この老師は若かりし頃、僧侶になろうと決心し、3年間は家には帰ってこないと両親に啖呵をきって家を出だそうです。
3年、36ヶ月です。
しかしたった1ヶ月、つまり36分の1で厳しい修行に耐えかねて逃げ出そうと考えたそうです。
朝3時半から9時までの座禅そして肉体労働、托鉢など、睡眠時間は毎日1.5時間で腰も痛くて痺れも出てきて、このままでは死んでしまう。
逃げるのに一番いい方法はと考えた結果、今以上に体を酷使してバタンと倒れる、そのまま病院に運ばれ診断書に過酷な修行は困難と診断される、なので家に帰れる、このストーリーをイメージして次の日から実行したそうです。
座禅は腰の痛みを我慢して、今までのように背中を丸めず背筋のばして6.5時間。
肉体労働は今まで以上に頑張る、托鉢は以前の2倍のエリアを歩く。
でも1週間経ってもバタンと倒れない。
もう少し頑張ろう
そうして倒れることなく10日が経ち、夜中にたった一人でお経を上げていたら、ボーンボーンと時計が2時を告げる。
今までは「ああ、2時だ寝ようか、今日も1時間半しか眠られない」と思ってきたにもかからわず、この日は「1時間半も眠られる」と思ったそうです。
この時なぜか「体はボロボロなのに、心は健康だ」ということに初めて気づいたそうです。
それからは何かが吹っ切れた(悟りが開く)ように修行にうち込めたとのことです。