vol.34 :「コールセンター白書2017から見えるコールセンターの今!」〈その4〉

2017年11月15日|カテゴリー「さつき先生 ,さつき先生アーカイブ
パネルディスカッション
こんにちは!さつき先生です。

引き続き、「コールセンター白書2017」から読み解くコールセンターの今!を考察していきます。
今回は先日予告していました、「コールセンター白書発刊セミナー」の際のパネルディスカッションの内容の一部を紹介します。
参加者は、全国に9拠点のコールセンターを運営しているヤマトコンタクトサービス(以下ヤマトさん)のCS推進部長さん、福岡に拠点を持つRAKUTEN DIRECT(以下RDさん)のカスタマセンターの執行役員グループ長さんの2人と私の3人がパネラーで、リックテレコム社のコールセンタージャパン編集長の4人で進行していきました。
テーマは「採用難時代のコールセンター!人が辞めないコールセンターの創り方」についてです。

ヤマトさんのコールセンターの拠点は登米(宮城県)、鳥取、名張(三重県)、都城(宮崎)、和歌山など主要都市の周辺地域に敢えて拠点を開設している戦略を取ってるそうです。
もちろん、東京・埼玉、大阪市内などにも拠点を持っているのですが、地方都市に関しては敢えて主要都市のカニバリゼーション(共食い)を避けて周辺部からの人材取り込みを狙っているそうです。
RDさんは激戦地区の福岡の天神にコールセンターの拠点を構えています。


【地方都市3回転目の壁】

今回のテーマが「採用難時代のコールセンター」でしたので、まずは私の過去の経験から「地方都市3回転目の壁!」の話をしました。
この意味は、助成金などの誘致合戦の激しい地方都市にコールセンターを開設する企業がこの15年の間に激増しましたが、実は密かに撤退・縮小しているコールセンターも少なくありません。
その理由は一言で言って「募集してもオペレーター・SVが集まらなくなったからです」、東京・大阪の大都市でも言わずもがなですが、札幌や仙台、福岡、名古屋などの100万以上都市でも昨今、採用が厳しくなってきました。

そのため地方の20万・40万都市では、開設当初のハネムーン期間の1・2年を過ぎると徐々に集客力にも陰りが見えてきます。
コールセンターの人員も大体5年で1回転(人が入れ替わる)するので、10年で2回転すると仮定すると、3回転目の10年を超えて拡大をしていくのが困難になり壁に当たるという意味で、「地方都市3回転目の壁!」と言っています。
中には、1回転目から2回転目に行く途中で、採用難のため拡大路線を諦めたり、規模を縮小したり、中には撤退するコールセンターもでてきています。

ヤマトさんにこの事を聞いてみたら、当社は2回転目に行く前の1.5回転目ぐらいで壁にあたったと言っていました。
主要都市の周辺地域という差別化戦略も発足当初は集客できましたが、1回転目から2回転目の過程で採用のパイが縮小してきたという事だと思います。
RDさんは、今や通販コールセンター激戦区の福岡の天神ですので、とにかく人の流動性が激しいそうです。競合ひしめく地域ですので、時給やセンターの環境の情報などが飛び交い、他のセンターの募集時に人の流動性が発生しているようです。
ただし、今福岡には新しいインテリジェント・オフィスビルの供給が増えてきているので、まだ、福岡の拡大は当面続きそうだと言っていました。
ただし、激戦地域ならではの差別化戦略は欠かせないという事も同様に話していました。
地方都市
採用難とその地域での集客力の限界値には密接な関係がありますので、安易に助成金の条件がが良いからと飛びつくのでは無く、自社のコールセンターは今後どれくらいまでの規模に拡大するので、通勤可能人口は何十万は
最低必要という分析も進出前には検討すべき課題と思います。

次回は、もう少しパネルディスカッションの中身を深掘りして紹介したいと思います。


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