にして江戸中で配らせ、無理やりに浮き名を流す。

(しかし皆そもそも艶二郎に興味がないため噂は広まらない)


その後も何とかモテ男を演出したい艶二郎の取り組みはさらにエスカレート。
あれやこれやと手を尽くすもことごとく失敗し(中略)、最終的に痛い目に遭って改心する、ということで物語の幕は閉じる。


このような物語が江戸時代の民衆に受け入れられていたと思うと、本の形などメディアは変わっても娯楽を求める人の心は当時も今も変わらないものだと感慨深いものがある。

「これこそ私が求めていた作品だ」と興味をもたれた方に是非お勧めしたい作品である。